子どもを水難事故から守るために知っておくこと なぜ手を挙げて大声で助けを呼ぶのはNGなのか
1つ目は、手を挙げることで、水面に出る2%の部分が手のみになるからです。この状態では、足で沈まないようキックをしていない限りは、口や鼻は水中に沈みます。
2つ目は、大声で助けを呼ぶことで、肺にある空気がなくなるからです。肺の空気がなくなると、肺が浮き袋の役割をはたさず、体が水中に沈んでいきます。また大声で叫ぶと、水を飲みやすくなります。
溺れたときに自分を助けてくれるのは、ライフジャケットです。ライフジャケットを着用すると、両手を挙げ声を出しても、口と鼻を水面上に維持できるとされています。
海と河川で溺れたときの基礎知識
海と河川の環境は全く異なります。海は塩分を含んだ海水なので、体は浮かびやすくなります。河川は真水なので、海より沈みやすくなります。また河川は、岩や段差があるため泡立ちやすくなります。この泡立っている場所は、空気を多く含んでいます。空気の部分は浮力が作用しないため、体が沈みやすくなります。
河川には空気を50%含んでいる場所もあり、そこは泡立っていない水中と比較すると、得られる浮力は50%となります。一般的には河川のほうが水難には気をつける必要があると言われています。実際、河川での死者・行方不明者は、海の2倍以上にもなります(子どもの場合)。
海と河川、それぞれで気をつけるべき点をまとめます。
・流されたらむやみに足を着かない
流れの早い河川で溺れたとき、無理に足を着こうとすると、石や障害物に足が挟まれる可能性があります。こうなると、水の流れにより体が水中に押し込まれ、水面に顔を出すことが難しくなります。河川で流されたときも、浮いて待つことが基本になります。
・穏やかな場所に流されるまで待つ
河川で流されたとき、もといた場所に戻ろうとするとリスクが高まります。大切なのは、流れの穏やかな場所に到達するまで浮いて待つことです。理想の浮いた姿勢は、背浮きの状態で進行方向に足を向け、前方を確認できる姿勢です。