中国にマイナンバーと年金情報が「大量流出」していた…厚労省が隠蔽し続ける「不祥事」の全容
官僚が嘘をついても驚かない時代になってしまった。だが、膨大な数の個人情報が中国に流出した大事件を、彼らは巧妙に隠蔽している。審議会の中で、外で、取材を重ねた筆者がすべてを明かそう。
岩瀬達哉(いわせ・たつや)/'55年、和歌山県生まれ。'04年、『年金大崩壊』『年金の悲劇』で講談社ノンフィクションを受賞。著書に『新聞が面白くない理由』『裁判官も人である 良心と組織の狭間で』『キツネ目 グリコ森永事件全真相』(いずれも講談社刊)ほか多数
隠蔽され続ける不祥事
「改正マイナンバー法」が成立した6月2日以降も、マイナンバーカードをめぐるトラブルが、立て続けに公表されている。
健康保険証と一体化した「マイナ保険証」に、他人のマイナンバーが登録されていたり、マイナンバーと紐づけた公金受取口座が、他人や家族名義だったケース。
さらには他人の年金の記録が紐づけられ、個人情報が漏洩していたほか、別人の顔写真がカードに貼られていたなど、惨憺たる状況だ。
しかし法案成立後に、それまで隠していたトラブルを一気に公表するのは、霞が関でよく使われる手法である。
法律が成立したあととなれば、うるさく騒がれても痛くもかゆくもない。じっと頭を下げていれば、やり過ごせるというわけだ。
だが、このマイナンバーについて、今回以上に深刻な不祥事が起きているにもかかわらず、事の真相を厚生労働省は隠蔽し続けている。
厚生年金の受給者のマイナンバーや個人情報―そこには年収情報さえ含まれる―が大量に、しかも中国のネット上に流出した事案である。