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この作品「自分に興味なくした悟とさよならした話①」は「じゅじゅプラス#夢術廻戦#五条悟#女主」「夢小説」等のタグがつけられた作品です。
自分に興味なくした悟とさよならした話①/ハル@低浮上の小説

自分に興味なくした悟とさよならした話①

2,884文字6分

夢主と付き合っているのに、他の女に目が行く悟とバイバイする話

2023年6月27日 17:28
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「俺、お前のこと好きだよ」
突然言われた言葉に私は足を止めて振り返る。
そこには、顔を赤らめてこちらを見ている同級生の悟がいた。
私も好きだよと伝えた時の悟の顔。

今ではもう思い出せない

付き合って半年くらいはとても楽しかった。
同級生から恋人に関係が変わって慣れないことばかりでドキドキして、その度に2人で笑った。
変わり始めたのは、一年経った頃だった。
一つ下の後輩の女の子がいた。
長い髪をくるくると巻いて男子が好きそうな化粧を施していて、任務に行くには長すぎる爪をしている彼女が来てからだった。
初めは、悟もあまり興味なかったようだが任務で一緒になった際に共通の話題があったらしくそこから急速に仲良くなって言ったようだった。
私との約束を破って彼女と出掛けている姿を何度も何度も見た。
その度に悟に詰め寄ったが、悟は「別に後輩と遊びに行っただけじゃん」と悪びれなくいう。
それでも嫌だと伝えれば、めんどくさそうに返事される。

それでも、別れなかったのは彼の言葉を信じていたからだ。
真っ直ぐ私を見て好きだと言ってくれた悟を信じていたから。
今は彼女に気が向いていても、いつか私の元に戻ってくると信じて疑ってなかった。

「今度の日曜日さ、どっか行こうよ」
教室で悟と久々に2人きりになり、私はそう声をかけた。
雑誌を見ていた悟は目線をくれることはなく、「ん〜」と間延びした返事をする。
「聞いてる?」
「んー聞いてる」
せっかく2人だと言うのに雑誌から目を離さない悟に私は小さくため息をついた。
小さな沈黙を破るように、悟のケータイがチカチカ光った。
多分、メールだろう。
画面を見た瞬間に、目がイキイキとし始めた悟
その姿だけで、メッセージの相手がわかってしまった。
突然雑誌を放り出して廊下に出ていく悟を私は見送る。
追いかけなくても、廊下にいる気配でわかる。
あの子がきたんだ。悟に会いに。
私が送ってもあんな風にすぐに駆けつけてくれたりはしない。
わかっている、でも信じているんだ。
今だけ、だと。

日曜日。
久々のデートに緊張して眠れなかった私はかなり早く目が覚めてしまった。
どんな髪型にしようとか、服装はどんなのがいいだろうとか、今日はここに行ってみたいとか。
考えるだけでウキウキして、早く会いたいって思って。
そんな私の気持ちを見透かしたように悟から連絡が来た。

【任務で行けなくなった】

その文面を見た瞬間に浮き足だった私の気持ちはしゅんと萎んでしまった。
任務なら仕方ない。だって彼とは等級が違うから。
学生のうちから特級術師である悟にしかできない任務なんだろう。
仕方ない。
わかったと返事をして彼の返事を待ったが、既読がついただけで謝罪の言葉はなかった。
せっかく早起きしておしゃれをしたのだ、買い物に行こう。
好きな服とか美味しいものを食べて気分を紛らわそう。
そう、考えたのが行けなかった。
外に出ないで、家で過ごせばよかったんだ。
そうしたら、傷つかなくて済んだかもしれないのに。

