若くても発症する?医師が解説する「ぎっくり腰」の原因と再発を防ぐ方法

激しい痛みをともなうぎっくり腰は“クセ”になりやすいもの。意識するべき日常の動作は?

前触れもなく突然起こる「ぎっくり腰」。多くの人が人生で1回は発症するもので、一度経験をすると、くせになってしまう場合も少なくありません。今回は、どうやリハビリ整形外科の院長を務める銅冶英雄先生に、ぎっくり腰のそもそもの原因やなりやすい人の特徴、再発させないための治療法などを詳しお伺いしました。
コスモポリタン編集部/Getty Images

前触れもなく突然起こる「ぎっくり腰」。ぎっくり腰を経験する人は多く、一度発症すると“くせ”になってしまうケースもあります。

本記事では「どうやリハビリ整形外科」の院長を務める銅冶英雄先生に、ぎっくり腰の原因やぎっくり腰になりやすい人の特徴、ぎっくり腰を再発させないための治療法などを詳しくお伺いしました。

ADの後に記事が続きます

【INDEX】


    ぎっくり腰の原因

    ぎっくり腰は腰に負担がかかったときに起こるもので、腰の動きによって負担のかかり方は違うものの、誰でも起こる可能性がある症状です。

    メカニズムとしては、背骨の骨と骨を繋ぐ役割をしている椎間板(ついかんばん)の線維輪が傷つくことで、ぎっくり腰を発症します。

    「腰に負担をかけた後すぐに痛みが出ないこともあります。よくあるのは、次の日の朝に起き上がれなくなるということですね」
    「これは、椎間板が寝ている間に水分を多く含んで腫れてしまうからです。朝起きたときには椎間板がパンパンになっているので、線維輪が伸ばされて傷が開いてしまって痛みが生じる、というわけです」
    illustration of lumbar disc herniation
    sumakiGetty Images
    ADの後に記事が続きます

    ぎっくり腰になりやすい動作

    年齢や性別に関係なく、誰もが発症する可能性があるぎっくり腰。 腰に負担をかけ、ぎっくり腰のリスクを高める具体的な動作は次の通り。

    • 腰を曲げて重いものを持ち上げる動作
    • 前かがみになる動作
      「腹筋に負担がかかる上体起こしなどの腹筋トレーニングは、実は腰に大きな負担がかかっています。上体を倒して重いものを持ち上げる動作も、ぎっくり腰を発症する可能性を高めます」
      「座っている時間が長いデスクワークは、猫背の姿勢になりがちです。長時間猫背でいると、腰を曲げたりすることと同様に腰に負担がかかるので、これがぎっくり腰の原因になります」

      ぎっくり腰を繰り返してしまう原因

      一度ぎっくり腰を経験すると、その後に何度も再発してしまう人も少なくありません。このように“くせ”になってしまう理由は、ぎっくり腰発症のメカニズムと深い関わりをもつ椎間板が「軟骨」であることが関係しています。

      「軟骨の組織内に血管はなく、軟骨細胞は組織液や関節液というものから栄養を取り入れて新陳代謝を行なっています。このように軟骨には血流が少ないため、代謝が他の組織よりもゆっくりです。そのため、ぎっくり腰を発症して組織を一度傷つけてしまうと、なかなか再生しづらいんです」

      ※新陳代謝とは、生物体が生存に必要な物質を体内に取り入れ、用済みとなった古い物質を体外に出す現象。(引用元:Oxford Languages)

      ぎっくり腰の痛みを和らげる方法

      突然起こるぎっくり腰は、とてもつらく激しい痛みをともなうもの。銅冶先生に、痛みを和らげる、楽に過ごせる姿勢をお伺いしました。

      「まず一番簡単なのは、うつ伏せで寝る姿勢をとることです。これは自然に腰が伸ばせるので、ぎっくり腰を発症したときに限らず『ちょっと腰が痛いな』と感じたときにもおすすめです」
      「あとは、腰に手を当てて上体を後ろに反らす動きも腰にかかった負担を和らげてくれます」

      一方で、猫背になりやすく腰に負担がかかりやすい「座った状態」はNG。ぎっくり腰を発症したときは基本的にうつ伏せ寝の姿勢で様子を見て、座ることはなるべく避けるようにしましょう。

      ADの後に記事が続きます
      the freelance woman is feeling some backache on her waist area while online working with laptop from home
      WiroKlyngz

