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出前館、燻るウーバーイーツ買収の観測…販管費が売上高を超過し多額赤字、広告費が圧迫

文=編集部
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SBGに組み込まれたLINEとウーバーイーツの統合はあるのか

 LINE出前館を買収した意図が見えてきた。20年8月18日放送のテレビ東京の経済情報番組『ワールドビジネスサテライト』が「出前館がウーバーイーツの買収を検討している」と報じた。出前館は翌19日、買収報道を完全否定したが、出前館とウーバーイーツは「以前、お互いに買収を検討していた時期がある」(関係者)。だから、この報道を市場関係者は「さもありなん」と受け止めた。

 LINEは20年3月、業界第2位の出前館に追加出資し、出資比率を34.42%(名義はAホールディングス、21年2月末時点)に高めた。韓国ネイバーとの共同出資の未来ファンドが24.04%(同)を出資。つまり、出前館の過半数の株式を握っている。そのLINEは、21年3月をメドに、通信大手ソフトバンクグループ(SBG)傘下のZホールディングス(HD)と経営統合すると明らかにした。

 一方、ウーバーイーツは、タクシー配車サービスのウーバー・ジャパンが展開している。米国本社のウーバー・テクノロジーズにはSBGが出資。出前館とウーバーイーツはいわば、SBG内の“親戚”なのである。出前館によるウーバーイーツの買収が取り沙汰された理由はこれだ。

 21年3月、ZHDがLINEを経営統合した。出前館の親会社は、LINEからZHDに替わった。SBGは今年1月、傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)を通じて保有するウーバー・テクノロジーズの株式の2割弱を売却した。売却額は約2100億円。18年に出資して以来、ウーバー株を手放すのは初めてだった。

 SVFは20年9月末時点でウーバー株式に総額76億ドルを投下してきた。4億ドル強の含み益があり保有額(時価換算)は81億ドルとなった。ウーバー株はその後も上昇し、20年の年間上昇率は7割強に達した。ウーバー株式の売却により、SVFは一定の実現益を得た。ウーバーの堅調な株価上昇を反映する未実現評価益も、当然、SBGの決算に反映された。

 これがSBGの投資手法だ。投資する上場企業の株価が上がれば、一部を売却して実現益を手にし、株価上昇に伴う未実現評価益を計上する。一口で二度果実を味わう“グリコ方式”をとる。ZHDが傘下に組み入れた出前館は赤字の膨張で株価は低迷中。年初来高値が1月4日の3560円なのに対して6月3日の終値は1844円。年初来安値は5月26日の1682円である。目減りして、株価は高値のおよそ半分になるという状況だ。

 出前館がウーバーイーツとの経営統合をテコに赤字を解消できれば、これが株価を押し上げる有力な支援材料になる。

(文=編集部)

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