世界中の美しい風景をこの目で-。自転車に荷物をくくり付け、2大陸20カ国、約3万キロを駆け抜けた新婚旅行は、一途な思いからスタートした。東金市の木村雄志さん、彩さん夫妻=いずれも(30)=が、1年半に及んだ“冒険”を無事に終えて、このほど帰国した。12日に山武市で報告会を開き、文字通り山あり谷ありだった旅の魅力を披露する。
旅を計画したのは雄志さん。大学時代に自転車でユーラシア大陸を横断したが、走破にこだわり、景色などを楽しむ余裕がなかった心残りが今回の旅に駆り立てた。学生時代に出会った彩さんも賛同し、新婚旅行での実現を目指す。2人でこつこつと500万円の旅費を貯め、2013年2月に結婚、半年後に旅立った。
絶景がサイクリストに評判の南米パタゴニア地方の「アウストラル街道」、中央アジアの「パミール・ハイウエー」、カシミール地方の「レー・マナリ・ロード」を通過するため、南米大陸を縦断、ユーラシア大陸を横断するルートを計画。13年9月、自転車に40キロの荷物を積み南米大陸の山岳国、ペルーをスタートした。
陸路でボリビアやチリを経て、翌年3月には南米大陸最南端に到達。そこからスペインに飛び、地中海や黒海沿いにユーラシア大陸を東へ。中東、中央アジアを経由して9~12月にかけてカシミール、ヒマラヤ地方を走破。20カ国、高低差5千メートルに及ぶ旅路を走りきった。同年末に九州から上陸。再び自転車にまたがり今年2月22日、東金市に帰った。
道中にはさまざな苦難が待ち受けていた。サイクリストの憧れであるボリビアの「宝石の道」は、標高4500メートルで酸素濃度は平地の約半分。少し走っては深呼吸を繰り返すため、こぎ続けることができず、自転車を4日間押して歩いた。
中央アジア・トルクメニスタンの砂漠は日中の気温が50度に達する。水がすぐ湯になってしまい、夜間の移動を余儀なくされた。タジキスタンでは雄志さんが39度の熱を出しダウンした。
一方で、イランでは道行く人に「うちに泊まれ」と声を掛けてもらい、「あしたも泊まるだろ」と延泊を勧められた。欧州では、サイクリストのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で出会った友人の家に宿泊。たくさんの人の優しさに触れた。
自転車での旅の魅力を「自由に足を止めて、美しい景色や魅力的な人と触れ合える。風や空気のにおいも感じられる」と表現する雄志さん。「絶景に2人で涙し、時にはけんかもし、絆が深まった。妻も喜んでくれ、旅をして本当に良かった」と振り返る。
ひとつ大きな目標を達成した雄志さんの次の夢は、講演会やブログを通じて若者に旅の楽しさを伝えること。「夢のある若者は、ぜひ一歩踏み出して。言葉は現地で覚えていけば大丈夫」と後押しする。
12日正午から山武市の成東文化会館で開かれる報告会では、会場に旅の写真を展示するほか、講演では夫妻がエピソードを披露する。入場無料。26日にはモンベル渋谷店(東京都渋谷区)で、雄志さんらサイクリスト7人による自転車旅行についてのパネルトークも行われる。問い合わせは雄志さんのメールアドレス(info@ninin-yonrin.com)、ブログURL(http://www.ninin-yonrin.com)から。