今回は、当ブログでも地雷に指定したまずいウイスキーを救えるかの実験です。
まずはこの動画をご覧ください。



この動画を制作されているのが、自らバーを経営している「つっちー」さんの動画で、いろいろな銘柄をテイスティングするのがメインになっています。

その中で、このブログでも地雷扱いをしているトップバリュのウイスキーに、うまみ調味料の代表格である「味の素」をわずかに入れることで、とてもうまくなると言う衝撃的な動画が投稿されました。

ほかのYouTuber、特にバーテンダーの方々もトップバリュのウイスキーをうまくできないかと試行錯誤しながらも挫折をしているという中で、まさかの味の素の投入で解決できるなど思ってもみなかったかもしれません。

うまみ調味料は安全?

うまみ調味料は、アミノ酸の一種であるグルタミン酸やイノシン酸、核酸の一種であるグアニル酸と結合したナトリウムが主成分となる調味料です。
グルタミン酸は昆布、イノシン酸は鰹節、グアニル酸は椎茸に含まれています。

グルタミン酸が旨味をもたらすことを見つけたのは、現在の東京大学の前身である東京帝国大学に所属していた化学者、池田菊苗でした。
彼は大量の昆布を煮込んでいき、そこからL-グルタミン酸ナトリウムを抽出することに成功し、それが旨味の元であることを解明しました。
これを元にしたうまみ調味料の製造を鈴木製薬所が引き受け、「味の素」が誕生しました。

味の素は当初、小麦粉などに水を加えてをこねることで生成するグルテンを加水分解する方法で作られましたが、その後製造コスト削減のため、石油から抽出したアクリロニトリルを合成する方法で作られるようになりました。

しかし石油由来であることで安全性が問われることとなり、1970年代後半からはサトウキビから抽出される廃糖蜜などを、グルタミン酸を生成する菌を使って発酵を行う製法に切り替えられました。

そのため、製法面においての安全性は確保されていると言っていいでしょう。
うまみ調味料としては、いの一番、ミタス、フレーブといった商品も存在します。

救世主となるか、ハイミー

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今回使用するうまみ調味料は、味の素から発売されている「ハイミー」です。
ハイミーは1960年に発売されました。
元々はグルタミン酸ナトリウムだけであった味の素にイノシン酸ナトリウムを加えた「味の素プラス」「強力味の素プラス」という名前でしたが、1962年に「高い」を意味する英語「high」と「味」の音読みである「ミ」を合わせて「ハイミー」となりました。

ハイミーと味の素は、使用される原材料は一緒ですが、成分構成が異なります。

味の素では主要となるグルタミン酸ナトリウムが97.5%、イノシン酸ナトリウムとグアニル酸ナトリウムがそれぞれ1.25%含まれたものになっています。

いっぽうでハイミーはグルタミン酸ナトリウムが92%、イノシン酸ナトリウムとグアニル酸ナトリウムがそれぞれ4%含まれたものになっていて、より強力な旨味を引き出せる構成になっています。
メーカーでは煮物料理に使うことを勧めています。

実験内容

今回の実験では、とある地雷ウイスキーのストレート30mLほどに、ハイミーを一つまみほど入れて混ぜた上で飲んでいきます。
具体的な分量は計測しません。

まず調べるのがこちら。

宝酒造 キングウイスキー凛セレクト

_DSC7360_01宝酒造は日本酒、焼酎においては有名なメーカーで、ウイスキーもバブル期にトマーティン蒸溜所を買収して再建を行うなど力を入れているように思えますが、日本におけるウイスキー事業はまともに力を入れていません。

このキングウイスキーも、歴史こそあるものの、ウイスキー大手に比べると手抜き感が半端なく、昭和時代の2級ウイスキー同様にモルトとグレーン以外にアルコールを加えているのが現実です。

当ブログ以外でもネットの間では地雷として知られています。

ハイミーを入れる前は、アルコールからの辛みがしっかりやってくるものの、苦みが強く、味気ない印象です。

ハイミーを入れても、アルコール感は強く、多少のスモーキーさはあるものの、味わいとしては旨味が出ているとは思えません。

残念ながら、凛は救済できませんでした。

合同酒精 香薫

_DSC7357_01樽材のスティックの回に引き続いて、合同酒精の香薫を試してみます。

このウイスキーは、初代トップバリュ ウイスキーとしても販売していたものと同じで、ウイスキーの体をなしていないほどの香り、味を持つ究極の地雷と言えるでしょう。

ハイミーを入れる前は、人工甘味料のような香りと苦みを伴った不自然な甘みが感じられます。
スモーキーさもなく、気持ち悪さしか感じられません。

いっぽうでハイミーを入れると、香りが人工甘味料からカラメルに変化して、ハイミーから来る旨味によって苦みが相殺されてストレートでも多少飲めるものになりました。

香薫は救済ができました。凛に比べるとアルコールの刺激が強くなかったのが功を奏したのでしょうか、ハイミーからのうまみが前に来たのかもしれませんね。

樽材スティックによる熟成で十分飲めるウイスキーに化ける?

最終的に地雷ウイスキーと言われるものでも、うまみ調味料で救済できるものと、そうでないものに分かれる結果になりました。

うまみ調味料は塩分があることでうまさを感じやすくなる効果があるので、多少の塩気があるものの方が効果的でしょう。

これに、以前紹介した樽材のスティックを入れて2週間ほど熟成を行うことで、香りも改善され、味わいも深まることになるでしょう。
ただ、そこまでの投資と時間をかけるくらいであれば、1000円クラスのウイスキーを買う方が費用対効果は高いでしょう。

なお、ラフロイグ10年にハイミーを一つまみ入れて見ると、うまみとヨードっぽさがプラスされてさらにおいしくなりました。