おバカキャラ演じた紅白歌手の心は「限界」、逃げ・迷い・仏の道で得たものは…1994年12月[あれから]<28>

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 演歌の北島三郎さんにアイドルの中山美穂さんら、ステージに並ぶ大スターたち。1994年大みそかの「NHK紅白歌合戦」。極度の緊張で、憧れの舞台の記憶は、ステージを照らし出す青とピンクのカクテルライトの光だけだ。

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〈香田晋〉としてデビューし、「メガロポリス歌謡祭」で最優秀新人賞を受賞した鷲崎さん(1989年)
〈香田晋〉としてデビューし、「メガロポリス歌謡祭」で最優秀新人賞を受賞した鷲崎さん(1989年)

 初出場を果たした演歌歌手の香田 (しん) (本名・鷲崎孝二)さん(当時27歳)は、スターへの階段を上り始めていた。

 それから11年。活躍の舞台はテレビの人気クイズ番組に変わっていた。名探偵ポアロシリーズなどで知られる“ミステリーの女王”アガサ・クリスティを問う出題に、自信満々に声を張り上げた。

 「アガサ・クリスチャン!」。珍回答にスタジオは爆笑に包まれる。紅白出場歌手は、白いハチマキ姿の「おバカタレント」として人気者となっていた。笑いの渦の中、心の中でつぶやいていた。「冗談じゃねえぞ」

演歌歌手なのに、いつしか「バラエティーの人」に

演歌歌手「香田晋」として発売したCDアルバムやカセット
演歌歌手「香田晋」として発売したCDアルバムやカセット

 1989年のデビュー後、〈香田 しん 〉は数多くの音楽祭で新人賞を獲得。テレビ番組やCMにも出演し、演歌界期待の若手だった。

 バラエティー番組にも起用され、お茶の間の人気者になった。だが、クイズ番組で爆笑をさらった「おバカ」なキャラクターが、自らの首を絞めていった。

 テレビでも巡業先でも歌の時間がモノマネやクイズのコーナーに割かれるようになった。演歌歌手なのに、いつしか「バラエティーのハチマキの人」になっていた。

 「今だから言えるんだけどね」。〈香田晋〉として活躍した鷲崎孝二さん(54)は、当時の心境を明かす。

 「答えがわかっていても、空気を読んで間違えないといけない。センスが求められるから、いつもハラハラしていた」。営業先へ向かう車内でも「おバカ」な回答を考えながらハンドルを握る日々。「自分は何がしたかったんだろうか――」。そう感じながらも、求められる〈香田晋〉を演じ続けた。

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