やはり俺の相棒が劣等生なのはまちがっている。   作:読多裏闇

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というわけで後半です。

前回は戦闘、これでいいの?と言いつつほぼほぼ戦闘がない感じでしたが今回はガッツリ書いたつもりです・・・。(読みづらかったらすいません。


実際のところこんな感じで読みやすいのかがわからず、感想がほしいです。戦闘描写は難しいので四苦八苦ですがより良い文が書けるように何卒アドバイスをば。




入学編12

 

~摩利side~

 

 昼話した時はやりたくないと全身で表現していたが、諦めたのか説得されたのか風紀委員自体はやる気があるらしい。

 真由美の言っていた対抗魔法の性能と“真由美よりも先に対処してみせた実力”からしても教師からの推薦納得の実力なのは間違いない。だが、いやだからこそ実力を見てみたい。何より先程の達也くんの戦いは見事以外の何物でもなかった。

 コレはなかなか楽しみになってきた。

 渡辺摩利は校内で実力的に有名人故に、こうやって“模擬戦を受けてくれる相手”が少ない。それ故にこういった機会は摩利にとっては貴重なのだ。

術式解体だったか。アレを考えるならば・・・。

 

「始め!!」

 

 摩利の初手は自己加速術式での移動だった。魔法の発動スピードと体の運びは得意分野だけに八幡が目で追いきれていないのが見て取れた。そのまま達也同様相手の死角に回り込む算段だったがそれに対する八幡の回答は摩利の予想外のものだった。

 

「・・・っ!??」

 

 地面が揺れてたたらを踏みかけた摩利はしゃがんで体勢を立て直す。自己加速術式を使い加速して床を走っていた摩利は、高速移動中に地震にあったような状況だった。

 八幡のことは目を離していないが、私の自己加速で私を見失っていると言う雰囲気だったためまさか狙い撃ちにされるとは思わなかったのだ。

 私の着地音を聞いたのだろう振り向いた八幡が魔法を放ってくるのが分かる。

 

 体勢を整えるのに手一杯だ。移動して体勢を立て直す・・・。

 

 摩利は跳躍術式にて八幡との距離を取った。いや、正確には“取ろうとした。”

 

「は!??」

 

 跳躍術式は発動した。着地状態のしゃがんだ体勢から右側への跳躍。だが“右足が地面から離れない。”

 

 足じゃない、靴か!!

 

 このままでは固定された靴を支点につんのめって地面に叩きつけられるのは必至。とっさに靴を無理やり脱ぎ跳躍のスピードを上げることで難を逃れようとするが、完全に自分のことで手一杯になっている。

 

 この隙を逃すほど甘くはないだろう。だが、せめて相打ちくらいには持ち込ませて貰う。

 

 恐らく八幡の次の魔法で戦闘不能になるであろう予想はついていたが最後の一撃、いや”悪足掻き”のつもりで八幡へと移動魔法を跳躍術式とのマルチキャストで放つ。

 

 ぞわり。

 

 感じ取れたのは剣士としての勘か、はたまた現在敵対してるが故のものなのか。開始からの動きは素直過ぎた。だからこそ完全に先手を取られているこの現状は侮ったが故のもの。そう思い、せめて相打ちにと手を伸ばした瞬間に感じたのは明確な強者のプレッシャーだった。

 摩利は明確に“負ける”と認識した。

 相打ちなんて甘すぎる。下準備して勝ちに行ってやっと相手になる。それだけのプレッシャーだと摩利には感じた。だからこそ。だからこそ耳に入ってきた言葉を認識できなかった。

 

「勝者、渡辺摩利!」

 

 

 ・・・・・・は?今何といったか?

