法人が借入する場合に必要な連帯保証人とは|保証人との違いや責任範囲について解説
法人が銀行や金融機関から借入をする際に、借入額や返済期間に応じて連帯保証人が必要となる場合があります。本記事においては、連帯保証人と保証人の違いを明確にして、連帯保証人の責任範囲やリスクなどについて詳しく説明します。
目次
[表示]連帯保証人とは自分以外の債務を連帯保証する人
法人が融資を受ける際に連帯保証人を立てることを求められる場合があります。連帯保証人とはどのような役割があるのでしょうか。最初に連帯保証人の定義と必要性について説明します。
1.連帯保証人の定義
連帯保証人とは、金融機関からの融資において債務不履行を起こした際に、自分自身の債務として借入金の返済責任を負う人を指します。つまり、連帯保証人は、借主とともに債務を負担する立場にあります。
例えば、法人が融資を受ける場合には、法人の代表者が連帯保証人となる場合が多くなっています。また、債務不履行が発生した場合には、連帯保証人は債務者と同様に借入金を返済する必要があります。
連帯保証人は、借主とともに責任を負うことになるため、融資先での信用調査では連帯保証人の信用力も重視されます。また、連帯保証人が債務を負担するため、債務不履行が生じないように借り手と連帯保証人は細心の注意を払い、返済を継続していく必要があります。
2.連帯保証人の必要性
金融機関が法人に融資を行う際、債務不履行が生じた場合に債務を負担するための保証が必要になる場合があります。その際は、借り手自身の信用力だけでは金融機関が負う貸倒リスクをカバーしきれない場合、連帯保証人が必要とされます。
連帯保証人は、借り手とともに責任を負うことになるため、借り手の信用力のみならず、連帯保証人の信用力も評価されます。
連帯保証人の存在は、借り手が債務不履行を行った場合に備え、金融機関にとっても安心材料となります。また、連帯保証人にとっても、借り手との信頼関係が築かれ、取引の発展につながる場合もあるかもしれません。
ただし、連帯保証人が債務を負担するため、その負担能力や返済能力を十分に考慮して、連帯保証人を選定する必要があります。また、連帯保証人が債務を負担しても、当然に借り手が債務を免除されるわけではない点にも留意する必要があります。
保証人とは保証債務を負う人
連帯保証人とよく似ている言葉に保証人というものがあります。連帯保証人と保証人はどこがことなっているのでしょうか。両者の相違点について説明します。
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連帯保証人と保証人の違い
連帯保証人と保証人は、どちらも債務者が債務不履行に陥った場合に責任を負う保証人ですが、その性質や責任範囲に差があります。
連帯保証人は、債務者とともに借入債務を負担しますが、保証人は債務者が返済できない場合に、債務者に代わって返済します。保証人には以下のような権利がありますが、連帯保証人にはその権利はありません。
1.催告の抗弁権
催告の抗弁権とは、債務者が債務履行を求められた場合、保証人において「まずは債務者に履行の請求(催告)してください」と求めることができる権利をいいます。債務者は、催告の形式や内容、期間などに問題がある場合に、催告の正当性を争うことができます。
また、債務者が催告の抗弁権を行使した場合、その債務は債権者の請求が成立する前には存在しないとされ、その期間中は遅延利息の支払いが免除される場合があります。
しかし、催告の抗弁権は一定の条件が必要であり、債務者が誤った主張をした場合や、催告期間が明確に定められている場合などは、債務者の主張が認められることはありません。
催告の抗弁(民法第452条)
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。
2.検索の抗弁権
検索の抗弁権とは、保証人が債務者に代わって債務の支払いを行うことが要求された場合に、債務者に財産があることを立証して、保証人ではなく債務者に返済を請求してくださいと主張できる権利をいいます。
検索の抗弁(民法第453条)
債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
3.分別の利益
分別の利益とは、保証人が保証契約を締結する際に、その契約内容や被保証人の信用力などを慎重に検討し、自らの利益を守ることができる権利を指します。つまり、保証人が債務を保証する場合、被保証人の信用力や債務履行能力を事前に調査し、そのリスクを最小限に抑えることが可能です。
例えば、保証人は自らが債務を支払う可能性があることを念頭に置き、複数の保証人に等分で保証債務を負担させるという対策を講じることができます。これによって、保証人は自らの利益を守ることができるだけでなく、信用力の低い被保証人による債務不履行による損失を未然に防ぐことが可能です。
分別の利益(民法第456条)
数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する。
分割債権及び分割債務(民法第427条)
