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この作品「逃げ出す夢主と追いかける悟②」は「夢小説」「単語変換」等のタグがつけられた作品です。
逃げ出す夢主と追いかける悟②/ハル@低浮上の小説

逃げ出す夢主と追いかける悟②

3,598文字7分

悟目線です。割とベタ惚れのくせに素直に認められない。とんでもクズ小学生精神の悟です。

2023年3月2日 16:09
1
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・主の夢が詰まった話です。悟は小学生精神です。(好きな子はいじめたいみたいな)
・誤字脱字は脳内変換でお願いします(気づいたら直します)
・悟は話す時は「僕」心の中は「俺」で話してます。
・解釈違い等あれば、バックすることをオススメします。大丈夫な方は読んでいってもらえたら嬉しいです。

—————————————————————————————————————————————————————————————————————-


「へぇ、ここがお前の部屋なんだ。なんもなさすぎてウケんね」
店の前を掃除していたら、当たり前のように悟が声をかけてきた。
初めは無視してしまおうかと思ったが、それは悟が許さなかった。
仕方なく、硝子に休憩をもらい自分の部屋に連れてきた。
当たり前のように私の部屋に上がり、くつろぐ彼を見てモヤモヤした感情が私を支配している。
なぜ。彼は私の居場所がわかったのか。
何をしにきたのか。
「なぁんにもないじゃん、家具は?捨てたの?」
「………」
答える気はないと言わんばかりに、彼に背を向けてお茶を入れる。
早く帰って欲しい、彼を忘れたくて彼のいないところに来たというのに。
家具は引っ越すときに全て破棄した。
すごく勿体無い気もしていたが、彼のと思い出が多すぎてふとした時に悟を思い出しそうで嫌だった。
だから私の部屋は今、布団以外何もない。
キッチンに備え付けの机と椅子があるくらいだ。冷蔵庫は元の家主が置いて行ってくれたらしいものを使わせてもらっている。
買いに行く予定ではあったがそれは当分先だろうと思っていた。
「ねえ、なんで無視すんの?」
背後に気配を感じ、振り返ると悟が立っていた。
「別に、無視なんてしてない」
私がそう答えると、「ふぅん、ならいいけど」と興味なさそうに悟は言った。
彼の前にお茶を出し少し離れたところに座る。
「何しにきたの」
「…彼女の心配してわざわざ電車乗って来てやったのにそんな言い方なくない?」
彼女?笑わせる。
あんたがそう思ってないことをこっちは知っているというのに。
白々しくそんなことを言う悟に腹が立つ。
「つか、社会人なんだから急に会社辞めるとかやめなよ。みんな困ってたよ」
困る?
それは仕事をサボれない同僚たちか?私に罵声を浴びせることでストレス発散してる上司のことか?
そんな奴ら勝手に困っていればいい。
やめた私には関係のないことだ。
「僕だってお前近くにいないの不便だし」
不便?
わざわざ電車でセフレに会いにくるのはさぞかし面倒なんだろう。
だったら私じゃなくて他の子にすればいい。あの会社には悟とそういう関係になりたがってる子がたくさんいる。
実際、彼の周りに何人もの女の影があることを私は知っていた。
知っていたけど、見て見ぬふりをしていた。
嫌われたくなかったから。
「こんなボロアパートさっさと退去してさ、引越ししたら?なんなら、僕とそのまま…「どうしたら」ん?」
彼の好き勝手な意見に口を挟む。
ここは硝子が手配してくれて確かに少しボロではあるが、とても住み心地がいい。
それを何も知らない悟に言われるのは耐え難かった。
彼とこれ以上会話してしまうと、自分の選んだこと全てが否定されてしまいそうで怖かった。

「どうしたら、帰ってくれる?」

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悟目線。

夢主と言う子がいる。
別に特別美人でもないし、愛嬌があって可愛いとかそんなんでもない。どこにでもいる普通の子。
でも家庭的で人が見てないところで頑張るタイプの健気な子。
他の女たちが自身の爪やら髪やらを施して、ブランドで身を固めている中で彼女は少し浮いている気がしていた。
「これ私の手作りなんです〜」と女たちが持ってきたものは某有名デパートのお惣菜を詰めた弁当やらお菓子たち。
「(俺が知らないって思ってんのかね。)」
割と裕福な家庭に育っているから、老舗のものから有名な高いものはあらかた食べてきている。
だから、手作りと言いつつ持ってくる女たちの嘘は余裕で気づいていた。
そんな女たちに混じってぎこちない笑みを浮かべながら、ランチをしている彼女を初めて見た時、こいつもその類の女なのかと思っていた。

