山上の動機面を担保していた私の記事
当初、今年一月に山上の弁護人から聞かされたのは「徹也さんが事件前にエイトさんにツイッターでメッセージを送ったけど返事がなかったと言ってましたよ」ということだった。彼のツイッターアカウントは凍結されており、メッセージの履歴確認は不可能だった。ツイッターのダイレクトメッセージ受信通知メールを確認すると、事件9日前の6月29日の21時11分に彼のアカウントから2通メッセージが来ていた。もしこの2通のダイレクトメッセージに犯行を示唆する内容が書かれていたとしたら…。私は事件を止められる存在だったのではないか。
安部晋三元首相を死なせることなく合法的に追及できたのではないか。統一教会の二次被害者である山上徹也を犯罪者にしてしまうことを防げたのではないか。様々な思いが交錯した。だがその後、私が気にしているだろうと気にかけてくれた弁護士が次の接見後に「返事は来ていたそうです」と連絡をくれた。やり取りの内容も事件を示唆するものではなく、7月10日に開催される教団イベントのゲストの照会だった。
さらにくわしく山上に確認してもらったところ、ダイレクトメッセージには彼が従前から『やや日刊カルト新聞』を読んでいたこと、私の活動に敬服している旨が書かれていた。つまり、彼は単に2021年9月の安部晋三による教団フロンド団体・UPFイベントへのビデオメッセージ出演だけを根拠にこの元首相を狙ったのではなく、時系列に沿ってリアルタイムで安倍晋三と統一教会との関係を私の一連の記事によって知っていたことになる。これは言い換えると、彼が安倍元首相と教団との関係を確信した動機面を担保しているのは私の記事ということだ。