「スライド」とは,英語で「滑らせる」という意味ですが,まさに計算式の2数をスライドしてかけ算をするのです。具体的には,かけ算する2数の一方を1増やすと同時に,もう一方を1減らすことを指します。例えば19×19を1回スライドすると,
となります。もちろん2回スライドすると,
となるわけです。このことを踏まえて,スライド方式の手順を説明しましょう。いたって簡単です。
手順1:元の式をスライドすることで,かけ算が簡単になるものを見つけます。19×19の場合,1回スライドすれば20×18となり,簡単に計算できますね。
20×18=360
手順2:スライドした回数の2乗を,手順1で求めた値に足します。19×19 の場合,1回スライドしたので,
360+ 1×1=361
となります。これが答えです。「えっ?!」と思われた方もいらっしゃるでしょう。平方計算のスライド方式はかなり強力です。
では、なぜこの方法で平方の計算が簡単にできてしまうのでしょうか。その理由は後編『「平方」を簡単に計算できるスゴ技、なぜその方法で解けるかを「解説」する…!』でご紹介します。実は昔習った公式を応用すれば導けるのです。もっと難しい平方計算も含めてぜひ挑戦してみてください。
計算力を強くする 完全版――視点を変えれば、解き方が「見える」
難しい計算問題も、「視点」を変えれば解き方が見え、頭の中でスラスラ解ける! 日常生活から人生大一番の受験、はたまた商談などのビジネスシーンまで、他と差をつける「計算力」を手に入れよう。的確な判断力や先を読む力も身につくベストセラー「計算力を強くする」シリーズの完全版!
【本書は『計算力を強くする』(2005年8月刊行)と『計算力を強くする part2』(2006年12月刊行)の内容を厳選・再編集のうえ、一部新規トピックも加えた一冊となっています】