我が家のマイカーは空飛ぶドローン
らんた
序章
「本当に空飛ぶ車なの?」
「ええそうよ。だから『H』マークを入れたカーポートを作ったんじゃない。会社持ちで」
いや、そういう問題じゃなくてさ。
「新車代、浮いたわ!」
いや、そうじゃなくてさ。
佐藤家。もう近所中が集まってる。まあ勿論住民説明会をやって会社の偉い人が頭を下げて実現したんだけどさ。
意外に静かな音でそれはやって来た。本当に空飛ぶドローンだ。ヘリポートに着地した。そしてブレードを格納する。格納音も静かだ。すると本当に「SUV」風に見える。本当にナンバープレートって付いてるんだな。ってか車検通ったのかよ? でもフロントガラスに車検証付いてるし。本当に市販車の「Xスカイ」(クロス・スカイ)のドローンバージョン車なんだな。
「よお、順一。納車式終わったぞ」
このぶっ飛んでる男こそ佐藤光秀。うちのオヤジ。国立京都総合大学の博士課程まで行ってわざわざ民間企業に行った変人。変人というほかない。なんせ思いついたら数式書いたりメモ帳で特許の種になることを書く奴だ。母も同じ大学院で知り合った。
「これ、急速充電機でちゃんと充電するから。あ、電気代は心配ないからな。EVドローンという配慮で会社全額負担で太陽光も蓄電池も付けてもらった。おかげでこの辺が災害で停電してもここだけ大丈夫」
(本当に「富士山」ってナンバー付いてるね。というかこのナンバー名どうにかしてよ)
「これで富士山アウトレットモールへ行くときも渋滞要らず。ちなみに東京に行くときはお台場のヘリポートや高層ビルのヘリポートを使うぞ。というかこれで横浜まで約30分で通勤できるんだ」
(恥ずかしいよ、オヤジ……)
近所中で物珍しさに見る住民と記者団。これが民間家庭第一号のEVドローン誕生の瞬間だ。
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