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カナブンを「ラジコン化」、飛翔を自在に制御可能

日経テクノロジーオンライン

米University of California、Berkeley校(UCB)とシンガポールNanyang Technological University(NTU)は、昆虫のカナブンの無線制御で飛翔(ひしょう)させる研究で、旋回も含めた細かな飛翔の制御が可能になったと学術誌に論文を発表した。

発表したのは、UCB Department of Electrical Engineering and Computer Sciences、Associate professorのMichel Maharbiz氏の研究室(Maharbiz研)と、元Maharbiz研で、現在は、NTU School of Mechanical and Aerospace EngineeringのAssistant professorの佐藤裕崇氏である。

Maharbiz研は以前は米University of Michiganにあった。その当時からカナブンに無線通信ICなどを背負わせて、その飛翔用筋肉を制御することで、カナブンの飛翔の仕組みの解明や自由に飛翔する温度センサーなどの実現、あるいは災害における行方不明者の探索に役立てることを目指した研究を続けている。

今回の発表のポイントは、羽根の折り畳みにだけ使われているとこれまで考えられていたカナブンの羽根のある筋肉が、実は飛翔中の旋回動作でも重要な役割を果たしていたことが判明した点にある。無線制御できるようにしたカナブンを、自由に飛翔させた際の筋肉と神経の活動を解析して確認した。

そして、この筋肉に電気刺激を与えることで、カナブンの飛翔の制御が非常に容易になった。「以前は、飛翔を始めさせたり終わらせたりすることはできたが、飛翔方向は十分には制御できていなかった。今回は、飛翔開始から、空中での左旋回、右旋回、そしてホバリングまでが自由自在で、高い水準の飛翔制御が初めて可能になった」(Maharbiz氏)という。

今回利用したカナブンは、Mecynorrhina torquata(和名はクビワオオツノハナムグリ、またはトルクアータオオツノカナブン)。体長は平均6cmで重さは8g。背中に安価なマイクロコントローラーと無線通信IC、および3.9Vの小型Li電池を搭載した。電極は計6個で、カナブンの視覚情報を処理する脳の一部「視葉」と、飛翔用筋肉群に接続したという。システム全体の重さは1~1.5gである。

(日経テクノロジーオンライン 野澤哲生)

[日経テクノロジーオンライン 2015年3月17日掲載]

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