「心臓病の最高権威」に研究論文の改ざん疑惑 最新AIが見抜いた阪大研究者たちの「画像加工・再利用」の手口
NEWSポストセブン / 2023年7月21日 11時13分
実は、不正行為が指摘された論文7本の「筆頭著者」は、すべて大津氏の弟子にあたる大阪大・循環器内科グループの医師だった。
2本の論文で「筆頭著者」を担当した2人の研究者は大阪大循環器内科の准教授などを経ていずれも国公立大の教授に栄転している。この他にも、研究に参加した医師の大半が大阪大の出身、または医局に在籍した経験を持つ医師だった。
元東京大学特任教授の上昌広氏(医療ガバナンス研究所・理事長)は、大阪大グループ内で不正行為が横行していた可能性を指摘する。
「パブピアが指摘した、過去の実験画像を加工して再利用(使い回し)する手口は、7本の論文に共通しています。20年前から大阪大の循環器内科で不正行為が受け継がれていた可能性もある。基礎研究は実験室という密室で行われるので、よほど高いモラルがないと不正が起きやすい」
大阪大は、東大や京大と並び間違いなく国内トップレベルの位置を占めている。それなのに、研究論文の不正疑惑が多数指摘されるのはなぜか。
「旧帝大医学部では、患者の評判がよくて腕が立つ外科医でも、基礎研究の論文で評価されないと教授になれません。そのために、患者の治療には全く貢献しないような基礎研究をやっているケースも多い。昇進に直結するので、研究論文の画像を都合よく加工する誘惑があるのは事実でしょう」(上氏)
(後編に続く)
【プロフィール】
岩澤倫彦(いわさわ・みちひこ)/1966年、札幌市生まれ。ジャーナリスト。報道番組ディレクターとして救急医療、脳死臓器移植などのテーマに携わり、「血液製剤のC型肝炎ウィルス混入」スクープで、新聞協会賞、米・ピーボディ賞。著書に『やってはいけない歯科治療』(小学館新書)などがある。
※週刊ポスト2023年8月4日号
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「第三者委立ち上げ」を発表した国立循環器病研究センター・大津理事長の論文不正疑惑 本人に直撃「あれは誰でも書ける匿名のサイト」
NEWSポストセブン / 2023年7月20日 18時30分
-
国循理事長監修の論文で不正の疑い、第三者委員会で調査へ…画像使いまわしなど指摘
読売新聞 / 2023年7月20日 8時50分
-
理事長論文に不正疑いで調査委 国立循環器病研究センター
共同通信 / 2023年7月19日 21時42分
-
国立循環器病研究センター・大津欣也理事長に論文不正の重大疑惑 厚労省に報告され、同センターは「第三者調査委員会を立ち上げる」と説明
NEWSポストセブン / 2023年7月19日 17時25分
-
胸が急に痛くなったら「何科」へ行けばいい?
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年7月3日 11時20分
トピックスRSS
ランキング
-
1兼原信克「日本の覚醒」 「シーレーン」防衛が重要なワケ 日本のエネルギー・食料安全保障の頸動脈、中国に抑えられれば太平洋戦争の二の舞に
zakzak by夕刊フジ / 2023年7月21日 6時30分
-
2首相、支持率続落に強がり見せる 「いずれ上がる」
共同通信 / 2023年7月20日 21時4分
-
3福岡・天神 「警固キッズ」たまり場でパトロール 県警
毎日新聞 / 2023年7月20日 23時46分
-
4日光ゴルフ場跡地に切断遺体、詐欺グループの男ら3人逮捕…死体損壊・遺棄容疑
読売新聞 / 2023年7月21日 0時50分
-
5【速報】車のトランクに”体育座り”させ…千葉から東京・青梅市まで3時間監禁 18歳から19歳の男女5人を逮捕 警視庁
FNNプライムオンライン / 2023年7月21日 10時0分