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異世界帰り・オブ・ザ・デッド 作者:時をかけたい少女
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学校にて3



嵯峨さんの問いに、誰も答えることができなかった。

その問いで気づいてしまったのだ。


沢田石は向こうの世界で死んだのかもしれないということに。


そう考えれば辻褄のあう部分があるし、実際この場にいる全員の共通点は少なくとも異世界で死んでいないことだ。


「沢田石が向こうで死んだ、だからこちらの世界でも死んでいる。嵯峨さんが言いたいのはそういうことだよね?」


嵯峨さんは無言でうなづく。


「……ありえるね。突然の病死だとか、あいつの仕業だとかよりは妥当性がある」


「そんな!? でもそんなことって……!」


「可能性の話だよ、八重。そもそもあんな世界自体非現実的なことなんだ。それが夢じゃ無かった以上、現実にどんな影響が出たとしても不思議じゃない」


「向こうで死んでたらこっちでも死んでたかもしれねぇのか。チッ、ますますあの国の連中が許せねぇ」


「戦場で兵士や敵の死を間近に見てきたけれど、ゲームのような世界観のせいで自分の死についてはどこか実感のないものとして捉えていたね……」


空気が重い。

自分の死というものが、気づいていなかっただけで実はすぐ隣でこちらを見守っていたのだ。


その事実に対し、ゾッとするような思いが4人を襲っているのだろう。

嵯峨さんなんかはまたいつもの発作を起こしそうな様子だ。


それを察した一番が


「ところで話は変わるんだけどさ。みんなは特典を何にした? 現実に持ち帰ることができるなんて話だったけど、実際のところどうだろうか」


と話題を切り替えた。


「あ、あぁ! それなら私は自分のアビリタと覚えた魔法から一つ選んだわ。流石にこんなところで使うわけにはいかないけど」

四方田さんがこれ幸いとその話題に飛びつく。


「俺も自分のアビリタは選んだ。あとは例の魔道具だな」


「……あたしも自分のアビリタと魔法よ」

嵯峨さんが渋々といった形で呼吸を整えて話す。


「やっぱり自分のアビリタは鉄板だよね。僕もアビリタと魔法にしたよ。2つって言われて大分迷ったけどね」


場の空気が少し明るくなる。

みんなまだ半信半疑だが、異世界でふるった力が現実でも使えるかもしれないと少し興奮しているのだ。


「谷々は?」

一番からの問いに、僕もアビリタと魔道具だと答える。


御法川が「あんな役に立ちそうもねぇアビリタをか?」と小馬鹿にしたので「ハサミみたいなものだよ」と返したらはぁ?という顔をされた。


そんなやりとりをしながら、ふと気になったことについて皆に尋ねてみる。


「ところでさ、魔王が倒された時最初に流れたようなアナウンスが響いたと思うんだ。」


「あぁ、それがどうした?」



「いや、そのアナウンスで気になるところがあってさ」

なんの気無しに、髪の毛切った?くらいのニュアンスで問いかける。





()()一番って誰?」





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