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無職転生 - 異世界行ったら本気だす - 作者:理不尽な孫の手

第17章 青年期 王国編

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 間話「女子会」

 ルーデウスが男共と酒を飲んで酔っぱらい「カカァがなんぼのもんじゃい」と叫んでいる頃。


 ルーデウス邸の2階の寝室。

 巨大なベッドの上では、寝間着を着た三人の女子が顔を突き合わせていた。


「では、第26回グレイラット家の定例会議をはじめます。拍手」


 白い髪のショートカットの女の言葉に、青い髪の少女がパチパチと拍手をした。

 赤い髪の女は、正座をしつつ、真面目な顔で拍手を追従する。

 約一名、少女というには少々年齢が過ぎているが、それを口にするとルーデウス邸の旦那が大魔神のように怒るので注意が必要である。

 見た目が中学生ぐらいならいいじゃないか、というのが旦那の談である。

 もしここが異世界でなければ、だからこそアウトなのだと言い返されるだろう物言いだ。


 さて赤い髪の女――エリスは、きょとんとした顔で、残り二人の顔を見た。

 彼女は、夜中に庭で訓練をしていた所、シルフィに引っ張られて、この寝室へと連れて来られた。

 なんの説明も受けておらず、少々困惑していた。


 白い髪の女――シルフィエットはこほんと咳払いをした。

 彼女はいつもどおり、柔らかい布地の上下という、ルーデウス好みの寝間着を着用していた。


「では、先日ボクたちの仲間入りをしたエリスのために説明します」

「説明はわたしから」


 そこで、青い髪の少女――ロキシーがずいっと前にでた。

 彼女はワンピース型の寝間着で、知らない人が見れば子供にしか見えないほど可愛らしいデザインだった。


「この会議は、仲違いをしやすい立場にある我々が仲良くやるためにとシルフィが企画したものです。

 それぞれ、思惑や嫉妬、独占欲などあるでしょうが、

 そうした事でわたしたちが争うことを、ルディは望んではいません。

 わたしたちは妻として、この家をルディにとって居心地のいいものにするべく、努力しましょう」


 エリスは己の服装を見下ろした。

 地味でラフな姿だ。

 明日にでも寝間着を買いに行こう、とエリスは心に決めた。


「エリス、聞いてる?」

「だ、大丈夫よ!」


 エリスはコクコクと頷いた。

 ルーデウス邸にきてから約20日。

 ここ最近、エリスは敗北感にまみれていた。


 主に、シルフィの女子力の高さに。

 料理に始まり、洗濯掃除、ルーデウスの着物から家の家具に至るまで、全てはシルフィのセンスによって選ばれていた。

 ルーデウスの世話を甲斐甲斐しく焼き、生活面で助ける。

 その上、王女の護衛として仕事につき、金銭面でもルーデウスを助けている。

 どちらも、エリスがルーデウスと一緒にいる間は出来なかったことである。


 彼女がルーデウスのお嫁さんである事には、流石のエリスも異論を挟めなかった。

 それどころか、自分が彼女と同列に扱われる事にむず痒さすら覚えていた。


「とにかく、何か言いたいことがあったら、この場で言ってね。

 ルディの前まで喧嘩を持ち込まないようにしよう。

 最近、ルディは忙しそうだから。

 出来る限り、ボクらの事で煩わせないようにしてあげないと」

「わかったわ」


 エリスは真面目に頷いた。

 家の中では喧嘩をしない。

 ルーデウスを煩わせない。


