毒物カレー、被害者家族が追悼 「何年たっても忘れない」

 事件現場となった夏祭り会場の跡地を訪れ、花を手向ける杉谷安生さん=25日午前、和歌山市

 1998年、和歌山市園部の夏祭り会場でカレー鍋にヒ素が混入され、4人が死亡、63人が急性ヒ素中毒になった毒物カレー事件から25日で25年となった。「被害者の会」副会長を務める杉谷安生さん(76)が、今は空き地となった会場跡地を訪れて追悼し「事件のことは何年たっても絶対に忘れない」と語った。

 午前8時ごろ、ユリやキクの花を跡地に手向け、静かに手を合わせた。杉谷さんは25年を「あっという間だった」と振り返り、「楽しい夏祭りで事件が起きて、(亡くなった4人は)無念さもあっただろう。事件を風化させないでほしい」と力を込めた。

 当時高校2年だった杉谷さんの長女は、カレーを食べ激しい頭痛や嘔吐に襲われ入院した。杉谷さんによると、長女はこの日の朝、「(事件の)動機が知りたい」と話していたという。

 被害者や遺族からは「事件を思い出したくない」との声もあり、地元自治会による慰霊行事は2010年以降開かれていない。杉谷さんは「亡くなった人たちに生かされている」との思いから、毎年有志で献花を続けてきた。

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