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う
法人が連帯保証人を用意するメリット
法人が連帯保証人を用意する場合には、以下のようなメリットがあります。
連帯保証人を用意するメリット
- 審査に通りやすくなる可能性がある
- 金利が低くなる場合がある
- 借入可能額が増える可能性がある
- 融資条件が緩和される場合がある
- 信用情報に良い影響を与える可能性がある
1.審査に通りやすくなる可能性がある
法人が連帯保証人を用意するメリットとして、審査に通りやすくなる可能性があります。これは、法人が債務不履行になった場合には、連帯保証人がその債務を引き受けることができるため、債権者の貸倒リスクが低減されるためです。
つまり、債権者は連帯保証人の存在によって、債務不履行のリスクが低くなるため、法人の審査に対する判断基準が緩和される可能性があります。また、連帯保証人が信用力の高い個人や企業であれば、法人の信用力も向上する場合があります。
2.金利が低くなる場合がある
法人が連帯保証人を用意するメリットとして、金利が低くなる場合があります。これは、連帯保証人が債務不履行になった場合には、法人がその債務を引き受けることができるため、債権者の貸倒リスクが低減されるためです。
そのため、連帯保証人の用意ができれば、債権者からリスクが低いと判断され、金利が低く設定される場合があります。また、連帯保証人の信用力が高ければ、法人の信用力も向上する場合があります。
ただし、必ずしも金利が低くなるわけではないため、借入先や契約条件を慎重に比較検討することが大切です。
3.借入可能額が増える可能性がある
法人が銀行などから借入を行う際、連帯保証人を用意することによって、借入可能額が増える可能性があります。連帯保証人がいることで、銀行側はより安心して貸し出しを行うことができます。そのため、借入可能額を増やすことができる場合があります。
4.融資条件が緩和される場合がある
法人が銀行などからの融資を受ける際、連帯保証人を用意することで、融資条件が緩和される場合があります。連帯保証人により、銀行側は債務不履行のリスクが低くなるため、一層の融資条件の緩和ができるのです。
例えば、借入金額が増えたり、返済期間が長く設定できたりする可能性があります。
5.信用情報に良い影響を与える可能性がある
法人が連帯保証人を用意するメリットの一つに、信用情報に良い影響を与える可能性があるという点があげられます。連帯保証人の保証によって、貸し手側から見た法人の信用が高まるということです。
特に、連帯保証人の信用力が高い場合、その効果は大きくなると言えます。信用情報が良好な場合、今後の融資条件の緩和や金利の優遇などが期待できます。逆に、保証人がいない場合、法人自身の信用情報だけで判断されるため、融資条件が厳しくなる可能性があります。連帯保証人により信用力が高まり、今後の融資に良い影響を与える可能性があります。
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連帯保証人が負う責任の範囲
連帯保証人が負う責任の範囲は以下の3つです。
連帯保証人が負う責任の範囲
- 貸主に対して債務を履行する責任
- 滞納金・遅延損害金・利息等を支払う責任
- 債務履行のために財産を差し出す義務・責任
1.貸主に対して債務を履行する責任
連帯保証人が負う責任の範囲は、貸主に対して債務を履行する責任です。つまり、借主が債務不履行に陥った場合、貸主は連帯保証人に対して債務の履行を求めることができます。この際、連帯保証人は借主と同じ範囲で債務を負担します。すなわち、債務の全額を負担する義務が生じるのです。
ただし、借主が返済した場合は、連帯保証人に対して返済の請求はできません。また、連帯保証人が債務を履行した場合でも、借主に対してその金額を請求できます。したがって、連帯保証人は借主に代わって債務を履行するため、借主が返済不能な場合には、全額を負担するのです。
2.滞納金・遅延損害金・利息等を支払う責任
連帯保証人が負う責任の範囲は、借り手が債務不履行を行った場合、貸主に対して債務を履行する責任を負います。そのため、借り手が滞納金・遅延損害金・利息等を支払わなかった場合、連帯保証人がこれらを支払う必要があります。
3.債務履行のために財産を差し出す義務・責任
連帯保証人は、債務者が債務を履行できない場合、貸主に対してその債務を履行する責任を負います。そのため、債務履行のために財産を差し出す義務・責任も連帯保証人に課されます。つまり、連帯保証人は、借り手の債務不履行に対して、貸主が債務者に請求できる権利を完全に引き継ぐのです。
連帯保証人になることのリスク
連帯保証人になることのリスクは以下の通りです。
連帯保証人になるリスク
- 全額を連帯保証人が返済しなければならないこと
- 信用情報機関に登録されること
- 差し押さえや債権回収により財産を失う可能性があること
- 裁判所の支払命令により財産を差し押さえられる場合があること
- 主債務者が死亡しても返済の義務が発生する場合があること
1.全額を連帯保証人が返済しなければならないこと