 エリスはここ最近、ルーデウスと一緒になるという事だけを考えていた。

 そうすれば幸せになれると妄信的に信じていた。

 それ以降の事は薄ぼんやりとしか考えていなかったエリスは、その事にガツンと頭を殴られた思いであった。


「というわけで、今日の議題はお互いの事です。

 ボクらはエリスの事をあまりよく知らないし、

 エリスもボクらのことはよくしらない。

 ってことで、お互いを知って、親睦を深めましょう」


 そう言いつつ、シルフィがベッドの下から取り出したのは、ここらで一般的に飲まれている、強い酒だった。

 ロキシーが棚からコップとトレイ、予め用意しておいたツマミを取り出し、ベッドの真ん中に置いた。

 シルフィは酒の瓶を、ベッドの上に突き刺すように置きつつ、言った。


「さしあたっては、今日は腹を割って話そう。

 それぞれ、ルディと出会ってから、今に至るまで。

 自分がどれだけルディが好きかってのを、ぶちまけてみよう」

「望む所よ!」


 エリスは胸を張って答えた。

 ルーデウスが好きな事に関しては、誰にも負けないつもりであった。


「じゃあ、ボクから行くよ。

 ボクがルディと出会ったのは、まだブエナ村にいた頃。

 確か、まだ5歳ぐらいだったかな――」


 こうして、ルーデウス邸の女子会は開催された。



---



 ルーデウス邸の女子会は、深夜遅くまで続いた。

 ロキシーは妊娠中であるがゆえに酒は遠慮し、エリスは体質の問題かホロ酔いというレベルだった。

 ベロベロに酔っ払っていたのは、シルフィだけである。


「ボクはね。初めて友達になったのがルディだったんだ。その頃から、ずーっと好きだったんだ。

 懐かしいなぁ。ルディ、ボクをギュっと抱きしめてくれてさ。

 何も言わないんだけど、こうやって、こうやってギュってね……ウヘヘ」


 そのシルフィは、酒臭い息を吐きつつ、エリスにベッタリと抱きついていた。


「何よ。私だって、ルーデウスに抱きしめられた事ぐらいあるんだから」

「さっき聞いたよ。エリスはいいなぁ。一番いい時期にルディと一緒にいてさぁ。ルディの初めてももらってさぁ。ルディって初めての時、どうだった? ボクとの時はなんかすごかったけど」

「べ、別に、普通だったわよ? でも、し、シルフィだって、ルーデウスの初めての子供作って、結婚して……そっちの方が羨ましいわ」


 と、会話が不穏な方向へと行きそうになった時に割って入るのはロキシーである。


「まあ、初めてでなくともいいではないですか。わたしはルディの初めては何一つもらえていませんが、幸せですし」

「ブーッ! ロキシーアウト! だって、ロキシー一番じゃん。一番ルディに尊敬されてるじゃん」

「尊敬は……なんでルディはあんなにわたしを尊敬してくれているんでしょうね」

「ルディは言ってたよ。ロキシーは一番大切な事を教えてくれたって! なんかすごい事教えたんでしょ! ルディが好きそうな、エッチな事とか!」

「ルディは教えるまでもなく、すでにエッチでしたよ。水浴びとか覗きに来ましたからね……ていうか、普通に勉強を教えただけなんですが……うーん」


 ロキシーはそう言って、考えこんでしまった。

 本当に、ルーデウスは自分のどこが気に入ったのだろうか。

 なんだか、最初に出会った時からやけに懐かれていた気がするが……。

 何を教えたのだろうか。

 本当に心当たりが無かった。


「まぁロキシーは別格としても、エリスも一味ちがうんだよなぁ。ボク、なんか自信なくなってきたよ……」

「一味って、なにがよ……?」

「だって、エリスってさ、なんかルディと……同じぐらい強いじゃん?

