雑学

3分で分かる性善説と性悪説の違い!人の本質は善か悪か?性善説で誤解されがちな点も文学部卒のライターがわかりやすく解説

性善説の考え方:四端の心を大切にすることで仁義礼智が備わった人になる

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性善説の考え方では、人間には生まれながらに四端の心という善の性質を持っているそう。「四端の心を養って(自分の中で作り上げて)発展させられれば、仁義礼智という道徳心が心の中で大きく育つ。その結果、誰でも善人や聖人(神のように知識や人柄が優れ模範となる人)になれる。天下国家が平和になり安定する。」ということ。

人が悪いことをするのは「生まれながらの善の心を忘れて、成長するに従い物欲の心が覆いかぶさる」からだということです。

四端の心とは

性善説で生まれながらに持つ「四端の心」とは、どのようなことでしょうか。具体的には以下の通り。この4つの心を努力して身につけ、心の中に満たせばよいとのことです。並々ならぬ努力が必要となりそうですね。

四端の心(したんのこころ)
1.惻隠(そくいん):人を憐れむ心
2.羞悪(しゅうお):他人や自分の人として守るべき道を外すことを憎む心
3.辞譲(じじょう):他人に対してへりくだり譲る気持ち
4.是非(ぜひ):正しいことと正しくないことを正しく判断する心

仁義礼智とは

性善説ではもともと備わった「四端の心」を大きく育てれば、「仁義礼智」という道徳を身につけられて、善人や聖人になれるということです。仁義礼智というと、南総里見八犬伝の珠に書かれた文字を連想する方もいるかもしれませんね。これらは儒教の「徳」で儒学思想で重んじられる、人として守るべき模範だということです。それぞれの意味は以下の通り。

仁(じん)他人を大切に思い親しむ
義(ぎ)私利私欲を捨てて正しい道筋に則って公正に行う
礼(れい)礼儀作法やルールを守り敬意を払う
智(ち)物事を正しく理解して賢く判断する

性善説で誤解されがちな点:無条件で善人に成長することはない

無人販売所や神社やお寺の賽銭箱でありがちな事件があります。人が見ていないのを良いことに代金を支払わず商品を持ち去る、人気のない夜中に賽銭箱を無理やり持っていってしまうなどの窃盗事件です。

その際にニュースなどで「性善説によって成り立つ商売」というフレーズを聞いたことはありませんか。無人販売とは「人がもともと持つ善い心があって初めて成り立つ商売方法だ」と言いたいのかもしれません。しかし性善説は「生まれ持った善い性質を伸ばすことが大切」と主張しているため、普段から自ら身につける努力悪いことをしてはいけないというしつけなどのよい環境が必要でしょう。

もともと善の心を持っていたとしても、その力を養うことがなければ悪い方向に傾きがちですね。盗んだ人がルールを無視する、自分さえ良ければ他人が迷惑を被っても構わないと考えているのであれば、意味がないのでは。無条件で善人になれるわけではありません。

\次のページで「性悪説の考え方:人間本来の性質は悪で善の性質は後から身についたもの」を解説!/

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