挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不老不死 作者:椎名 カズキ
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
2/4

第二話:登録

『待ってくれー!』


 そう叫びながら男が走っていた。


『ふう…なんとか間に合ったな…』


 男は両手を机に置きながら息をついていた。


『おい若いの。休んでいるところ悪いが…』


 椅子に座っている老人が男に話しかけた。


『わかってるよ。ここに名前を書きゃいいんだろ?』


 男はやや強い筆圧で自分の名前を机に置いてある用紙に書き込んだ。



《ディオルガ=ハンリー》

 老人はその名前を見てぎょっとした。


『あんたは…』


『ああ…要するにな、俺みたいな変わり者もいるってことですよ』


 顔見知りであろうか。

 老人はやれやれといった顔が話しはじめた。


『変わり者か…この試験を受けに来る連中はわしから見れば皆変わり者よ…どうしてそんなに《永遠の命》を欲しがるものかの。全く解せんよ』



 不老不死の試験――。



 それは約4万年もの歴史を持つ試験である。

 この試験を通過した者だけが不老不死となる。

 参加希望者は会場のラクタリアル山の麓の村で登録を行い、はじめて試験に参加できる権利を得る。

 ディオルガ=ハンリーが急いでいたのはつまり登録最終日しかも時間ギリギリに来たからである。


『おや…』


『ん?どうした?』


『やれやれまた《変わり者》が来たわい…』


 老人はため息をついた。


『待ってくれー!』


 どこかで聞いたような文句を叫びながら少年がこちらに向かって走っている。


『ガキが受けるのか?まさかな』


 老人はディオルガ=ハンリーをちらっと見た。

 老人はまるでディオルガ=ハンリーもそこで走っている少年も大して変わらない所詮ガキであるとでもいいたそうな顔である。



  • ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいねで応援
受付停止中
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。