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

~深雪side~

 

 

 

「勝者、渡辺摩利!」

 

 またですか、八幡さん。

 私は渡辺先輩の最後の魔法によって吹き飛ばされた八幡さんのもとに向かいます。

 

「序盤は摩利を見失ったのを奇策で捉えて追い込んでいたけれど、もともと後手後手だったから最後の一手まで詰めきれなかったという感じかしらね。」

 

「むしろ渡辺先輩にマルチキャストを使わせたと言うだけで賞賛に値するかと。3年生でもそこまでできる生徒は当校でも片手で数える程度しか居ないでしょう。」

 

 八幡さんの事を負けたものの高い評価だったと称賛を送る会長と市原先輩。まさか手を抜いたから負けたと説明するわけにもいかずヤキモキします。

 

「比企谷くんは大丈夫?深雪さん。」

 

「あーはい。生きてます。渡辺委員長が威力調節してくれたみたいなんで軽く打ったって感じです。」

 

 私が答えるまでもなく八幡さんが答えます。怪我はないようなので安心ですが。なぜ勝てる試合を・・・。

 ここで、なぜ勝ったのか未だに受け入れられていないご様子で立ち尽くしていた渡辺先輩が八幡の復帰に反応した。

 

「比企谷、一つ聞きたい。手を抜いたのか?」

 

 嘘は許さない。そういった目をした渡辺先輩が八幡を射抜く。やはり納得がいっていないのでしょう。

 

「何言ってるのよ摩利?あの状況で手を抜けるタイミングは無かったわよ?」

 

 そう。外野から見る分にはその通りなのです。自己加速術式で加速した摩利を見失った為、奇策を使って行動を封じつつ場所の特定。体勢を立て直している渡辺先輩に追撃兼行動抑制を仕掛けて止めを刺そうとしたところにマルチキャストに対応できず魔法発動に失敗し、無防備に反撃を食らって負ける。それが見たものの感想なのです。

 

「いや、確かに私のマルチキャストに対応できなかったのはそうなのかもしれない。だが、明らかに私は跳躍術式の時に自分の事に対応が手一杯になっていた。あのタイミングで一撃入れないどころか私の苦し紛れの一撃すら警戒していないなんてありえない。

 終始、私の行動を手のひらで転がしてみせたこの試合においてそこの詰めを誤る訳が無い。違うか?」

 

「どういうこと?摩利。

 まるで、摩利がワンサイドゲームされたような口ぶりだけれど。」

 

「正直、私はそうだと思っている。

 違うか?比企谷。」

 

 渡辺先輩の目線が八幡さんに刺さる。

 

「渡辺先輩の認識は概ね正しいと思われますが、結論が間違っていると思われます。」

 

「というと?」

 

 お兄様が八幡に目で一言断って説明を開始なされました。

 

「順を追って説明しましょう。

 まず、最初の自己加速術式ですが、八幡が渡辺先輩を見逃したのは事実です。ですが、“八幡が渡辺先輩を見逃すのは想定範囲内です。”」

 

「わざと見逃した、と言うこと?」

 

 会長の質問にお兄様は首を振る。

 

「まずですが、恐らく体術に秀でているであろう予想が出来る渡辺先輩の自己加速術式を見切れるほど八幡は体術に秀でているわけではありません。全く出来ないと言う訳ではありませんがどちらかと言うと深雪と同じタイプの八幡は魔法戦がメインです。よって見きれないから“見失う前提”で次の魔法の準備をしました。」

 

「私は比企谷とは初対面のはずだが?」

 

「それは渡辺委員長が一番“九重八雲”と言う言葉への反応が大きかったからです。」

 

 お兄様の説明に八幡さんの補足が入る。事実“九重八雲”と言う名前に反応できたのは会長と渡辺先輩だけで、中でも渡辺先輩はとても驚いている印象だった。

 流石八幡さん。細部からの情報を読み取るスキルは健在ですね。

 お兄様が「続けます」と一言断って話を進めます。

 

「次に地面を揺らした魔法ですが、アレはピンポイントで狙ったものではなく床を蹴った力を地面を伝って自分を中心に同心円状に広げつつ増幅すると言うものでほぼ無差別攻撃に近いものです。渡辺先輩が自己加速術式を使った高速移動中でなければ軽い地震程度にしか感じないものでしょう。」

 

「そう言われてみると、まるで自己加速術式を使われる前提の魔法チョイスですね。摩利が手のひらで転がされていると思ったのはこの辺りかしら?」

 

「ああ。その後の靴の固定もそうだ。まるで跳躍するとわかっているかのようだった。しかも飛ぶ方向まで。」

 

 渡辺先輩からしたら先読みされて前もって潰されるような印象の試合でしょう。ワンサイドゲームだと感じるのも無理はありません。

 

「それについてはその通りですね。急いで対応したから背中がおろそかな体勢で魔法を撃ってそっちに飛ぶように誘導したんです。そっち側が死角ですからね。」

 

「あの固定に使った魔法はなんですか?

