「出前館」吸収でソフトバンクがデリバリー市場を完全支配
LINEとの資本提携発表からさかのぼること3カ月ほど前、出前館は朝日新聞社との業務提携を6月14日で解消すると発表した。2016年に業務提携をした両社は、新聞購読者数が減るなか新聞販売所(ASA)を拠点に宅配代行業務を行っていた。
「販売所はエリアごとに経営が異なるため、出前を行っているところとそうでないところがありましたが、実情としてはうまく機能していなかったといわれています。朝日新聞としてはノウハウを蓄えたので、新聞販売所を活用したデリバリー事業を継続していくと発表しています」(前出の市場関係者)
旺盛なデリバリー需要で加盟店数、受注数ともに増加しているが、UberEatsの追い上げが激しい。フードデリバリー事業は加盟店や利用者からの手数料が主な収益源だが、配達拠点がなく宅配人員を業務委託にしているUberEatsに対して、配達拠点を設け、アルバイトなどで定期雇用している出前館は、高コスト体質と言えるだろう。
「今月中に国内でサービスを開始する中国のDiDiや楽天デリバリーなどライバルはいるが、出前館とUberEatsの2社時代は堅いでしょう。LINE(ソフトバンク傘下Zホールディングスと10月に経営統合予定)入りしたことで、ソフトバンクが投資しているUberEatsと親戚筋になりましたが、ブランドイメージが違うため、よほどのことがない限り統合はないと思います」(前出の市場関係者)
デリバリーの2強は引き続き競合していくのか、うまく棲み分けていくのか、その動向が注目されている。
(取材・文=伊藤洋次)