なぜ「ビッグモーター」で不正が起きたのか レオパレスや大東建託との共通点
ITmedia ビジネスオンライン / 2023年7月19日 10時32分
そんな団塊ジュニア企業は、近年よく問題を起こしている。業種やビジネスモデルは違えど、共通の「負けパターン」があるからだ。
人口急増の波にのって全国展開を達成し、巨大企業に成長する。しかし、人口減少時代に転じてもなかなか過去のビジネスモデルから脱却できず、「拡大路線」に固執してしまう。そのため、現場が帳尻合わせ的に不正に手を染めてしまったり、過重労働が強いられてしまったりという問題が発生するのだ。
セブン-イレブンの場合、人口増時代の成長エンジンだった、同一地域内に店舗を集中出店させる「ドミナント戦略」に固執してしまった。結果、競合だけではなくセブン同士のカニバリを招き、バイト不足や現場の過重労働を引き起こし、時短営業をのぞむオーナーがFC相手に訴訟を起こすなど、いわゆる「24時間営業問題」が起きた。
●構造的問題も関係
レオパレス21の場合、人口減少で空き家問題も深刻な中で、新築アパートを大量に建て続けて売り上げをつくる、という人口増時代の戦略を継続してしまった。結果として、サブリース(家賃保証)というシステムが破たん。一方的に家賃を減額したレオパレスに対して、オーナーが集団訴訟を起こすなど対立が激化しているほか、コスト削減のためアパートの違法建築問題を引き起こした。大東建託も厳しいノルマがあると指摘され、たびたび以下のような不正疑惑が報じられている。
「大東建託」が高齢者相手に“詐欺まがい”の不当営業 空き巣で逮捕された社員も(デイリー新潮 2021年04月15日)
内部資料入手!「大東建託」が抱える1300億円の「工程保留物件」 決算のゴマカシか?(デイリー新潮 2021年04月30日)
これらはもちろん各社の企業文化うんぬんということもある。が、この時代に生まれた組織特有の「人口増時代の拡大路線がやめられない」という問題もかなり関係していると考えている。
一体どういうことか。ビッグモーターを例に説明していこう。同社が創業したのは第二次ベビーブームが終わった76年、現在の兼重宏行社長が、出身地の岩国市南岩国町で「兼重オートセンター」を個人創業したことが始まりだ。
この会社は団塊ジュニア世代が成長していくのと、歩みを合わせるように山口県内で店舗を拡大していく。高度経済成長は終わっていたが、74年に自動車輸出台数世界一となってから自動車は日本を代表する産業として、確固たる地位となっていた。団塊世代ファミリーがレジャーで使うということもあって、マイカーもよく売れていく。
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