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なぜ「ビッグモーター」で不正が起きたのか レオパレスや大東建託との共通点

ITmedia ビジネスオンライン / 2023年7月19日 10時32分

 その後、同社は団塊ジュニア自身が自動車を乗り回す時代(89~92年)から鈑金塗装専門工場や、外国車専門販売店舗など事業を拡大。そして、団塊ジュニア世代が社会人として活躍をして、ファミリーをつくる人が増えていく時代(2001~05年)になると他県にも積極的に出店して、全国展開を加速。現在のように北海道から沖縄まで263店舗、従業員6000人(2021年2月時点)の巨大企業に成長したというわけだ。

 ただ、快進撃はここまでだ。全国制覇を達成したのはいいが、日本は毎年、鳥取県の人口と同じ数の人が消えていく。消費者が減ることに加えて、カーシェアリングや高齢化でクルマを手放す人も増えていく。つまり、これまでのような拡大路線は通用しなくなる。

●昭和の成功体験を捨てられない

 このあたりは「全国制覇」を掲げて拡大路線を突き進んだ「いきなり!ステーキ」や高級食パンなどの失速を見れば明らかだろう。

 しかし、このようなシビアな現実を受けいれることができないのが、団塊ジュニア企業の特徴だ。拡大路線で店舗を増やして、広告をバンバン打てば、客もどんどん増えていく、という昭和の成功体験が強烈に刷り込まれているので、それを捨て去ることができない。

 すると、どうなるのかというと、現場に過大なノルマを強いる。そして、その無茶振りを誤魔化すように、景気のいい話を触れ回るようになる。

 「マネジメント」で知られるピーター・F・ドラッカーによれば、マーケティングというのは何もしなくても自然にモノが売れていく状態だが、それが機能していないときは「プロパガンダ」の力に頼るようになるという。つまり、自画自賛的な「広告」を大量に投入する物量作戦になるのだ。

 有名俳優を起用したテレビCMが山ほど流れていることが象徴的だが、Webサイトを見ても以下のように、同社がプロパガンダに力を入れていたことはよく分かる。 

 『ついに沖縄にも初出店! 日本全国に出店拡大中! 6年連続買取台数日本一!』

 『中古車買取価格満足度No.1 中古車販売顧客満足度No.1』

 太平洋戦争で戦局が悪くなればなるほど、日本軍は戦果を偽り、「世界一勇ましい日本軍の攻勢で、米国はもう降参寸前だ」と大騒ぎしていたことからも分かるように、日本型組織は苦境に立たされるほど、プロパガンダに力を入れる傾向がある。

 そして、現場には理不尽な目標を押し付ける。「お国のために玉砕して、敵を1人でも多く道連れにせよ」という命令は見方を変えれば、「現場に過大なノルマを強いている」ことと同じことだ。

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