 隣に立って戦えるのは羨ましいよ。

 ボクも頑張って結構強くなったつもりだけど、ルディには敵わないしさ。

 ルディはボクの事、守ろうとしてる感じでさ。それは嬉しいけどさ……」


 ウジウジと悩むシルフィは、かなりダメな酒になりかけていた。

 だが、エリスはそれを見て、優越感に浸ることはなかった。

 エリスはルーデウスと釣り合いが取れるようになる、という目的で剣の聖地に赴いた。

 実際に、ある程度実力は拮抗したかに思えた。

 模擬戦でも、魔術を使ったルーデウスに勝てる。

 そうしたものを目指していて、到達出来た。そこに達成感はある。


 けれども、やはり、シルフィとルーデウスの関係が、少し羨ましかった。

 自分は絶対にこうはなれないとわかっているからこそ、なおさら。


 シルフィが悩み、ロキシーが首をひねり、エリスが腕を組んだ時。

 寝室の扉が開いた。


「失礼します。奥様方」

「あっ、リーリャさん」


 扉から入ってきたのは、メイド服姿の中年女性――リーリャだった。

 彼女が持つトレイの中には、芋のごった煮のようなものが湯気を立てていた。


「お夜食の追加をお持ちしました」

「これは、申し訳ありません、リーリャさん」

「いいえ、ロキシー様。奥様方のお世話をさせていただくのも、メイドとして当然の努めです」


 頭を下げるロキシーに、頭を下げ返すリーリャ。


「そ、その、あ、ありがとう、ござりまするわ」

「いいえ、エリス様。お礼など必要ありません。ルーデウス様の奥様となられた以上、私にとっては主人なのですから」


 エリスはというと、リーリャとの接し方を、少々決めかねていた。

 メイドはフィットア領の屋敷にもたくさんいた。

 しかし、リーリャをそのメイドと一緒の扱いをしてはいけないのは、エリスもなんとなく察していた。

 彼女はルーデウスの妹の母親。

 言ってみれば、乳母か、第二の母親のようなものである。

 エリスの中で、『ルーデウスの母』に嫌われるわけにはいかないという心理が働いていた。


「それと、あまりかしこまらなくても結構です。エリス様のことは、ブエナ村にいた頃から、よく聞き及んでいますので……」

「な、なんて?」

「えーと……」


 リーリャは言いよどんだ。

 ブエナ村にいた頃に聞かされたエリスの情報というのは、それはそれは酷いものであった。


「あまりにも乱暴者で手が付けられなく、貴族の淑女として生きていくのは不可能な……その、山猿だと」

「…………」


 エリスは口を尖らせた。

 正直、剣の腕以外は、あの頃とあまり変わっていない。

 頑張っていた時期もあったが、結局は全て捨ててしまった。


「それが、ご立派になられましたね。剣王様とは……フィットア領のご領主様も、今のエリス様をご覧になれば、鼻が高いでしょう」

「そうね……でも、お父様もお祖父様ももう……」

「あっ、これは申し訳ありません」


 リーリャは悲しそうな顔をしつつ、頭を下げた。


「いいのよ。あんな事件だもの。どこにだって、不幸は転がっているわ。

 ルーデウスのお父さんとお母さんだって……」

「……」


 一瞬にして湿っぽくなってしまった空気の中、温かい料理だけが湯気を立てていた。

 その空気に居心地の悪さを感じたのは、シルフィだった。


「そ、そういえば、リーリャさんってルディが生まれた時の事も知ってるんだよね」

「……はい。もともとはルーデウス様の乳母として雇われましたので」

「ボクとかロキシーに会う前のルディって、どんなだったの?」

「生まれてすぐのルーデウス様ですか?」


 そう言われ、リーリャは昔の事を思い出す。


