首相「準難民」制度の創設検討 人道的見地で受け入れ
岸田文雄首相は16日、難民条約上の「難民」に該当しない紛争地からの避難民らを「準難民」と位置づける制度の創設を検討していると明らかにした。ロシアのウクライナ侵攻に伴う避難民の受け入れを踏まえ、法的枠組みを整える必要性が生じたためだ。
首相は「人道的な見地から受け入れなければいけない人は難民に準ずる形で受け入れようと、法務省が検討を進めている」と述べた。「『この国が良くて、この国が悪い』というダブルスタンダードにならない形で考えている」とも語った。
視察先の新潟市で開いた車座集会で質問に答えた。
日本の難民認定の条件は厳しくウクライナ避難民は難民に該当しない。
政府内では新制度として紛争地からの避難民を準難民にあたる「補完的保護対象者」と認定し保護できる仕組みを想定する。難民と同等の対応とし、定住者としての在留資格が与えられて日本に5年間滞在でき、国民健康保険にも加入できるようにする見通しだ。
ウクライナからの避難民を巡っては日本は13日までに557人受け入れた。避難民の受け入れや保護に厳密な法的根拠はなく政府の裁量に委ねた。
政府は過去に廃案になった出入国管理法の改正案に関し、秋に想定する臨時国会での提出を調整する。「準難民」の考え方は政府が2021年の通常国会で提出した入管法改正案に盛り込んでいた。
21年3月、出入国在留管理局の施設に収容したスリランカ人の女性が死亡する事案が発覚した。野党が反発を強めた結果、廃案となった経緯がある。