「ねぇ、これ何?」
珍しく1人で食べている彼女に声をかけたのがきっかけだった気がする。
見たことない弁当の中身、いかにも庶民派な手作り弁当に俺は俄然興味が湧いた。
「えっと、これは余った野菜を使ったオリジナルのおかずで…。」
夢主は俺の質問に困ったように笑う。
「それって手作りなの?」
「そうですね…お金があまりないので節約したくて」
へぇ…今どきこんな庶民的な子っているんだ。
それから夢主の印象が大きく変わったような気がする。
恋愛にとても奥手で、こちらの言葉に困ったように笑ったり恥ずかしがったり、本当に嬉しそうに笑ったり、怒ったり。
色んな表情が見えるたびに俺は彼女に惹かれていった。
でも、それを口にするのは照れ臭かった。
体の相性も良かったが、夢主の体力がないせいで次の日辛そうにしたのを見かけてからは他の女で処理したりした。
それを知っていても彼女は何も言わなかった。
そこがまた気に入った、空気の読める子なんだと。
俺の嫌いな問答を言わない出来た女なんだと。

「五条さん、最近付き合ってるとか言ってた子どうなったんすか〜?」
明日から出張だからその準備諸々で残業していた時のたわいない会話。
男同士になるとどうも下世話な話になる。別に嫌いじゃないけど。
でも、夢主のことを手放しで褒めるのはなんとなく照れ臭い。まるでこっちがベタ惚れみたいで。
「あいつ?あー…あいつね、セックスはうまいのよ。だからセフレって感じ」
そういうと同僚たちは「いいなぁ〜」「貸してくださいよ〜」と口々に言う。
それを軽く流して作業に戻ろうとした時、廊下が騒がしいことに気がついた。
「なんかあったんすかね」
「さぁ」
なんとなく見に行ってみると、人だかりの中心には夢主がいた。
体調不良で倒れたとか、周りの奴らが騒いでいる。
心配ではあったがここで俺が出て行ったら、別の意味で騒がれる。それは面倒だから避けたい。
ふと、彼女が俺を見た気がした。
一瞬目があったが次の瞬間にはどこか諦めたような、悲しい顔をして彼女は目を伏せたのだった。
なんでそんな顔したのか俺にはさっぱりわからなかった。

出張から帰るといつもの席に彼女はいなかった。
てっきり休みかと思ったが、退職したらしい。派手な爪をした女が俺にそういった。聞いてないんだけど。
「電話とかも繋がらなくてぇ〜困ってるんですぅ〜」
「仕方ないから、手紙で仕事の引き継ぎしてるんですよ〜常識なさすぎません〜?」
「ふぅん、大変だね。」
「これお土産ね〜」と近くにいた女に渡すと黄色い声が上がる。
女たちの声を聞きながらしながらふとデスクを見ると付箋で彼女の新居らしい住所が書かれている付箋があった。
それを暗記して、俺はその場を離れた。
スマホでその住所を検索すると、電車で行かなくてはいけないところだった。
なんだってそんなとこに引越ししたんだか。
彼女のために買ったお土産を持って会いに行ってやろう。
きっと喜ぶに違いない。
彼女の顔を想像して俺は口角を上げた。


電車に揺られて降り立った場所は結構な田舎感を感じる土地だった。
スマホで住所を調べながらようやく彼女を見つけた。
だと言うのに、なんだかさっきから刺々しい態度だ。
「何しにきたの」
「…彼女の心配してわざわざ電車に乗ってきてやったのにその言い方なくない?」
俺がそう返すと夢主は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「つか、社会人なんだから急に会社辞めるとかやめなよ。みんな困ってたよ」
別にやめる分には文句はない。
あの仕事できない上司やうるさい女たちから解放されればさぞ彼女のストレスもなくなるだろう。
「(どうせ、結婚したら辞めることになるだろうし)」
問題は俺に相談しなかったことだ。
急に連絡取れなくなり、こんな田舎に引っ越すなんて聞いてない。
「僕だってお前近くにいないと不便だし」
流石に会社帰りになってしまうと、会う時間は限られてしまう。
それに田舎だから店も早く閉まるし、電車の終電も早そうだ。
「こんなボロアパートさっさと退去してさ、引越ししたら?なんなら、僕とそのまま…「どうしたら」ん?」
同棲でもしちゃう?なーんて冗談みたいに言ってやろうかと思った時、珍しく彼女が口を挟んできた。

「どうしたら、帰ってくれる?」

…………は?




コメント

  • aaa

    某漫画をオマージュされているようなお話…!いいですね!クズには制裁を!!!五は死ぬほど苦しむ羽目になってください←

    3月3日
    返信を見る
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