pixivは2023年6月13日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴
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……ここは、何処だ………
俺…どうなったんだっけ…?
そこは、一切の光も通さない程の暗闇が広がっていた。
…身体が軽い。まるで宙に浮いているかのようだ。…ただ、なんだかあったかいな。
…ア……ク…ア………
誰だろう?俺の名前、呼んでいるのか…?この声…なんだか、懐かしい気がするな……
…アクア……
誰かに呼ばれ、俺の視界を覆っていた闇に、一筋の光が灯った。その光に向かって、俺は一歩、また一歩ずつ進んでいく。
アク「…ん、、んぅ…?」
目の前には、見慣れない景色が広がっていた。そして、誰かに抱き抱えられてるのであろうか、温かい体温に包まれている。…なんだかとても心地が良い。
?「あー、良かった!目が覚めたんだね!」
その声の主の方に、ゆっくり目を向けた。
アク「!?」
その主を目視した瞬間に、頭は一気に覚醒する。半開きであっただろう目を限界まで開眼させた。
アイ「おはよ♪ねぼすけさん♪」
アク「ぴ、、ぴ……」
アイ「んー?どしたの?」
目の前には、死んだはずの、しかも亡くなった頃よりも若い16歳の頃のアイがいた。
アク「ピギャアぁああぁあああぁああ!!!!(どうなってんだぁああああぁあ!!!!)」
アイ「わわわわ!!!」
ミヤ「ちょっと!どうしたの!?」
アクアの奇声が、辺りをこだまする。それに驚き駆けつけるミヤコの姿があった。
アイ「み、ミヤコさん!起きたと思ったら急に叫び出しちゃった!」
ミヤ「えぇ!?」
そこからは混乱の嵐だった。急に奇声をあげたアクアに、アイとミヤコはあたふたし、その奇声を聞いたからか、近くのベビーベッドで寝ていたルビーまで起きるという、なんとも混沌とした惨状だった。
アイ「あー、びっくりした」
ミヤ「びっくりしたのはこっちよ!あー、心臓に悪い…」
アイ「あはは、ごめんごめん♪」
もう何が何だか分からない…一体…どういう事だ。アイが生きてる…ミヤコさんが若い…俺…俺……
アク「バブぅ!!(また赤ん坊になってるぅ!?)」
そう、アクアはまた、、赤ん坊になってしまっていたのだ。
あの騒動から1週間が経過した。今現在、アイが新居に引っ越す前のアパートにいる。この1週間で、アクアは自分なりに状況を分析した。
まず1つ
アクアには前々世、つまり雨宮吾郎であった記憶、そして前世、
2つ
何の因果か、また赤ん坊になってしまい、転生してしまってること。
これに関しては転生というものに分類するのは適当ではない。
何故なら、雨宮吾郎が星野愛久愛海になってしまった時のようなものではなく、人生そのものを巻き戻ってしまっているからだ。
つまり転生というよりも、逆行と言った方が正しい。
そして3つ…
アイ「ふふふ〜、ミヤコさんの息子なのに、ルビーそっくり、まるで双子だねぇ〜」
ミヤ「…そうね。産まれた日も同じで、髪色、顔立ちといい、ほんとルビーにそっくり」
そう、、今世の俺は、星野アイの双子の息子ではなく、斉藤ミヤコと斉藤壱護の1人息子として生を持ってしまったらしいのだ。
アイ「2人並べてみたら、こんなにそっくりなんだよ〜?これって奇跡じゃない?」
ミヤ「はいはい、馬鹿なこと言ってないで、レッスンに行ってらっしゃい」
アイ「はぁい!それじゃ、ルビーの事もよろしくね、ミヤコさん⭐︎」
それだけ言い残して、アイは足早にアパートを出て行ってしまった。
………
……どうしてこうなった…!!
時系列を追って説明すると、まずアイが妊娠した時期は前世と変わらず、16歳の時である。しかし、イレギュラーであったのは、ミヤコも同時期に妊娠してしまい、出産日が同じ日に重なってしまった。しかも容姿は、前世のアクアのまま引き継がれている為、ルビーと瓜二つのままだった。
次に名前だが、これまた何故か
アク「いや何でだよ!!」
俺は周りに誰もいない事確認して1人ツッコミを入れる。
この名前だけは解せなかった。ミヤコさんは一般常識のある大人だった筈だ…。
なんでも、もともと考えていた名前があったらしいが、言い出す前にアイが俺の名前も決めており、旦那である斉藤壱護、つまり社長がそれを面白がった為、引くに引けなくなって決まってしまった。
アク「いやそこは押し通せよ!」
?「ちょっと、うるさいよお兄ちゃん」
アク「…ルビー」
今俺に話しかけてきた赤ん坊、もといこの女は俺の前世の妹である
ルビ「アイに付けてもらった名前だよ!泣いて喜んで崇めても可笑しくないのに何がそんなに不満なのよ!」
アク「…そのアイですら俺のことをアクアって呼ぶ。愛久愛海と呼ばれた事なんか数える程しかねーよ」
ルビ「相変わらず偏屈なお兄ちゃん!」
アク「…お前こそ、何で俺のことお兄ちゃんなんて呼ぶんだよ」
今世でもルビーは俺の事を兄と呼ぶ。しかし、俺は斉藤夫妻の息子であり、ルビーの実の兄ではない。
ルビ「んー、なんでだろ?分かんない。でも、今さら名前で呼ぶのもなんか違うし、、あ、それともアクアって呼んで欲しいの?」
ニヤニヤとした笑みを浮かべ、小馬鹿にしてくるルビーに、若干の腹立たしさを覚えるが、グッと堪える。
アク「どっちでも良い。興味ない」
ルビ「ぶー、つまんないの」
