小川研究室の運営方針
最終更新日:2007年(平成19年)1月24日
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小川研究室の基本方針
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研究テーマについて
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研究テーマ選定について
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研究室活動
小川研究室の基本方針
大學・大學院の研究室は、「研究をする所」です。と同時に、「研究を通じて教育する/される所」です。そこで、次のような方針で小川研究室を運営したいと思います。研究室のアドミッションポリシーも,併せて読んでください。
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「研究をやる気と能力(素質)を兼ね備えた人がいくらでも伸びるように」というのを基本にし、「やる気のない人が伸びないのは仕方がない(当然だ)」と考えます。高等学校までは、やる気のない人にやる気を起こさせるのも教える側(教師)の仕事のひとつだと考えられているようですが、大學や大學院ではそうではないと小川は考えます。従って、研究をやる気がない人と研究をやる能力(素質)が明らかに無い人は、大学院への進学や後期博士課程への進学を認めません。そういう学生が無事に修士論文審査/博士論文審査をパスするかについても、保証の限りではありません。また、明らかに研究に向いていないと見受けられる人も、同様です。
「研究をやる気がある」かどうか,「能力(素質)がある」かどうかは,小川による観察や本人との対話の中で,小川が判断します。
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一旦小川研究室に配属になった後で、自分がこの研究室での研究には不適格だと判断した場合、途中で他の研究グループに移るのは(相手がオーケーすれば)自由です。その場合はできるだけ早めに申し出て下さい(大学は1年単位で動いているので、唐突に言われると障害が生ずる場合があります)。また、しばらく大学院で勉強してみて、やはり研究は自分に合わないことに気づくこともあります。その際はなるべく早く見切りをつけて(たとえば)企業に就職する方が、結局良いようです。研究に合わないことに早く気づくことは好運なことであって、決して致命的出来事ではありません。「研究職に就くのが偉くて崇高であって、途中で民間企業に就職してしまうのは落伍者である」と感じている若い人が多く見受けられますが、実はその逆であることも多いのです(ほとんどの場合逆です)。企業に在職していた経験から、小川は、大学での教育・研究だけが人生の唯一の解ではない、と言いたいです。一つのことしか知らないでその一つを選択することと、いくつものことを知っていてその中から気に入った一つを選択することと、どちらが適切な判断かは自明でしょう。
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後期博士課程に進学したら、研究テーマの決定から方法論の選定、結果の整理の仕方まで、まずは独力でやってみてください。これも一人前の研究者になるための「訓練」です。小川はなるべく声をかけずに静かに見ています。ただし、進む道の方向が間違いそうになったら、なぜ間違いそうになったか、なぜこの方向が間違っているのかを説明して助言します。もちろん、研究内容と途中経過や結果に関しては絶えず議論してください。
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植物の種子が発芽して成長していく際に、その芽を無理矢理引っ張って伸ばそうとしたり、過度の肥料を与えてしまったりすると、その植物は枯れてしまいます。研究における教育もそれと同じで、小川は大学院生(特に後期博士課程)に無理強いして勉学教育を勧めることはしません。あくまでも自主的成長を基本とします。ただし、必要十分な肥料と水分と日光は不足しないように気を配りますし、芽の成長方向が曲がってきたら適度に矯正します。品質管理も行います。あくまでも成長するのは植物自体(大学院生本人)です。
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小川研究グループは、「研究第一」主義です。「勉強第一」ではありません。
この点は,もっと大いに強調されてもよいと思います。小川の大先輩にあたる阿久津泰弘先生も同じご意見です。
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「獅子の親は我が子を崖から突き落とし、這い上がってきた子のみを育てる。」
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博士課程在学中は(博士学位を取得し定職に就くまでは),月に1報ずつ学術論文を書く(投稿する)ことを目標にしてください。これは冗談や誇張ではなく,本当に実行してもらいたいと希望していることです。月に1報の論文を書こうと自分に負荷をかけて努力することは,研究テーマを絶えず探すこと,研究テーマを丹念に検討すること,テンションやモーティベーションの高い精神状態に絶えず居ること,につながります。