「そうですね、最初は、ルーデウス様の事を不気味に思っていました」

「えっ? なんで?」

「さて、なんででしょう……ルーデウス様は、神出鬼没で、見つかったと思ったらニヤニヤと笑っている事が多かったからでしょうか」


 リーリャはその時の事を思い出して笑った。

 ルーデウスは可愛い子どもだったのに、なぜ自分はああも避けていたのだろうと。

 当時は確かに気持ち悪く感じていたのだが、時がそれを忘れさせ、いい思い出だけを残したのだ。


「あー、でも、それは今もそんな変わらないよね?」

「そうですね。ですが、当時から抱き上げると胸を揉んで、いやらしい笑みを浮かべる事も多くて……」

「……それも、今とあんまり変わらないよね?」

「…………言われてみるとそうですね」


 ルーデウスは昔からエッチなガキだった。

 そんな話を聞いて、やや微妙な空気になったが、一人だけ、それを聞いてフフンと鼻を鳴らした。


「リーリャの胸が好きだったなら、私でも問題ないわね」


 それは、非常に豊満なバストを持つ、赤毛の女の発言だった。


「ちょっと心配してたのよね。シルフィもロキシーも小さいし、私で大丈夫かなって」

「ル、ルディはそういうの気にしないからね」


 シルフィはそう言いつつも、やや震え声であった。


「そういえば、旅をしてる最中も、女の胸ばっかり見てたわね」

「えー、旅でも? あ、でもそういえば、結婚してすぐの頃も、隙あらばボクの胸を揉もうとしてた。休みの日とか、一日中触ってたし」

「わたしはあまり、揉まれたことがありませんね……お気にめさないのでしょうか……」


 ロキシーはややしょんぼりとしつつ、己の胸を揉んだ。

 しかし、残念ながら揉みしだけるほどの大きさは無かった。

 悲しきことである。


「それでは、私はこれで……」

「リーリャさんも一緒に飲もうよ。たまにはさ」


 部屋から出ようとしたリーリャを、シルフィがとどめた。

 それにロキシーも同調する。


「そういえば、ブエナ村にいた時も、リーリャさんとお酒を飲んだことはありませんでしたね……わたしはこの通りなので飲めませんが、せっかくですし、どうでしょう」

「はあ、しかし、ゼニス奥様のお世話もありますので」

「じゃあ、ゼニスさんも一緒にさ」

「そうよ。大人なんだもの、お酒ぐらい飲めるわよね!」


 シルフィとエリスが追従した。

 酔っぱらいとは勢いのある生物である。

 シルフィはあっという間にリーリャを丸め込み、ゼニスまでをも巻き込んで酒乱の饗宴を盛り上げていく。



---



 エリナリーゼは、クリフがいない夜を寂しく思っていた。

 本日、クリフは出かけていった。

 ルーデウスと男と男の話があると、男らしく宣言し、出かけていった。

 エリナリーゼは男のプライドを踏みにじる事なく、いってらっしゃいと声を掛けた。

 そんな自分はなんて貞淑でいい女なのだろうと自己陶酔に浸った。


 しかし、すぐに手持ち無沙汰となった。

 妊娠中でもお構いなしにクリフを抱いていたエリナリーゼでも、相手がいなければ性欲を満たすことは出来ない。

 もっとも、妊娠中は性欲もそれほど大きくなることはなかった。

 一日ぐらいはしない日があってもいいものだ。


 そんなエリナリーゼは、シルフィやロキシーの様子でも見に行こうと、グレイラット邸へと足を伸ばした。

 彼女が見たのは、酒宴を楽しむグレイラット邸の淑女5人であった。


「あらあら、なかなかおもしろそうな事になっていますわね」

「あっ、おばあちゃんだ。リーゼおばあちゃん、お腹おっきくなってきたねー、ボクの弟かな、妹かな? あれ? でもクリフがお父さんってことは、ルディが……えっとえっと」


