特定商取引に関する法律
特定商取引法とは
特定商取引法は、消費者トラブルが起こりやすい販売方法を対象に、トラブル防止のルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為を取り締まることにより、消費者取引の公正を確保するための法律です。
特定商取引法の対象となる取引形態
特定商取引法の対象となる取引形態は以下の7種類です。
訪問販売 | 自宅への訪問販売、キャッチセールス、アポイントメントセールス |
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通信販売 | 新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、ファクシミリ、電話等の通信手段により申し込みを受ける販売 |
電話勧誘販売 | 電話で勧誘し、申し込みを受ける販売 |
連鎖販売取引 (いわゆるマルチ商法) |
個人を商品等の販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘すれば収入が上がるとして販売活動をさせ、連鎖的に販売組織を拡大する取引形態 |
特定継続的役務提供 | 知識の向上や身体の美化などを目的として、継続的に役務を提供する取引形態 エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7種類 |
業務提供誘引販売取引 (いわゆる内職・モニター商法) |
仕事を提供するので収入が得られると誘い、仕事に必要であるとして、商品の購入や登録料などの金銭負担を負わせる取引 |
訪問購入 | 消費者の自宅等に業者が訪問し、物品を買い受ける契約 |
特定商取引法による規制の概要
全国的に、消費者取引に関する苦情相談は年々増加しています。その中で、特定商取引法の規制対象である6つの取引形態(訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引)に関する相談が多く占めており、内容的にも悪質な取引による、高齢者、若年層を中心とするトラブルが懸念される状況となっています。このような状況に対応するため、特定商取引法が改正され、平成16年(2004年)11月11日より施行されました。改正内容の概要は以下のとおりです。
1.行政規制
(1) 勧誘目的等の明示の義務付け
販売業者等は消費者に対し、自らの氏名または名称、商品等の種類を明示することは改正前にも義務付けられていましたが、今回の改正で、勧誘に先だって勧誘目的である旨などを明示するよう義務付けられました。
違反すれば改善指示、業務停止命令の対象となります。
(2) 不実告知に係る重要事項の明確化
特定商取引法では、契約に関する事項であって、顧客等の判断に影響を及ぼす重要事項について事実と異なることを告げることを禁止していますが、何が重要な事項なのかわかりにくいとの指摘があったことから、詳細に規定することにより明確化を図りました。
違反すれば2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はそれらの併科の対象となります。
(3) 重要事項の故意の不告知の罰則担保による禁止
これまで、価格や支払条件などの重要な事項をわざと告げない行為は禁止していたものの、罰則担保とはなっておらず行政処分の対象にとどまっていましたが、改正後は重要な事項をわざと告げない行為が罰則担保により禁止されました。
違反すれば不実告知と同様、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はそれらの併科の対象となります。
(4) 販売目的を隠して公衆の出入りしない場所に誘い込んだ上での勧誘の禁止
キャッチセールスやアポイントメントセールス等で勧誘した消費者に対し、公衆の出入りしない場所で契約の締結について勧誘をしてはならないと規定されました。
公衆の出入りしない場所とは、不特定多数の一般人が自由に出入りしない場所の意味です。例えば、事業者の事務所、ホテルの部屋、会議室、カラオケボックスなどが該当すると考えられます。
違反すれば6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはそれらの併科の対象となります。
(5) 合理的な根拠を示す資料の提出
商品や役務の性能、効果、効能などについて、虚偽、誇大な広告や勧誘を行っている疑いのある事業者に対して、効果、効能等の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができることとされました。
当該資料が提出されない場合には、改善指示等行政処分の対象となりました。
(6) 報告徴収・立入検査の対象の拡大
これまで、報告徴収、立入検査の対象は、規制対象事業者に限られていましたが、改正後は規制対象事業者と密接な関係を有する一定の事業者に対しても報告徴収、立入検査を行い得ることとされました。
2.民事ルールの整備
(1) クーリング・オフ妨害があった場合のクーリング・オフできる期間の延長
これまで、事業者の違法な妨害行為を受けたことによりクーリング・オフしなかった消費者は、所定の期間(8日又は20日)を経過するとクーリング・オフすることができなくなってしまう状況にありました。
改正後は、事業者が消費者のクーリング・オフを妨害するため不実告知又は威迫を行い、それによって消費者が誤認又は困惑してクーリング・オフを行わなかった場合には、その消費者は所定の期間(8日又は20日)を経過した場合であっても、いつでもクーリング・オフができることとされました。
(2) 不実告知、重要事項の故意の不告知があった場合の契約の意思表示の取消し
これまで、消費者は不実告知や重要事項の故意の不告知といった違法な勧誘を受けて契約を結んでしまった場合でも、民法の詐欺や消費者契約法の不実告知等の要件を充たさない限りその契約に拘束され、高額な商品を購入しなければならなくなるなど、消費者被害の充分な救済がなされているとは言い難い状況にありました。
改正後は、不実告知や重要事項の故意の不告知を受け、それによって誤認して契約をした消費者は、その契約を取り消すことができるとされました。連鎖販売契約や業務提供誘引販売契約も取消しの対象とされました。
(3) 中途解約・返品ルール
連鎖販売契約を結んで組織に入会した個人は、いつでもその連鎖販売契約を解約して組織から退会できると規定しました。そのようにして退会した個人は、
- 入会後1年未満であること
- 引渡しを受けてから90日未満の商品であること
- 商品を再販売していないこと
- 商品を使用又は消費していないこと
- 自らの責任で商品を滅失又はき損していないこと
という一定の条件のもと、商品販売契約を解除し、その商品を返品して購入価格の90%相当額の返金を受けることができることとされました。
(4) 抗弁権の接続
これまで、連鎖販売取引は形式上事業者間取引であるため、実質的には消費者であっても、連鎖販売契約を解除等した場合において、クレジット会社からの請求に応じなければなりませんでしたが、改正後は連鎖販売取引においても抗弁権の接続を認めることとされました。
抗弁権の接続とは、クレジット(分割払い)を利用した取引において、消費者と販売業者等との間で生じているトラブルを根拠に、クレジット会社からの支払請求を拒否できるようにするものです。
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市民自治部市民サービス室消費生活センター
〒664-0895伊丹市宮ノ前2-2-2伊丹商工プラザビル1階
電話番号072-772-0261 ファクス072-775-3811
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更新日:2023年07月04日