「毎月論文を書こうとすると,考える時間が減り,大きなテーマや重要なテーマの研究ができないじゃないか!」という反論も容易に予想されますが,小さい(と最初は思っている)成果であっても,論文にまとめ得る研究テーマをたくさん探し継続的に実行することによって,大きな成果を偶然(実は必然ですが)に発見したり出くわしたりできるものなのです(「セレンディピティ」)。研究テーマを探す際には「最も重要な」テーマを慎重に選びたいと思うでしょうが,何が最も重要かの判断は,色々なテーマを試行錯誤しながら数多くこなしていくうちに,やっと身に付くものです。素晴らしい洞察力や問題発見能力を生来から(修士修了時の年齢で)持ち合わせている人は,滅多にいません。「最も重要な」研究テーマが見つかるまで研究を始められない人は,その人の一生の時間をかけても研究を始められないかもしれません。ですから,「まず取りかかれ」「まず行動せよ」という点が,博士課程在学中は大切です。
換言すれば,「attempt
frequencyを上げる」ことによって,大きなテーマや成功に出くわす確率を上げよ,ということです。
また,この時期に論文数が増えることは,皆さんの将来(就職活動など)にとって得なことであって,決して損することではありません。一石二鳥です。もちろん言うまでもなく,学術論文は,数だけでなく質も(数以上に)重要です。しかし,博士課程在学中においては,「質」の考慮は,「数」の考慮に次ぐ第二優先度でよいと思います。そして,在学中に数多くのテーマや論文をこなすことによって,「質」を見極める眼を養ってください。よって,晴れて学位取得後は,論文「数」アップだけを目指してはいけません。
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最近は,「ポスドク」という身分の若い研究者が増えてきました。彼らはすでに博士の学位を取得しています。しかし,ポスドクは「定職」ではないので,「フリーター」「浮き草」と同じ身分だと自分に言い聞かせながら,上記の博士課程大学院生と同じように,月に1報ずつ学術論文を書く(投稿する)ことを実行してください。博士の学位を取った人は,普通ならば,独力で欧文論文を仕上げる能力が身に付いているはずです。各自でどんどん論文を執筆してください。ただし,博士課程に書いた論文よりは,当然,質も向上していなければなりません。「数」と「質」との両方が必要な,厳しい(楽しい)時期です。研究生活をエンジョイして頑張ってください。
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「数」と「質」との両方を満たしながら,たくさん学術論文を書く(投稿する)ことは,ひょっとして,研究人生の終わりまで(死ぬまで)必要なのかもしれません。
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論文執筆や口頭講演・ポスター講演のノウハウについては,小川が身につけている部分はできるだけ丁寧に教えます。最近では,その手の解説本もたくさん出版されているようです。どれか1冊でいいから,なるべく早い時期に一度は熟読すると良いでしょう。ちなみに,こんなwebサイト「若手研究者のお経-これから論文を書く若者のために-」もあります。
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「まず跳べ」「走りながら考えよ」(高木仁三郎)
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Publish, or perish.
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The first or the best.
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賢い敵は怖くない。最も怖いのは愚かな味方だ。(熊の敷石:ラ・フォンテーヌ『寓話』)
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大学や大学院で「学ぶ」とはどういうことか?(神戸女学院大学 内田樹教授)
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大学・大学院を商取引�の用語�(�ビジネスターム�)�で語ってはならない。「商取引の用語」とは,(例1)大学に授業料を払えば,その対価として教育サービスが手にはいるという考え方。(例2)大学を工場に喩え,大学は付加価値を付けた「製品」として学生を社会に送り出し,その品質管理の徹底をするという考え方。
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これでは,大学と学生とは,お金を媒介とした教育サービスの生産者と消費者になってしまう。
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これでは,消費者(学生)が,知識・技術・学位などを「ちょうだい」と言えば,生産者(大学)は完成された「商品」としてそれらを「はい,どうぞ」と提供するような構造になってしまう。
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このような立場では,学生は消費者として「シラバスの通りに授業を受ける権利がある」「これは契約なんだから」と言うが,これでは「学び」の本質が損なわれる。
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教室で授業を受け,その内容を理解し身につけて「終わり」なのではない。
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「学ぶ」ためには,「わからない,だから,わかりたい」という状態が続くことが不可欠。この「満たされない思い」が絶えずどこかにあるからこそ,無意識のうちに,「わかる」ために役立ちそうな情報に反応し,集め,考えるようになる。
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今の学生は,知的な意味でも,消化しやすい,噛まなくてもいいものばかりを「ちょうだい」と言う。喉越しよくスルスルと入るものでは,これを消化するための新しい能力の獲得は不要になる。消化しやすいものばかり与え,学生の要求に迎合的に応じる態度は,大学・大学院として間違っている。
