1. 煮干しの種類
製法は極めてシンプル。新鮮な状態の小魚を沸騰した食塩水などで煮て、天日もしくは火力で乾燥して作られる。脂肪分が多く酸化しやすいイワシ類は、いったん茹でることで余分な脂肪が落ちる。さらに加熱することで肉質を劣化させる酵素を抑え、素干しとは異なる旨味が出ることから、出汁の素として味噌汁やつゆに最適な原料とされているのだ。
イワシ以外ではアジ、トビウオ、ごくまれに鯛などを原料にしたものあり、全国各地で生産されている煮干し。郷土色豊かな日本料理の伝統の味を、魚由来ならではの旨味たっぷりな味で支えてきた。以下、代表的な煮干しの種類を紹介しよう。
- 片口煮干し
片口イワシを原料とした煮干しで最も生産量が多い。背の部分が白く仕上がる白口煮干し、青く仕上がる青口煮干しもあり、前者は瀬戸内など温暖な内海でとれたもの、後者は千葉や茨城などの外海でとれたイワシを用いている。白口の方が甘味ある出汁に。 - 平子煮干し
近年希少となってきた真イワシを原料とした煮干し。淡泊であっさりした味わいで、隠し味にもおすすめ。 - ウルメ煮干し
ウルメイワシを原料とした煮干し。脂肪が少なく、上品な甘味の出汁がとれる。長崎県が主な産地。 - アゴ煮干し
九州や山陰地方でアゴと呼ばれるトビウオを原料とした煮干しで、独特の甘味が特徴。高級煮干しとして料亭で用いたり、正月の雑煮の出汁をとったりもする。ラーメン用の煮干しとしても人気が高い。 - アジ煮干し
アジを原料とした煮干し。高知などでは欠かせない出汁の素。甘味があってあっさり、魚の臭みがない。苦味も少ないのではらわたを取らなくても大丈夫だ。 - 鯛煮干し
たまたま網にかかった小鯛が原料。鯛を丸ごと使った贅沢なもので、非常にレア。すっきりして上品な出汁は鯛ならでは。鯛めしやお吸い物に。
2. 煮干しの特産地
3. 煮干しの選び方
4. 煮干しの美味しい食べ方
しかし、時間さえあれば、最もカンタンな方法がある。それは、翌朝のために煮干しを1晩水につけておくこと。じっくり水出ししておいた旨味の強い出汁で、とびきり美味しい味噌汁を作ってみてほしい。
このほか、煮干しはカルシウムたっぷりで、そのまま食べても美味しい。少々小さめの煮干しを選べば食べやすいので、子どもと一緒におやつとしてぽりぽり食べるのはいかがだろうか。100gの煮干しには2200mgのカルシウムがあるといわれ、DHAもEPAも摂れるのでおすすめ。噛み応えがあるので、小腹が空いた時にかじれば満足感が得られ、余計なカロリーを摂らずに済むだろう。ただし、塩分が高いので、食べすぎには注意。食塩無添加のものを選ぶのも手だ。