      ぎっくり腰になったときに注意すること

      ぎっくり腰を発症したときは、ついつい「安静にしよう」と思ってしまいがちですが、実はずっと体を動かさないままでいることは腰にとって良くないそう。

      「ぎっくり腰の原因となる椎間板は、適度に動くことで正常な位置に戻っていく性質があるので、『寝たきり』や『まったく動かない』というのは、腰にとって良くないんです」

      体を動かすときは、痛みの様子を見ながら腰に負担をかけない動作をとることに注意して、日常生活を送りましょう。

      ぎっくり腰の再発を防ぐ方法

      ぎっくり腰の再発を避けるためには、傷ついた椎間板の傷を塞ぐことが重要です。そして、そのためには椎間板を傷つける原因となってしまう行動を控えることが大切。

      「湿布や鍼治療などは、一時的な痛みの緩和として有効かもしれませんが、ぎっくり腰の再発を防ぐ効果はありません」

      ここからは、銅冶先生が伝授するぎっくり腰の再発を防ぐうえで効果的な予防法を紹介します。

      日常生活動作の矯正

      日々の動作を、腰に負担がかからないものに変えましょう。日常生活でみられる身体の動作は、無意識にでるものがほとんどなので、すぐにすべてを変えることは難しいものの、腰へのダメージを減らす意識をもつことが大切です。

      「具体的に、上体を曲げて重いものを持ちあげる動作は腰に大きなダメージを与えるものです。そういうときは、膝を曲げて、スクワットをするように物を持ち上げると、腰への負担が少なくなるのでおすすめです」
      illustration showing correct posture to lift heavy object safely physical bend down posture
      MADUAartGetty Images
      ADの後に記事が続きます

      姿勢の改善

      ストレッチや運動を取り入れて、姿勢を改善するのも、ぎっくり腰の再発を防ぐのに効果的。猫背などの姿勢は腰への負担が大きいので、姿勢の改善に努めましょう。

      食生活に気を遣う

      ぎっくり腰発症のメカニズムと深い関わりをもつ椎間板は軟骨なので、軟骨の成分であるタンパク質を多く摂ることが大切です。

      「肉・魚・卵・豆腐などのタンパク質が豊富な食品を多く食べるように心がけ、タンパク質を劣化させる糖質を摂りすぎないように注意しましょう」

      ぎっくり腰だと勘違いされやすい病気

      激しい痛みをともなう腰痛を発症すると、つい「ぎっくり腰になった」と思ってしまいがちですが、原因や症状によっては他の病気を発症している可能性もあるので、症状をしっかりと観察するようにしましょう。

      ぎっくり腰だと勘違いされやすい病気は以下のとおり。

      • 椎間板ヘルニア
      • 骨折
      • 腹部大動脈瘤解離(ふくぶだいどうみゃくりゅうかいり)
        「多くのぎっくり腰は一週間程度で痛みが落ち着いてきます。2~3日様子を見て痛みが引いてきている場合は、病院へ行かずにそのまま自宅で様子を見て良いでしょう」
        「しかし、脚の痺れや痛みが出た場合は、『椎間板ヘルニア』を発症している可能性があるので、しっかりと病院へ行ってください」

        また、ぎっくり腰になったきっかけが尻餅をついたことなどである場合は、骨折が疑われることもあります。こういう場合も、一度医師に診てもらうようにしましょう。

        backache sickness diseased patient male character at doctor appointment with back pain, muscular inflammation or injury health care, medicine and hospital visit cartoon people vector illustration
        invincible_bulldog
        ADの後に記事が続きます

        病院選びのポイント

        多くの整形外科ではぎっくり腰の治療として投薬などが行われますが、より根本的に改善するためには、理学療法士によるリハビリが必要です。

        「ぎっくり腰を“くせ”にしないための日常生活動作の矯正や姿勢改善は、理学療法士によるリハビリが最も効果的です。理学療法士がいる病院を選ぶことをおすすめします」
        「理学療法士の指導のもと、日々の動作や姿勢からしっかり改善していくことで、ぎっくり腰のリスクを下げることができます」

        銅冶 英雄先生

        銅冶先生
        日本医科大学卒業後、千葉大学付属病院、成田赤十字病院、国立がんセンター中央病院などで勤務。2022年、どうやリハビリ整形外科を開院。20歳の頃からぎっくり腰を繰り返し、体の痛みを取る痛みナビ体操を考案。
        銅冶英雄

        どうやリハビリ整形外科ウェブサイト

        Dr.ドウヤの腰痛チャンネル

        ADの後に記事が続きます
        ADの後に記事が続きます
        Cosmopolitan INFORMATION