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日ごろは袖にされているのに、なぜ都市の有権者は自民党政権を延命させ続けてきたのか?/倉山満

日刊SPA! / 2023年7月17日 8時51分

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’16年7月、都知事選に無所属で出馬し、街頭演説をする小池百合子氏と河村たかし名古屋市長。この時、自民党から推薦を受けた増田寛也氏に300万票近い差をつけて当選した 写真/産経新聞社

―[言論ストロングスタイル]―

◆岸田首相は「黄金の三年間」を得たはずが……
 昨年の参議院選挙に勝利した際、岸田文雄首相は「黄金の三年間」を得たと多くの人が称した。しかし、その後はジェットコースターのような政権運営となった。

 もう1年になるが、安倍晋三元首相の暗殺後、旧統一教会の問題で揺れに揺れた。稚拙な政権運営もあり、大臣その他役職者の辞任ドミノ。

 しかし年明けの日銀人事を乗り切り、経済の破綻を避けた。攻め手に欠く野党を尻目に、支持率は回復。統一地方選は何とか乗り切り、サミットでも成果はあげた。

 と思ったところに、長男の岸田翔太郎首相秘書官の辞任。政権の軍師と言われる木原誠二官房副長官も、週刊誌にのっぴきならないスキャンダルを狙われている。

 今年4月の統一地方選挙で日本維新の会が躍進したのに危機感を覚えたのか、岸田首相は通常国会の後半に解散風を吹かせた。勝てる時に選挙をやっておきたいのは、権力者の常だ。しかし、首相を支える主流派がこぞって難色を示し、衆議院を解散しなかった。

◆首相自らが解散権を封じ込む状況に

 今や政局は夏休みの感があるが、政治の構造は大きく変化する可能性がある。

 目の前の現象だけ追えば、事象は簡単だ。自民党第四派閥を率いる岸田首相を支えるのは、第二派閥の茂木敏充幹事長と第三派閥の麻生太郎副総裁。最大派閥の安倍派も無視できない。

 何より、自民党最大の支持母体は創価学会・公明党だ。首相を支えるこれらすべてに人々の反対を乗り越えて解散したなら首相の求心力は高まっただろうが、逆に説き伏せられた格好だ。秋に予定される人事で、主流派にどんな好き勝手な要求をされるか、先が思いやられる。

 また、選挙区調整をめぐり、公明党との関係が東京では決定的に悪化してしまった。関係修復できない内に解散などできないと考えるのは常識だろう。解散権は封じられた、と言うより岸田首相自らが封じ込む状況に追いやってしまったと考えてよいだろう。

 しかしその前に、前の衆議院選挙で自民党が維新に完敗した大阪では、敗退した前衆議院議員の中で特定の人々だけの公認を取り消し、公募すると言う。茂木幹事長の手法を恣意的と批判する声もあるが、どこ吹く風だ。自公関係の前に、自民党の立て直しの方が先決かもしれない。

◆地方の利益の代表と都市の利益の代表

 ところで、「日本維新の会が躍進しているから解散」とは、どういうことだろうか。これは明治以来の日本の政治構造、デモクラシーの在り方から説き起こさねばならない。

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