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なぜ「ビッグモーター」で不正が起きたのか レオパレスや大東建託との共通点

ITmedia ビジネスオンライン / 2023年7月19日 10時32分

 団塊ジュニア企業が拡大路線を突き進んで現場に不正を強いているのは、かつて日本軍が負け戦でも撤退できず、現場に「玉砕」を強いた問題の延長線上にある。つまり、日本型組織の典型的な「病」のひとつなのだ。

 例えるのなら、団塊ジュニア企業が「人口急増」という「上りエスカレーター」に乗って、ここまで順調に成長してきたのだ。

●「計画経済」を参考にした結果

 実は今日の成功は、エスカレーターのおかげだが、経営陣は何やら自分たちの「営業努力」によってなし得たと過信してしまう。だから、苦しいときこそ原点に立ち戻ろうと、強気の拡大戦略にこだわる。広告をバンバンうって、現場の戦意を高揚させて、高い目標を設定してお尻を叩くなどの「努力」をすれば報われると勘違いしてしまう。

 しかし、残念ながらこの努力は報われない。2000年代に入ると、少子化が深刻化してあらゆる市場がシュリンクしているからだ。つまり、団塊ジュニア企業の多くは自分たちが気づかぬうちに、いつの間にやら人口減少・低成長という「下りエスカレーター」に乗ってしまっているのだ。

 だから、上りエスカレーターに乗っていたときと同じ事業戦略を続けてもうまくいかない。むしろ、残念な結末になる。ドミナント戦略や全国制覇はその典型だ。

 このような過去の栄光に引きずられていることに加えて、団塊ジュニア企業が拡大路線に固執してしまうのは、もう一つ理由がある。それは「成長とは計画を立てたその通りに進めていく」という旧ソ連の「計画経済」という思想だ。

 僭越(せんえつ)ながら筆者は17年ごろから本連載で繰り返し、人口減少の日本では今後、「ノルマ」由来の企業の不正が増えていくことを予想させていただいている。

『大企業のノルマが、「不正の温床」になる本質的な理由』(2017年11月07日)

 「ノルマ」と聞くと、戦後日本を占領した米国の「成果主義」が持ち込まれたことで広まったと勘違いしている人も多いが、実はノルマという概念は戦前に持ち込まれている。現在の日本企業のカルチャーのほとんどは、戦前・戦中につくられたものだ。

 そして、そのときに手本にしたのが、旧ソ連だ。終身雇用、滅私奉公、そして最も国が参考にしたのが計画経済だ。エリートが計画を立てて、その通りに労働者をそれぞれの持ち場に縛り付けて働かせることで、着々と成長していけば理想の社会がつくられる――。こうした思想は「伝染病」のように日本に広まった。

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