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卒業までに消化しきれないものも沢山ある。卒業後も絶えず消化しようと努力し続け,いつしか溶けた(解けた)ときに初めて,大学・大学院で受けた教育の価値が付与される。
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大学での教育の価値は,大学にお金を払うからといって,すぐにはもらえない。学生が事後に,主体的に作り上げていくもの。それを豊かにする責任は学生自身にある。
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勉強は,基本的には自分でするもの。勉強の方法も,究極的には教えてもらうものではなく,職人と弟子との関係のように,学生自らが大学教員から感じ取ったり盗み取ったりするもの。
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博学之
審問之
慎思之
明弁之
篤行之。
五者廢其一
非學也。
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松田権六(蒔絵師)の教育
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欠点をあげつらい叱るのではなく,長所を見つけて伸ばす。
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具体的に(数値などで)示して指導する。
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1日に1つは集中して絵を描く。1年間で365絵にもなる。そのうち一つくらいはものになるものがある。
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大学の先生とは�,�「�答えを教える人�」�ではなく�,�「�問いの見つけ方を教える�人�」�であるべき。
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つまり�,�大学�や�大学院�での教育の�要諦�は�,与えられた�問題を�いか�に�解くか�の�方法を�学ぶ�ことという�技術的な�側面�(だけ)ではなく�,誰も�問うたことのない�新しい�問い�(�「�未�問�の�問題�」�)�を�いかに�発見するか�を�学ぶこと,�にあります�。問題の�解答を�教えてもらう�ことでは�決して�ありません�。�研究に即して言えば�,研究テーマを�探し�て�決める作業�や�過程�が�最も大切で�,�その�ための�思考論理�や�情報収集�や�価値�判断�の�方法を�学ばなければ�なりません�。�昨今の�学生や�そもそも�日本人は�,�「�問題�発見�」�の�重要性を�看過�しており�,�その�訓練を�受けていない�ことが多いために�,�この�能力が�低�い�ことが多い�です�。�与えられた�問題を�解く�だけ�では�,�研究の面白さは決して分からないし�,�生きる�楽しさ�さえ�も�感じること�が�できないでしょう�。
研究テーマについて
言わずもがなのことですが,研究テーマ「良し悪し」について触れておきます。(「善し悪し」ではありません。)
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研究テーマの「良し悪し」の尺度は,その時点での社会的要請や個人的主観などで変動します。しかし,広く長い目で見ると,客観的で不動の尺度ももちろん存在しています。研究テーマは,最低限下記の2点が同時に満たされていなければなりません。
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新規性 (世界中の誰もが知らないことをを発見することは,研究の定義でもあり前提でもあります。)
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重要性 (世界中の誰もが,研究成果に価値や意義を認めるような研究を�しなければなりません。)
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すなわち,「重要で意味のあることを初めて発見する」ような研究でなければ,研究とは言えません。いくら重要で意義があっても,他の人が既に発見し知られていることは,研究しても意味がありません。また,いくら世の中の誰もが知らない新しいことを見出しても,その内容に価値が無く「くだらない」ことなら,やはり意味がありません。ですので,研究テーマは,重要なことを新規に発見することにつながるテーマでなければなりません。
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だから,テーマ探しの過程では,この2点を意識しながら情報を収集したり研究目標を練ったりする必要があります。そして,自分の研究テーマがこの2点を満たしていることを,他の人に客観的裏付けを持って説明できるようになっていなければなりません。
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新規性のチェックのためには,過去の研究成果(文献データ)を調査し,「どこまでは分かっていて,どこからは分かっていないのか」を明らかにする必要があるでしょう。重要性のチェックのためには,実験結果に精通し,物理学の業界内だけでなく応用分野や産業界も含めた「ニーズ」にも目を配っておく必要があるでしょう。これらの作業を通じて広い視野を得ることができ,その結果初めて,自分の研究の客観的位置づけができるようになります。それが,よい研究テーマ探しのための重要で不可欠な作業です。