 相手への、それも魔法を体にかけている人間への直接干渉となれば相当な事象干渉力がないと出来ない芸当ですよね?」

 

 今度は市原先輩の疑問です。コレについては私も分かりません。八幡さんのやることは予想ができませんから凄いです。

 

「あの攻撃は渡辺先輩の自己加速術式の方にも問題があるかと。

あの魔法は不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)で、渡辺先輩の靴の踵をピンポイントで狙うことでかかとが固定され跳躍時、靴に引っかかったという訳です。先程展開された起動式を見た限りだと自己加速術式の定義範囲が靴をカバーしきれていませんでした。最悪、干渉力で押し切るにしてもあのレベルでしっかりと作用したのはそれが原因かと。」

 

「ご忠告ありがとう、達也くん・・・。

 じゃあ、本題だよ。なんで反撃が来なかったか。

 これは出来れば本人から聞かせてほしいかな?」

 

 やっとほしい回答にたどり着けたという印象で八幡さんに注目が集まります。私としてもぜひとも答えてほしいです・・・。

 

「・・・反則で負けるからです。」

 

 ・・・・・・なるほどそういう事ですか。八幡さんらしいですね。

 

 

「・・・それはどう言う意味だい?」

 

「最後の攻撃なのですが、俺の得意魔法で終わらせるつもりが不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)が減衰なしでガッツリハマってしまって・・・。

 あのまま撃ったら間違いなく骨折しかねないと判断してキャンセルしたんですが、その間にマルチキャストで飛んできた移動魔法でお陀仏、と言う流れですね。

 ・・・・・・分かりました実演するんでそんな目でこっち見ないでください渡辺委員長!!」

 

 得意魔法というのがどういう物だったのか。見るまで納得しないという渡辺先輩の無言の威圧に八幡さんが耐えられなかったようです。

 

「じゃあ、軽めにやるんでそれで納得してください。」

 

 八幡さんがCADを操作すると渡辺の表情が歪んだ。あれ、初めてだと結構大変なのできつそうです。

 

「体が重い・・・。これは?」

 

「加重、加速の系統魔法で重力強化と呼ばれる魔法です。

 今だと重力加速度が2倍になっています。」

 

 お兄様が魔法についての補足説明をしています。

 

「この魔法を行動が停止出来るレベルであの状態の渡辺委員長に撃てば良くて打撲、概ね骨折でしょう。」

 

「それで反則負けになる、か。確かに筋は通っているが、気を使われている段階で上級生の面目はまるで立たないな。」

 

 渡辺先輩は悔しげに嘯きつつも賞賛を見せている。

 

「新入生だからっての油断と様子見があったなかで畳み掛けたからうまく行っただけで結局負けてますしね?ここまでやって反則威力の魔法しか用意できてない段階でまだまだっすよ。」

 

「それを差し引いても実質私に勝利したんだ。少しは誇ってほしいものだ。

 それで服部副会長。今年の一年はかなりの豊作だと判断するがどうだろう?」

 

 後ろで会話には参加せず見ていた服部先輩が八幡さんを見て、答える。

 

「そのようです。あのまま連戦で私が比企谷と対戦していたらまず勝てなかったでしょうね。

 比企谷、先程の言葉は撤回させてほしい。私からも君の風紀委員参加を推薦させて貰う。もちろん司波達也もだ。」

 

 そう言った服部先輩は私と先輩方に軽く頭を下げ、この場を後にした。

 

「じゃあ、戻りましょうか。」

 

 そう会長が促し、この場はお流れとなりました。

 

 

 

 




このような感じです。

戦闘描写ほんとむずいんですが?ですが?(二度言いました。重要なんで。

読みづれえよこのタコ!を含めここが読みにくい、こうしたら良いなど切実に募集中です。作者の駄文救済にご協力お願いします。



今後は皆さんお待ちかねの後半戦ブランシュ編に突っ込みます。ここのところ魔法科史メインのわちゃわちゃでしたがオリジナル部分、俺ガイル部分がちょろちょろ顔を出していく予定なので楽しんでいただければ幸いです。

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