この夏、沖縄県内では子どもたちのあいだでRSウイルスなど発熱を伴う複数の感染症が流行しています。乳児の肺炎を引き起こすなど重症化に注意が必要な感染症の特徴や予防法、そしてかかった時の対処法について小児科医に聞きました。
RSウイルスの感染が去年の31倍 重症化のサインは
新型コロナウイルスの5類移行から2か月あまり。この夏、県内では、子どもたちの間で流行が続いている感染症があります。
県小児科医会 浜端宏英会長
「子どもはコロナ以外の感染症が増えています。その中で特に怖いのが、RSウイルス感染症ですね。RSがなぜ怖いかというと生後1ヶ月でもかかるんですよ」
RSウイルスは、発熱や鼻水、咳など、風邪のような症状です。個人差が大きい病気で、発熱がない子もいますが、生後6か月未満の子どもは重症化しやすく気管支炎や肺炎に進展するおそれも。
県小児科医会 浜端宏英会長
「発熱と咳と鼻水、風邪みたいな症状なんですけども、これ数日後に、呼吸が苦しくなる。“ぜーぜー”と呼ばれますけども、喘鳴を引き起こすんですね。それで人工呼吸が必要になったり、酸素投与が必要になったりする」
県内のRSウイルスの1医療機関あたりの平均報告数(7月10日~7月16日の最新値)は、去年の同じ時期と比べて、およそ31倍。大幅に増加しています。
県小児科医会 浜端宏英会長
「やっぱり人と人と接触すると、そういう感染症増えますので、新型コロナ流行中は全く接触がなくてですね、いろんな感染症がもう見えなかったんですけども、今はもうRS以外にもヒトメタニューモウイルス、RSの兄弟みたいなウイルス、これも重症化することありますが、それから手足口病、ヘルパンギーナとかですね、インフルエンザもちょっといます」
RSウイルスの重症化のサインは、水分を摂らないことと、呼吸を苦しそうにしていることです。
県小児科医会 浜端宏英会長
「息苦しさは胸を触ってですね、ゴロゴロとかゼェゼェを感じることもありますし、胸を見るとですね、肋間との間の間がへこむ、陥没呼吸を認めることがあります。その場合は、努力呼吸といって、普段使わないでいい筋肉を使って呼吸してますので、本人にとっては苦しいんです」
治療薬がないRSウイルス 家庭での対処法は
RSウイルスに治療薬はありません。家庭での対処法は、水分を十分にとるなどして、症状を和らげます。
県小児科医会 浜端宏英会長
「経口補水液を有効に利用してもらえると、点滴と同じような効果がありますので、飲ませ方にコツがあるんですね。少しずつ、時間をかけて飲ませる。一気に飲ませるとですね、嫌がりますので、スプーン1さじをですね10分おきに飲ませる。嘔吐してるときとかは(経口補水液の)ゼリーを使います。経口補水液のゼリータイプがありますので、これをスプーン1さじ入れて、また10分後にひとさじ、そういう根気よく水分補給をちょっと時間かけてすると、だんだん回復してきます」
「それから背中・上半身をさすってあげること。気管支の線毛運動(吸い込んだウイルス・異物を排除しようとする動き)がよくなりますので、痰が出やすくなります」
RSウイルスの流行は、この夏、まだ続くと予想されています。家庭でできる予防法は…
県小児科医会 浜端宏英会長
「一番大事なことは、石鹸とかですね、流水で手洗いをする。アルコール消毒が効果がないことが多いですね、RSとかノロとか、アデノウイルスとか」
「睡眠と栄養ですよ。十分早く眠ることですね。自分の睡眠を確保して、十分な栄養を取ることが一番感染症にかからないコツですね」