ながいおわかれ(いち)
デス・・・デスデェス。
(ママはもういかなければならないデス。おまえたち、おばちゃんの言う事をよく聞いていい仔にするデス。)
テチー!!テチチィィィィッ!?
(ママ、どこかにいっちゃうテチ!?わたちたちもいっしょにいくテチー!!)
テチャァァァァァァァァッ!!
(ママ、どこにもいっちゃ嫌テチィ!!)
山実装にとって、身体を怪我や寒さから守り、再生さえも促進する、特殊な皮膚・・・「実装服」と、決して丈夫とは言えない脳を衝撃から守り、又実は主要な感覚器官でもある「髪」を失う事は生存能力を失うに等しいと言える。
多くの天敵と容赦ない気候の急変からその身を守り、危機の到来を敏感に察知する「服」と「髪」を失っては、食料の採取はおろか単独で山野を行動する事すら不可能に近い・・・獣に襲われ、或いは山火事等に見舞われ、万一生き残ったとしても、「禿裸」となった実装石が生きていける確立は皆無と言っても過言ではない。
彼女が冬ごもりの仕度の為、巣を空けているうちにそれは起きた。山の厳冬を越す為に餌を求めて彷徨っていたテンに、母の言いつけを守ってお留守番をしていた幼い仔達は襲撃される・・・「テチィィィィィィィィィィィ!?」と言う仔達の、助けを求めて母を呼ぶ甲高い声が響く・・・駆けつけた彼女は、我が子を守らんと侵入者に激しく立ち向かう・・・
かろうじて守る事が出来た、2匹の愛しい娘達。だが、彼女の負った傷は深く、近隣の籔に住む一家が駆けつけた時には、もう母実装は「回復不能の手傷」をおって底に横たわっていた・・・
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