雑学

3分で分かる性善説と性悪説の違い!人の本質は善か悪か?性善説で誤解されがちな点も文学部卒のライターがわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。この記事では性善説と性悪説の違いについてみていこうと思う。2つとも中国発祥の儒学の思想だが、人間の生まれながらの性質について善であるか悪であるかというところから説いている。なかなか難しい問題であり、どちらが正しいと一概には言えない。しかし、性善説については、本来の意味と間違えて解釈されていることもあるようだ。今回は2つの主張の違いを文学部卒のライター海辺のつばくろと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/海辺のつばくろ

性善説と性悪説、言っていることは結局同じことではないのかと疑問に感じる文学部卒のライター。

性善説と性悪説の大まかな違い

image by iStockphoto

性善説と性悪説は中国の儒学の思想から出た論議。人間の本来持つ性質は、善であるか悪であるかについて説いた主張をいいます。一見すると、両方とも相反する考え方のように見えますが、果たしてそうでしょうか。

性善説:人は本来は善人である

性善説は「人は本来善の性質を持っている。生まれながらの良い性質を大きく成長させて外部に発揮するべきだ。」ということ。紀元前4世紀頃の中国の戦国時代の儒学者孟子(もうし)」が唱えた説。孟子は「孟母三遷の教え」(孟子の母が息子が勉強に向く環境を探すために、引っ越しを3回したという故事)を連想する方もいるかもしれません。

孟子の思想は人間に対して楽観的に考える傾向があり、性善説につながったとも言われています。

性悪説:人は本来は悪人である

性悪説は「人間は生まれつき悪い性質を持ち、一見善だと思えることは後天的に身についたことである」として、紀元前3世紀頃の中国の儒学者「筍子(じゅんし)」が主張した説です。性善説の考え方が公表されてから約50年後に説かれたもので、孟子とは相反するように見えますね。

性善説が儒学の本流

性善説が広く知られるようになると、同時代の儒学者「告子(こくし)」は、「人間の本質が善であるか悪であるかはどちらとも言いがたいのでは」と異議を述べました。現実の人間には善人だけでなく、悪い人間もいますよね。性善説のいう「もともと善い人間」であるならば、悪の心はどのような理由で芽生えるのか説明が難しいからです。

しかし、善い性質を持っていてさらに努力して道徳心が身につき、国家が平和にできるという考え方が受け入れられます。結果的に、筍子の考え方は受け入れられなかったようで性善説は多くの儒学者に支持され儒教の中心的な思想に。

日本に鎌倉時代に中国の「宋(そう)」から伝来した「朱子学(しゅしがく)」は、江戸時代でも学問として重んじられています。朱子学は、性善説の考え方を根底に大きく影響を受けているとのことです。

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性善説と性悪説はもともともった人間の気質や性質が善か悪かという点で違いがあるのだな。最終的に性善説を受け入れる学者が多かったようだが、どのように善いところを身につけていけばよいのだろうか。詳しくみてみよう。

\次のページで「性善説の考え方:四端の心を大切にすることで仁義礼智が備わった人になる」を解説!/

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