 エリナリーゼが着いた時、シルフィはエリスの胸を後ろから揉みしだいている所だった。

 エリスはそれに反応することなく、据わった目で黙々と料理を食べ、お酒を飲んでいた。

 ゼニスは、エリスの晩酌をするかのように、トクトクと杯に酒を注ぎ続けている。


 その傍らでリーリャも飲んでいた。

 ロキシーに酌をしてもらいつつ、クドクドと彼女に絡んでいた。


「ロキシーさん、どうして、私の娘は、ルーデウス様に愛してもらえないのでしょうか!?」

「愛してもらっていますよ」


 ロキシーはお腹に子供がいて、酔っぱらえないのがもったいないと思いつつも、リーリャの言葉に真摯に答えている。


「ただ、あくまで妹として、ですが……」

「女の幸せは、やはり男に愛して貰うことなのではないでしょうか!?」

「確かにわたしは幸せですが、無理にルディに愛してもらう必要は無いかと……アイシャは優秀ですし、いずれいい相手がみつかるはずです」

「ルーデウス様以上のですか!?」

「ルディ以上の男はそうそういないでしょう……そう考えれば、私も捨てたものではないですね。なにやら青田買いをしてしまった感じもしますが」


 エリナリーゼはそれをみた瞬間、冒険者ギルドで結婚できない女性の集会を思い出したという。

 この場にいる全員が結婚しているにも関わらず、そんな集会を思い出した。

 そのせいで、パウロとルーデウス。

 親子の業の深さを思い知ったのだが、それはとりあえず脇においておいた。


「まったくもう、こんなのを見たら、ルーデウスが泣きますわよ。女が酔っ払った姿を見せていいのは、男と二人っきりの時だけですのよ」


 エリナリーゼは嬉々としてその集会へと足を踏み入れた。

 彼女に恐れるものなど無かった。


「おばあちゃんったら、そんなこといってー。あ、そうだ。

 おばあちゃんって、いっっつもロキシーにエッチな技術のことを教えてたよね。

 なんでボクには教えてくれないの? ねえ、なんで?」

「あぁ、もうシルフィったらこんなに飲んで……あなたに技術を教えなかったのは、

 あなたが何もしらないウブな小娘だと思わせた方がルーデウスが興奮するからで……」

「だぁったら、もういいよね、ボクにも色々教えてくれるよね。

 もう、ベッドの上で、ルディに好き勝手にされるのは飽きました!

 そろそろ、ルディをひーひー言わせてみたいです!」


 エリナリーゼはその惨状を見て、数秒で理知的な考えを捨てた。

 彼女の脳は、自分も飲んで、仲間入りしなければ、という判断を下した。


「とりあえず、一杯貰いますわよ」


 エリナリーゼは空いている杯を一つ手に取り、駆けつけ一杯とばかりにグイッと煽った。

 それを見て、シルフィが指を突きつけた。


「あー! いけないんだ。お腹のおっきな人が、そんなにぐいぐいお酒のんで、いけないんだー!」

「そういう事はロキシーに言っておやりなさいませ」

「いいもーん、ロキシーは飲んでないから、問題ないもーん。それに飲んだって解毒魔術使えるし、問題ないもーん」


 シラフのシルフィであれば言わないような事であるが、今日の彼女は酔っていた。

 エリナリーゼはどっこらしょと空いた椅子に座りつつ、会話に加わる。


「わたくしだって、学校で解毒ぐらい学びましたわ」

「ボクなんて無詠唱だもんねー」

「あー、はいはい、凄いですわね、さすがわたくしの孫ですわ」


 鼻たかだかに自慢するシルフィを、エリナリーゼは軽くかわしつつ、つまみを口に入れ始める。


「おばあちゃんの孫というより、ルディの教育のお陰だもん。魔術でもベッドの上でも、ボクはルディのいいなりさ」

「そういう女も、男はそそるもんですわよ?」

「でしょー? ルディったら、ボクとする日は気合が違うもんね。えへへ」


 完全に出来上がっていたシルフィにエリナリーゼが酒量で追いつくのは、それから約1時間後の事である



---



 その日、五人の女はひたすらに飲んだ。

 飲んで、飲んで、飲みまくり、心の膿を吐き出した。


 ルーデウスが最近なにやら裏でこそこそ動いている事への不安感。

 ヒトガミやオルステッドへの不信感。

 でもなんとかなるよね、という楽観。

 そういった事を交えつつも、酒は勢いを増し、一時の幸福感を彼女らへと与えた。


 一人だけシラフのロキシーは、全員が飲み疲れて眠りにつくまで、彼女らの愚痴に付き合い、最後には全員に解毒魔術を掛けた。

 そして、自室へと戻り、明日の学校に備えてベッドに入った。

 彼女は、明日も仕事であった。



 ロキシーが、この会合に参加できず、一人だけ不貞腐れて寝てしまった少女の事を思い出すのは、翌日の朝の事である。

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