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会話

この投稿は連続投稿です。アイコンをクリックして、まずは初回からお読み下さい(2/3) 視界が塞がれて前腕がパンパンで呼吸が元に戻らなくて 意識が朦朧としてきて 私の取った行動は命綱を切断する事でした ギリギリの意識で真っ白な世界でナイフを探し出して 今まさにナイフで命綱のロープを切ろうとしたその時 下方から声がしたのです ブラッドリーでした 100kg近い大男です どこにそんな力があるのかブラッドリーは逆にロープを登って近付いてきます ブラッドリーの声が少しずつ大きくなってきます 「グッジョブ」とか褒めてくれてます 私は泣いてました ムラサキスポーツの店長が「絶対に曇らない」と言っていたのにゴーグル越しの視界はゼロです 「隕石に当たっても割れない」は信じてなかったけど 「絶対に曇らない」は信じてたのに、、、 安堵感からなのか私は泣いてました 私の横まで自力で登ってきたブラッドリーは食い込んだ滑車を外してくれました 私は大人も男も辞めてブラッドリーの子供になりたかったです すぐさまこの冒険から逃げ出したかったのですが 現実は東京タワーのてっぺんから吊られたままでした お父さんのようなブラッドリー(たぶん年下)がいっしょに降りてくれました 下まで降りるとブラッドリーがチョコレートをくれました (何歳だよ俺) 「娘が作ってくれた御守りなんだ」そう言って ブラッドリーは可愛い人形を私のポッケに押し込みました 「TAKAに貸しておく」 「地上に戻ったら返してくれ」 小金を持って東京で偉そうにしていても大自然を前にしては無力そのもの 人間の本質がさらけ出されるのです 「親友を作りたければ山へ行け」 「山がダメなら海へ行け」 昔の人は良く言ったものです 私は一人では生きられない無力な赤ちゃん同然でした 10時間かけて谷底まで降りました オレンジ色に輝く黄金の竜のようなマグマの火柱を見たくて 「岩から顔を出したらダメだよ」と教えられていたのに下を覗いてみたくて おそるおそる覗いたら 右耳がジュッと音を立てて灼けました 今でも右耳だけ熊のように毛が生えてきます 放射能か何かを浴びたのでしょうか、、、 弱虫のくせに好奇心旺盛な猿なのです 帰りはHONDAのエンジンでロープが巻かれて岩壁を登っていきます (行きもこのエンジン使って行かせろよ) 往復10時間かけて命からがら戻ってきたのに 「キャンプまで尾根づたいに歩く」と言ってます (バカかこいつら) (今こそヘリだろ) 足を滑らせたら落ちるしかない山の尾根を何時間も歩かされます 先頭を歩く若いクリスに「あと何分?」と何回聞いても 「10ミニッツ」と言います (バカだこいつ) 「日が沈む前に尾根を歩かないと危ない」と騙されて歩いてたのに とっくに日が沈んで危ないのに真っ暗な尾根を何時間も歩かされます もう本当に嫌でした 意地悪な先輩にずっと空気椅子やらされてるみたいな無限地獄です やっとの思いでキャンプに戻ってきた時 憎しみしかなかったです おそらく人生で初めて精根尽き果てました 山の天気は変わりやすいので雨がテントに入らない為の穴が掘ってあって 「穴を避けてテントを張りなさい」と言われました 私は拗ねてました 「俺はテントは要らない」 「この穴に横たわって寝る」 メイウェザーに花束を投げた時のような怖い顔して強い口調で言いました 私は頑固でした 何もかも嫌でした チラッとタッキーを見ると黙々とテントを作ってます (なんだよタッキーよー) (滝沢歌舞伎とかやって体力あるからって自分のテントだけ作っちゃってさー) (もう東京帰ったら口きかないLINE返さない) するとタッキーが何やら話しかけてきました 「奥野さんのテント出来ました」 「雨が来る前に中で休んで下さい」 (さわやかなタッキースマイルです) で、どーしたと思います?俺 「え、、あ、ありがとう」 そのままテントの中に熊みたいに入って行きました 疲れてるのは同じなのにタッキーは私のテントを作ってくれていたのです

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