アク「ほっとけ」
そう言ってルビーは頬を膨らませて唇をとんがらせてしまった。
ルビ「あ」
アク「どうした?」
ルビ「お、おむつ交換したいから、向こう行って!」
アク「…はいはい」
アクアはルビーから距離を置く。しばらくするとミヤコが部屋に入ってくる。そのタイミングを見計らったようにルビーはわざとらしく泣き声を挙げた。
ルビ「うわぁあぁあ!うぇえぇ!」
ミヤ「…はぁ」
ミヤコはその泣き声を聞いて、心底疲れたかのような表情を浮かべる。そして、おむつを手に取って、ルビーのおむつを手際よく交換していった。
ミヤ「…なんで私がこんな仕事を……一応私、社長夫人じゃないの…?…美少年と仕事できると思ってあいつと結婚したのに…与えられた仕事は16歳アイドルの子ども世話!?そんで父親不明の片親とか、闇過ぎんだろっ!!…オマケに、たった一回身体を重ねただけで出来ちゃった子どものお守り…?私はベビーシッターやりに嫁に来たんじゃねぇえ!!」
ミヤコは日頃のストレスからか、癇癪を起こしてしまう。それを近くで聞いてたルビーは、ミヤコに嫌悪的な目を向けている。しかし、アクアは同情の目を向ける。
ルビ「はぁ?ママに尽くせるのは幸福以外の何者でもないでしょ?頭おかしいんじゃない?」
アク「…いや、彼女の言ってる事は至極当然の事だと思う」
ルビ「は?」
アク「子育てってのは、赤子1人でも大変なのに、それを自分の子どもでもない子どもを世話するのは、とても大変な事だ」
ルビ「ふーん。なんか意外」
アク「え?」
ルビ「お兄ちゃんて、ママのドルオタだからてっきりママの味方をすると思ってたんだけど」
アク「…そんなんじゃない」
前世でアイが亡くなった後、アクアやルビーを苦労なく育ててくれたのは、間違いなくミヤコだった。アクアはアイが死んでからずっと、殻に閉じこもっていた事もあり、ミヤコには素っ気ない態度ばかり取っていた。
しかし、彼女から2人に向けられていた愛情は本物であり、前世でルビーはミヤコを本当の母親のように接していたし、アクア自身も、ミヤコの事を大切な家族であり、母親のように感じていた。
そんな感傷に浸っていたが、ミヤコは引き出しから母子手帳を取り出し、自分のスマホでそれを写メする。
ルビ「やっば!どうする!お兄ちゃん」
アク「…ここは俺に任せてくれ」
アクアはそう言って、ミヤコの背後から歩み寄る。
アク「ミヤコさん…」
ミヤ「…!だれ!?」
呼ぶ声に驚き、勢いよく振り返る。そこには、両脚でしっかり立っているアクアの姿があった。
ミヤ「あ、アクア…?え、なんっ…立って…え、、えっ…!?」
ミヤコは後ろに尻餅をついて驚いている。無理もない。普通、この歳で直立不動する赤子などいないのだから。あたふたして、これは何かのドッキリでしょ!と慌てた様子だった。
そんなミヤコの様子を尻目に、アクアはゆっくり口を開く。
アク「あんたはまだ若い。それなのに、いきなり二児の世話をして、社長のアシストをして、事務所ではマネージャーも兼任している。そんなあんたが、何もかも嫌になるのは理解できる…」
ミヤ「…え?」
アク「今、俺がここで喋ってる事、赤ん坊の戯言だと思って聞いてくれても構わない…。俺はあんたの息子に生まれて、良かったと思ってる…」
ミヤ「…っ!」
アク「あんたは、確かに打算で社長と結婚してしまったかもしれない。だけど、あんたは誰よりも優しく、誰よりも強く、そして誰よりも愛情深い人間だと言う事を、俺は知ってる…」
ぽつりぽつりと、アクアは喋る。その姿をミヤコは、とても赤子が喋るものとは思えなかった。
アク「そんな人だから、そんなあんただったから、、俺は…。…なぁ、今は苦しい時期かもしれない。だけど、これから先、必ず良い事があると思うから、、だからどうか、頑張ってほしい…どうか、アイの力になってあげて欲しいんだ……”お母さん”…」
……お母さん……
…あぁ、やっと言えた…俺は前世で、ミヤコさんにお母さんと言えなかった。言う前に、死んでしまったから……。だから、今世では本当の母親として、本当の家族として、ミヤコさんを大切にしたいと、そう思っていた……
ミヤ「…うっ…うぅ…アクア…アクア…ごめん、、ごめんね……」
ミヤコはアクアを抱きしめた。何度も何度も謝罪をし、涙で顔がぐしゃぐしゃになりながらも、抱きしめる腕はとても優しく、アイにも負けないぐらい、温かかった。
その後、ミヤコは母子手帳の写真をスマホから削除した。しかし、アクアが普通に喋る事をいい事に、調子に乗ったルビーが神の使いだと戯言を言った事で、今度こそミヤコは腰を抜かしてしまった。それはさておき、とりあえずアクアは、ミヤコが2人が喋る事を他人に言わないよう硬く口止めをした。そしてその件については事なきを得たのだった。
To be continue
あれよあれよと2本目を書きました。前回が前回なだけに、今回はヘビーではありません。全て自分がこうなればいいなと思って書いてます。前回も言ったように、本誌を読んでいない為、基本的には捏造と脚色が入っており、辻褄が合わない部分が出てくると思います。
それに伴ってキャラの口調もよく分かっていないので、追々合わせていけたらと思っています。
斉藤ミヤコ、実は結構好きだったりするんですよ。だから彼女にもどうか幸せになって欲しいと思って書きました。
これからもやる気次第でバンバン書いていけたらと思います!
よろしくお願いします!