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異世界帰り・オブ・ザ・デッド 作者:時をかけたい少女
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異世界にて4



「これは王命である。勇者達よ、、、の征伐に向け出立するのだ!」


顔が紅潮するほど興奮した王が一番達に勇者に向けての激励を行うのと、僕が城の衛兵達によって門から叩き出されたのはほぼ同時だった。


「殺されないだけありがたいと思え!この無能が!」


衛兵はそれだけ吐き捨てるように言ったあと、サッサと城の中へと戻っていく。


「、、、まいったな。」


土埃で汚れてしまった制服を両手でパンパンとはたき、改めて城を見上げる。

あまり建築に詳しくはないが、見た目は以前世界の窓辺からで見たノイシュバンシュタイン城に似ている。


さて、これからどうしようか。


自分のあごを右手の人差し指と親指で挟むようにし、その肘を左手で支える。


なにはともあれ、まずは状況の整理だろう。



沢田石がいなくなった後、僕らはひとしきり周辺を捜索した。

大した遮蔽物もないのに彼の姿がみえないことから、嵯峨さんなんかは「気持ち悪い!」とまた軽くパニックになっていた。


仕方なく全員で周囲を見渡していたところ、一番が草原の中に街道のような整備された道があることを発見したため、安全確保のためにとりあえずその道を進んでみようという話になった。


歩き始めて1時間もしないうちに街道の先に街があることを発見し、文明があることに歓喜した僕らはすぐに街へと向かった。


近づいて驚いたのはその文明が地球で言うところのいわゆる「中世並み」だったことだ。


街全体はレンガのようなもので作られた砦に守られ、出入りの門は木製の丸太で組み上げられていた。


その圧倒的な手作り感に呆然と門を見つめていたところ、中から槍をもった人間(兵士?)が何人も現れ、あれよあれよと言う間に街の中心部にあった城へと連行された。


その際御法川は無理矢理連れていかれることに対してかなり抵抗していたが、四方田さんが必死の説得を行い渋々従っていた。


城に到着してからは一直線に偉そうな爺さんの座る大きな広間へと通され、「傾聴!」と爺さんの横にいたモーツァルトのような髪の人間に怒鳴られた。


どうやら偉そうに座っている爺さんは本当に偉いようで、この国の王らしい。

一応話の最初に名乗ってはくれたが長ったらしくて覚える気にならなかった。


しかし、有益なことに爺さんは今僕たちが置かれている状況について詳しく話をしてくれた。



まずここにいる5人は()()()()においては全員が勇者と呼ばれる存在で、()()()()から召喚されて現れるものらしい。


誰に、というのは爺さん達にもわからないらしいが、勇者が現れる時は決まってこの()()()()()()()()()()()()だと言う。


それは今回も例に漏れずだったようで、なにやら封印されていた魔王とやらが復活し、この世界のすべての力の源である「マナ」というエネルギーを独占し始めたらしい。


放置しておけばいずれ世界中のマナは枯渇し、人類そのものの存亡に関わるという状況のようだ。


その運命から人類を救うために現れるのが他の世界から召喚された勇者ということだった。


だったらもっと丁重な扱いをしろと思うが、どうやら召喚される勇者というのは毎回()()()()()()()()()らしい。


その中の1人でも魔王を倒すことができれば良いという状況、かつ歴代の魔王がそうやって倒されてきたため、ありがたみも危機感も随分薄くなっているというのが現状のようだ。


ただ、魔王を倒した勇者を()()()()()()とされる国は一定の名誉や議会での発言権を得られるらしく、召喚の兆候があった際には国をあげて勇者の囲い込みが行われるとのことだった。


つまり、僕らはその囲い込みをモロにうけてしまったということだ。


そうやって王の話を聞きながら全員が状況を把握してきた頃、御法川が一度キレた。

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