ゾンビ世界
コロナが終わってから、おそらく人手不足で世の中が停滞しており、まったく賑わいがない。事業を興すというのは雇用を作ることではあるが、要するに低賃金労働者をあてにしているのであるし、そういう事業者がコロナ禍のバラマキで温存されてしまったのだろう。低賃金の雇用の受け皿がたくさんあり、その数えきれないお皿だけが縹緲として羅列されているのである。今はゾンビのような状態で、生き返るか死体になるか、瀕死の状態で息を潜めている。バラマキで最も生き残った事業は飲食であろうが、飲食のアルバイトは大変に見えても、器用で社会性があれば適職なのかもしれないし、少なくとも肉体的に重労働ではないから、人手不足が叫ばれる業界ではあれど、まだ労働力を吸い取っているのかもしれない。そろそろゼロゼロ融資の息切れ倒産が相次いで、あちこち整理されていけば落ち着くのかもしれないが、まだまだゾンビの状態で辛うじて息をしているのである。ひとびとは死体蹴りに慄いており、世界没落体験の渦中にいる、あるいは自分は大丈夫でも他人の苦境に心を痛めたり、あまり気分はよろしくない。なにしろ三年も軟禁されていたのだから、長患いで体の節々が軋んでおり、焼け付く日差しを謳歌できる体力もない。この三年間で自殺したひとはたくさんいるが、事業が本格的に死ぬのはこれからである。コロナ前は順風満帆であった事業がゾンビと言われてしまうこともあるだろう。この三年間でライフスタイルが変化したのかもしれないが、軟禁生活が続いているようでもあり、仮死状態なのかすでに死んだのかよくわからない昨今である。