連帯保証人になるということは、借主が返済できなくなった場合に、保証人がその借金を返済することを意味します。つまり、連帯保証人は借りた人と同じように債務者として扱われ、借入金を返済する責任があります。
もし借主が全額を返済できなかった場合、残りの債務は連帯保証人が負担しなければなりません。このように、連帯保証人になることはリスクもあるため、自分が負担できる範囲内の金額であるか、返済能力を十分に考慮した上での判断が必要です。
2.信用情報機関に登録されること
連帯保証人になると、借主が返済できなくなった場合に、保証人がその借入金を返済しなければなりません。もし保証人が返済しなければ、債務者と同じように債務不履行とみなされ、信用情報機関に登録される可能性があります。
信用情報機関に登録されると、今後の借入などに影響が出る場合があります。例えば、信用度が下がってしまい、新たな借り入れができなくなるため注意が必要です。
3.差し押さえや債権回収により財産を失う可能性もあること
もし貸し手から請求を受けた保証人が返済できなければ、債権回収の対象になり、差し押さえなどの強制執行を受ける可能性があります。
差し押さえにより、不動産や預貯金などの財産を失うかもしれません。また、強制執行により、収入のうち一定額が差し押さえられることもあります。
4.裁判所の支払命令により財産を差し押さえられる場合もあること
もし請求を受けた保証人が返済しなければ、借入金の返済命令を受けた債権者が、裁判所に申し立てて支払命令を得ることが可能です。
支払命令が下りた場合、保証人は直ちに支払わなければならず、支払わない場合は財産を差し押さえられる可能性があります。差し押さえにより、不動産や預貯金などの財産を失うこともあるのです。
5.主債務者が死亡しても返済の義務が発生する場合もあること
主債務者が死亡しても、連帯保証人には返済の義務が発生する場合があります。例えば、主債務者に相続人がいる場合、相続人が債務を引き継ぐことがあります。この場合、相続人が返済しない場合は、保証人がその債務を返済する必要があります。また、借入契約書に連帯保証人の返済義務に関する特約が含まれている場合、主債務者の死亡にかかわらず、保証人に返済義務が発生することがあります。
代表者を連帯保証人にしない方法
代表者がその経営する法人の借入において連帯保証人になること(代表者保証)を回避する方法としては、以下の3点を挙げることができます。
代表者を連帯保証人にしない方法
- 担保を設定する
- 信用保証機関を利用する
- 連帯保証人が不要なローンを利用する
1.担保を設定する
法人が借入する場合、代表者を連帯保証人に立てるケースがありますが、これは代表者にとって大きなリスクを伴います。しかし、代表者を連帯保証人にすることなく、借入する方法のひとつに、担保を設定する方法があります。
担保とは、借入金の返済ができない場合に、債権者がその担保を差し押さえることができる物件や権利のことを指します。代表者を連帯保証人にする場合と比べ、担保を設定することで、代表者の負担を軽減することが可能です。不動産や有価証券、売掛金などを担保とすることが可能です。
また、担保の種類や価値は借入額や債務者の信用力によって異なります。ただし、担保を設定しても、当然ながら毎月の返済は必要です。
2.信用保証機関を利用する
代表者を連帯保証人にしない方法として、信用保証機関を利用する方法があります。この場合、法人は信用保証機関に対して手数料を支払うことで、代表者が連帯保証人となることなく、融資を受けることが可能です。
信用保証機関は、中小企業の経営を支援するために、国や自治体を主体としている公的な機関が多くなっています。信用保証機関によって保証された借入は、金融機関にとっても安心感があるため、融資の審査に有利に働くことがあります。ただし、保証料などの追加費用が必要になる場合があります。
信用保証機関
借入者が返済不能に陥った場合に、代わりに債務を保証してくれる機関
3.連帯保証人が不要なローンを利用する
代表者を連帯保証人にしない方法として、そもそも連帯保証人を不要としているローンを利用する方法があります。例えば、各社が提供する無担保ローンなどがそれにあたります。
無担保ローンは、担保を必要とせず、保証人も必要としないため、手続きが簡便になるというメリットもあります。
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まとめ
法人が借入する場合、必要に応じて連帯保証人が求められることがあります。「連帯保証人」は、主債務者とともに債務を負う責任を負います。一方で、「保証人」は、主債務者が債務を履行できなくなった場合に、代わりに支払う責任が生じます。
連帯保証人は、債務不履行が生じた際には、主債務者と同様に債務を負い、財産を差し押さえられるなどのリスクを負います。そのため、法人の代表者が連帯保証人となることは、代表者自身の負担も大きくなるため、できれば避けたいと考える経営者も多いようです。
連帯保証人が必要な場合には、信用保証機関や担保の設定、連帯保証人が不要なローンを利用するなどの方法もあるため、事前に慎重に検討することが重要です。