買い物も特別いいものはなくて、ブラブラと街を散策していた。
天気予報では今日は一日晴れのはずだったのに、鉛のような雲が空を覆っていた。
雨が降る前に帰ろうかと店を出た時。
見覚えのある白髪頭とサングラス、長身の彼は良くも悪くもとてもよく目立つ。
このあたりで任務だったのだろうか
「さと・・・!!」
手を挙げて呼び止めようとしたが、目に飛び込んだその情景に言葉を失った。
隣で嬉しそうに笑うあの子がいた。
その彼女を見て優しく笑う悟。
道ゆく人が「お似合いだね」と小声で話し合っている。
「(あぁ・・・本当だ)」
並んで歩く2人はとてもお似合いだった。
美男美女が並んで歩くとこうも華やかになるものなんだ。
悟を呼ぼうとした手は力なくだらりと下がっていった。
目線が段々と下に下がっていた。
多分、これ以上あの2人を見ることに耐えきれなかったんだと思う。
地面にポツポツとシミができていた。
雨が降って来た。
でも私はそこから動くことができなかった。顔を上げたらまだ2人をいるような気がして。

【今日楽しかったな】

ずぶ濡れで帰った私の元にとどめを刺すように悟から誤爆のメッセージが届いた。
「任務じゃなかったの?」
私が震える指でそう返信すると、しばらくしてから【ごめん、傑と間違った】と返信が来た。
その返事が来た瞬間に、堪えていた涙が堰を切ったように溢れ出した。
知ってるよ、これを送った相手が夏油くんじゃないことも悟と楽しかった時間を過ごした人が誰だったのかも。
施した化粧はぐしゃぐしゃになって、巻いた髪も雨でぐちゃぐちゃ。
そんな姿を鏡で見て、私は自傷気味に笑う。
「こんなんじゃ、悟が興味なくすのも仕方ないよ」
どんなに頑張っても私はあの子のような可愛くはなれない。
悟の隣にいてお似合いだと言ってもらうことは到底無理だ。
ぼんやりした頭で、動かない体でケータイを開きポチポチと文字を打つ。

【今までありがと】

返事はどうせ来ないだろうと思い、電源を切って私は布団に潜り込んだ。


次の日、私は夜蛾先生に京都校への編入を申し出た。
これ以上あの2人を見ることに耐えきれなかったから。
丁度、京都校からも任務のために呪術師を派遣してほしいと要望があったらしく私の訴えはあっさり通った。
話を聞いた硝子は。
「それが一番いいよ、あんたのためにも、五条のためにもね」
硝子はそう言ってタバコを吹かしていた。
私は何も言えずコクリと頷いた。


最後に一目、悟を見たくて彼が任務を終わらせるのを教室で待っていた。
今日で会えるのは最後だから、最後に少しだけ。
未練がましいと自分でも思う。
でも、付き合った期間は短かったけどやっぱり好きだった。
笑って名前を呼んでくれた悟が好きだった、だから最後にもう一度だけ。
笑って名前を呼んでほしい。
そんな小さなわがままくらいなら、悟も叶えてくれるんじゃないかって。
少しだけ、期待して。

廊下に人の気配を感じた。
話し声が聞こえて、席を立つ。
聞き間違えるはずのない、大好きだった彼の声。
「さと・・「悟くん!任務お疲れ様っ!!」
声をかけようとした時、背後から聞こえてきた声に私は思わず身を隠した。
「おーお疲れ」
顔は見えないけど、声色でわかる悟の嬉しそうな顔。
「今日、暇かな?もしよかったらこれから遊びに行かない?」
「ん、いく。準備してくるわ」
「やった!じゃあ正面の門の前で待ってるね」
「ん、了解」
去っていく足音を聞きながら、私は壁を背にズルズルと座り込んだ。
口に手を当てて必死に声を抑える。
そうしないと、大声で泣いてしまいそうだったから。
もう、悟の中で私は過去の人になったんだ。
名前を呼んでもらうことも叶わないほど、遠い過去の人間になってしまったんだ。
ただただその事実に打ちのめされた私は、夕日すら入らなくなった教室で1人泣き続けた。

コメント

  • 未設定

    あまりにも最低

    7月13日
  • れもん
    6月30日
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