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昨今では,新規性や重要性を,物理学に堪能な人たちに対してだけでなく,一般の社会に対しても説明しなければならないことが増えてきました。これは「社会還元」とか「説明責任」と呼ばれている作業ですが,このような場面に遭遇しなくても,いつでも対応できるように,易しい言葉でも説明できるように訓練しておくとよいと思います。自分の難しい研究の内容と意義を真に理解していたら,易しい言葉で説明することは可能です。しかし,自分の研究を真に理解していなかったら,分かりやすく言い換えたりすることはできません。自分の研究の主幹と末枝とを自分自身で見極めておき,どこが最も大事な点で,どこはそれに附随する二次的な点かをハッキリさせておくことは重要です。自分自身でそれができなければ,他人に自分の研究をうまく説明できるはずがありません。
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ここでちょっと注意をしておきましょう。研究テーマは,重要なことを新規に発見することにつながるテーマでなければなりませんが,そういうテーマが見つかり研究を進めたからといって,重要なことに必ずたどり着けるとは限りません。失敗することもあります。それが「研究」というものです。ですので,研究テーマに絶対的「安全牌」は有りません。だからといって,失敗を恐れてはいけません。「研究とはそう言うものだ」と理解して,何度も立ち上がって捲土重来すればいいことです。
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このように新規性と重要性を鑑みながら研究テーマを選定することは,それがすでに研究の一部分ですし,むしろ研究の大半を占めていると言ってもいいでしょう。ですので,研究テーマの選定は非常に重要です。テーマ選択に際しての無限の自由度を楽しみながら,慎重に考えてください。
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研究テーマが決まれば,「重要なことを人類で最初に知る」ことができる期待でワクワクした気持ちをもって研究を進めると思います。しかし,研究に没頭しているうちによく出会う「落とし穴」について注意しておきます。それは,研究の「目的」と「手段」とが入れ替わってしまうことです。
研究テーマが決まると,次に,研究の目的や目標が決まります。つまり,「この研究では,どこどこまでを明らかにしたい」という目標が決まります。そして,その目標のためにベストな手段を用いて研究を進めるわけです。ところが,その手段を使うこと自体に徐々に満足してきてしまい,手段を使うことだけで研究が終わった気になる例が多く見受けられます。しかしそれは手段と目的とを入れ替えてしまう「落とし穴」であり,やってはいけません。手段はあくまでも「目標達成のための手段」ですので,手段�を使うだけで研究が終わったと錯覚してはいけません。
研究テーマ選定について
自分の一番興味のある研究をしながら、ある一定の成果も出て、定められた期間内に卒業できたり修士や博士の学位がとれるように、そして望みの職業に就くのに有利なように、というのが目標(理想)です。しかし、これらはしばしば矛盾しあう条件となります。そこで、その最適化をめざして現時点で採用しているのが、
以下のやり方です。
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修士課程での研究テーマ選定
大学院に入学して2、3カ月の間に、次のどちらかを選んで下さい。
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修士論文のテーマは自分で探すが、M1の終わり頃までに探せなかったら、小川が与えるテーマを選択する。
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小川が与えるテーマを修士論文研究として、M1の冬頃からとりかかる。
どちらを選んだ場合でも、小川は時々(気まぐれに)「こういう非常に重要で面白い問題もあるんだけど、考えてみませんか?」というようなことは言うでしょう。もしもそれらに興味があれば、テーマはその時点で仮決定したことになります。(「仮」とついているのは、研究を始めてみたら好ましくないことが判ることもあるからです。)
前者を選択した場合に自分で探して決める研究テーマの内容は、一応はなんでも構わないことにしておきます。選んだテーマ内容によって、小川が手助けしたり助言できることの量と質が異なってきます。物理学が大きく進展して、物理学内の細分化が進んだためか、前者を選んでも結局はテーマを自分で探せない確率が高いようです。その場合、小川の指定したテーマの研究を行うわけですが、実質的な研究のスタートが後者の人より遅くなるので、その分,前者の人はM1の間に、修士論文を書くための一般的な準備を人並み以上にしておかねばなりません。
上記のような原則を立ててはいますが、修士1年生程度ではなかなか自分で、これといった研究テーマを探せないのが実状です(恥ずかしいことではありません)。よって、小川がテーマを与えることになりがちです。「研究テーマを自分で探したい」という自主性と野心とを持って入学してくる大学院生が小川研究室には多く、非常に頼もしいことで嬉しいのですが、意欲だけが空回りしていることが多いようです。修士課程では、小川の与える研究テーマがたとえ自分の理想的(あこがれの)テーマと若干ずれていたとしても、軽くこなして料理して欲しいと思います。どんなテーマを与えられても対処できて修士論文に結びつけられるくらいの馬力と余裕のある人は、博士課程になったら、晴れて自分で独力でテーマを探してもらいます(こういう人のみが自分で適切なテーマを探すことができます)。
