2023年7月24日、Twitterのサービス名がイーロン・マスク氏が所有するTwitterの親会社と同じ「X」という名前に変更されました。しかし、実は「X」についてMicrosoftやMetaがすでに商標権を所有しており、将来的に法廷での争いに発展する可能性があると、ニュースサイトのThe Meesengerが指摘しています。

Twitter’s Rebrand To X Could Be a Trademark Nightmare Thanks To Microsoft - The Messenger

https://themessenger.com/tech/twitters-rebrand-to-x-could-be-a-trademark-nightmare-thanks-to-microsoft

Twitterの新しい社名およびブランド名である「X」は単なるアルファベット大文字のXではなく、数学で用いられる「𝕏」という黒板太字の一種です。ロゴのデザインはMonotypeのSpecial Alphabets 4における𝕏を流用したのではないかという疑惑も浮上しましたが、Monotypeのスタッフが自らこの疑惑を否定しています。

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ニュースサイトのThe Messengerは、Twitterのブランド変更における最大の障害は、MicrosoftとMetaの両方が「X」という単一文字を使った商標権を所有していることだと述べています。

Microsotが出願した「X」は2003年3月4日に登録されており、2023年月18日に更新されています。

Trademark Status & Document Retrieval

Microsoftは商標出願の申請書内で、使用範囲を「コンピューターネットワークやグローバル通信ネットワークを介してプレイされるゲームのためのインタラクティブマルチプレイヤーゲームサービス」と定めています。この背景にはMicrosoftのゲームブランドであるXboxがあったのではないかとThe Messengerは指摘しています。

Metaは「X」の商標登録を2017年に出願し、2019年6月に認められています。Microsoftはシンプルに大文字のXとして登録していますが、Metaの場合は白と青で「><」と描いたようなシンボルも一緒に登録されています。

Trademark Status & Document Retrieval

Metaは商標の使用範囲として、「ビデオおよびオーディオコンテンツのストリーミング」「コンピューターユーザー間でメッセージを送信するためのオンラインフォーラムの提供」「インターネットチャットルームの提供」と申請しています。

The Messengerは、Twitterの親会社であるXは旧TwitterがMicrosoftやMetaが提供するものと異なるサービスであると法廷で主張しなければならない可能性があると述べています。

確かにMicrosoftもMetaもそれぞれTwitterのようなSNSを想定していない範囲で商標を登録しています。しかし、Twitterはゲームに利用できるネットワークであり、映像や音声のストリーミングもユーザー間でメッセージのやり取りもできるため、MicrosoftやMetaが「商標権を侵害している」と主張すれば裁判に発展することも十分想定できます。

アメリカ特許商標庁の元審査官で商標弁護士でもあるエド・ティンバーレイク氏は、「Metaが権利を強く主張できるのは、白と青のシンボルに絡んだ場合です。Microsoftの主張は『X』そのもので登録しており、それがどのようなデザインなのかは関係ありません」と述べ、MicrosoftとMetaが別々にXを提訴した場合はMicrosoftの方が有利だという見方を示しました。

MetaとMicrosoftはThe Messengerのコメント要請に応じていませんが、Twitterは「すぐにご連絡いたします」という自動応答メッセージを返したそうです。