やまぬ芸能人への誹謗中傷が問うTwitterの功罪 ryuchellさんの死に改めて考えるSNSの攻撃性
東洋経済オンライン / 2023年7月16日 7時30分
ryuchellさんに対する誹謗中傷も、同様の傾向が指摘できるだろう。ryuchellさんは離婚を発表後、Instagramのアカウントをいわゆる”鍵付き”にしていたが、その後はTwitterでの攻撃的投稿が相次いでいた。
Twitterは著名人でも一般ユーザーでも同じように発信できる。たとえフォロワーがほとんどいないユーザーでも、投稿が注目されて拡散され始めると、一気に世界中へと広まることがある。
ただ、多くの場合、フォロワーの少ない大多数の一般ユーザーは「自分に発信力がある」とは感じていない。有象無象の見知らぬユーザーから攻撃されることも経験していないから、自らの言葉が影響力を持つことなど想像しないまま、ネガティブなコメントも投稿する。
一方で著名人はフォロワー数が多く、たとえフォロワーでなくとも、リツイートなどで投稿が拡散されると”誰の投稿なのか”を認知されやすく、リツイートの連鎖が起きやすい。こうした発信力の高さはインフルエンサーとしてみた場合は強みにもなるが、誹謗中傷が集まりやすいケースでは、無自覚な普通のユーザーを数多く巻き込む諸刃の剣ともなる。
たとえば花さんの場合、毎日100通以上の誹謗中傷投稿があったという。多くの人は、それほど多くの誹謗中傷に晒された経験などなく、自分のコメントの影響力は0%だと信じている。
しかし0.1%の毒も100倍になれば10%に膨らみ、その毒を毎日浴びせられ続ければ、どこかで心が壊れてしまう。
Instagramには「距離を置く」機能があるが…
そうした事態を防ぐには、法改正や教育などの対策に加えて、SNS側も、無責任な発言者とその対象者が距離を置ける仕組みを提供すべきだ。
しかしTwitterでは、誹謗中傷を行うような投稿者と距離を置く手段が限られるうえ、新規アカウントを多数作成して攻撃することもたやすい。自由で手軽に発信、交流できることが強みだが、一方で誹謗中傷する側にとって都合のいい条件がそろっているとの見方もできる。
当然、他のSNSでも誹謗中傷問題は存在する。筆者の知人はYouTubeで執拗にネガティブコメントを書き込まれ続けて精神的な問題を抱え、YouTuberとしてのキャリアを中断せざるをえなかった。誹謗中傷が比較的少ないとされるInstagramも、完全に平和というわけではない。
もっとも、Instagramには望まないやり取りを抑制するための機能が豊富にある。例えば、新規アカウントからのコメントを禁止することで嫌がらせコメントを抑制できるほか、禁止ワードを設定することで、望まない発言をする人を最初から自動的に視野の外に押し出すこともできる。
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