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博士課程での研究テーマ選定
修士論文の内容を学術論文にして投稿した後、博士課程での研究テーマを考えるわけですが、原則として自分でテーマを探して下さい。いくら待っていても,私からテーマを指定することはありません。故意にそうしています。
小川は必要に応じて助言したり共同研究者になったりします。テーマ内容はなんでも構いません。もちろん、テーマ内容によって小川が助言できることの量と質が異なってきます。ただし、小川自身が研究しようと思っているテーマの中に、自分も一緒に研究してみたいと思うものがあった場合は、それを共同研究するのも歓迎します。ただしその場合は、途中で投げ出さないで下さい。(2人が一致して「このテーマはやめよう」と判断した場合は別。)
小川は,そのテーマの意義についての個人的意見は言いますが,テーマの強要はしません。研究は,当たるかはずれるかは,誰も分からないものですから,「100%確実に博士論文になりうる安心なテーマ」など,あらかじめ誰も知りません。そのために,博士課程の最初の1年間くらいは,視野を広げて情報を収集し,「新しく」かつ「重要な」研究テーマを見つける努力をして,できるだけまっとうなテーマ探しをしてもらっています。このプロセスは,その後に独り立ちして研究生活を続けていくための,非常に重要な訓練になります。
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卒業論文・修士論文・博士論文を書く際の注意
研究を始めたら、単に自分の計算をしているだけでは済みません。自分のテーマの背景を�調べ、過去の仕事を理解し、次々と出てくる関連論文をフォローし、自分の現在の研究の位置づけや展開の方向を絶えず意識しておく必要があります。「こういったことは先生がやってくれるものだ」と誤解しないでください。
特に小川研究室では研究テーマを絞らない方針なので、ひとつの研究テーマあたりの先生の知識は少なくなりがちです。よって、むしろ、つもりで努力して勉強して下さい。正常な科学では弟子が先生より上に行くのが普通(当然)です。なぜなら、科学は常に進歩しているし、まっとうな先生なら、自分が以前に苦労してつかんだポイントを弟子に教えることを惜しんだりしないからです。ですから、少なくとも博士課程後期には、「自分のテーマとその周辺については、先生に教えている」ぐらいが普通(当然)です。(本当は、修士課程終了時にこうなっていることを強く期待しています。)
「負うた子に教えられて浅瀬を渡る。」The chicken
gives advice to the hen.
「老いては子に従え。」
研究室活動
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小川との議論:
小川が居室にいる時間ならいつでもどうぞ。ただし、小川自身の研究時間(雑用時間かも?)に充てている午前中(8時頃から12時頃までの間)はなるべく避けてください。また、お互いの時間の節約のために要点を整理してきて下さい。
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小川研セミナー(週1回):
必ず出席して下さい。研究進捗状況の報告を毎週一人ずつ順番にしてもらいます。得られた途中結果、明らかになった問題点、以降の研究計画や展開の方向をメンバー全員で議論します。
自分のテーマと(一見)関係ない他のメンバーの報告にも意見を述べたりできるように、全メンバーは小川研究室内のすべての研究テーマに対して評論家であり事情通であることが要請されています。
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小川研究室 研究進捗状況報告会(随時):
必ず出席して下さい。時々、研究進展の報告を全員にしてもらいます。
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小川研究室 MCセミナー(週1回) :
研究室に配属になったばかり大学院生を対象として、「考える」ことができるようになる最低限の知識レヴェルにまで引き上げるための「特訓」です。大學4年生までの間に学んでいるはずの知識は完全に前提とされています。
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小川研究室 BCセミナー(後期週1回):
大学院入試が終了し、小川研究室に配属予定になった4年生を対象として開かれる輪講です。DC院生が主たる指導者となり、DC院生の勉学も兼ねるような題材を選定します。
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物性理論コロキウム(随時):
是非出席してください。主として学外の著名な先生方(外国からもいらっしゃいます)をお招きして講演していただくインフォーマルセミナーの時間です。気の利いた質問ができるように熱心に聴いてください。
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学会、研究会、他研究室のセミナーなど:
自由に出席して下さい。ただし,論文公開前の情報や研究途中結果を知り得ても,当事者の承諾無く無断で口外しないように,注意してください。
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居室の維持管理、盗難防止、火気用心など:
常識的なことは言うまでもありません。掃除も定期的にやってください。
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飲み会や食事会
大好きなので,なるべく頻繁に開きたいと思っています。しかし,最近の小川は飲酒制限していますので,回数は減り気味です。