集中豪雨、極度の乾燥、高温など…近年、世界各地でこれまでの記録を更新するような異常気象が観測されています。
今回ご紹介する『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』では、著者でもある気象予報士の資格を持つサイエンスライター・今井明子さんが「地理」と「地学」をもとに意外と知られていない「世界の天気」や「異常気象の謎」を、豊富な図解とともにわかりやすく解説します。
なぜこの地域は雨が少ないのか、1日の寒暖差が大きい理由など、『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』を読めば謎が解ける! 子どもから大人まで学べる、おすすめの一冊です。
砂漠ができるしくみには何種類かあります。なぜ砂漠にオアシスができるのか、水が存在できる理由をお教えします。
※本作品は今井明子著の書籍『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』から一部抜粋・編集しました
『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』(今井明子/産業編集センター)
砂漠はどうやってできるのか
砂漠はどうやってできるのか
砂漠のできるしくみはひとつではない
砂漠のできるしくみはひとつではない
実は砂漠のでき方には何種類かあります。亜熱帯高圧帯に位置することでできる砂漠はいわゆる「亜熱帯砂漠」と呼ばれています。ほかにもあり、でき方によって「大陸内部砂漠」や「冷涼海岸砂漠」、「雨陰砂漠」と分類されています。
大陸内部砂漠は、海から離れた場所にあり、水蒸気が届かないことでできる砂漠です。タクラマカン砂漠やゴビ砂漠など、シルクロードが通るような砂漠はこれにあたります。
海岸の近くであっても寒流が流れている地域の沿岸だと雲ができにくくなります。寒流に接する空気は冷たくなり、冷たい空気は重いため上昇しないからです。すると、雨が降らず砂漠になります。これが冷涼海岸砂漠です。
山脈の風下も乾燥しやすい場所です。海の上を吹く湿った風は、山で強制的に上昇し、そこで雲ができて雨や雪を降らせます。すると、山を越えて吹き下りるころには風が乾燥して雲ができにくくなります。この山の風下の場所にできる砂漠が雨陰砂漠です。
オアシスや塩の湖はなぜできる
オアシスや塩の湖はなぜできる
砂漠に水が存在するわけ
砂漠に水が存在するわけ
砂漠にはところどころに水の存在する場所があります。これが「オアシス」で、オアシスがあるからこそ人は砂漠で暮らすことができます。
多くのオアシスの水は遠くから流れてきた地下水です。遠くの場所で降った雨や、雪がとけてできた水が長い年月をかけて地下を流れ、オアシスのある場所で自然に湧き出します。オアシスが周囲より低い場所にあることが多いのは、地下水が湧き出しやすいからなのです。
サハラ砂漠の中を流れるナイル川もオアシスの一種です。ナイル川の水源のひとつであるビクトリア湖はサバナ気候に位置するため、雨季に大量の雨が降ります。上流に豊かな水があるため、枯れることなく砂漠の中を流れることができるのです。
オアシスにはたくさんの人や物が集まり、にぎやかな市場や人々の祈りの場である寺院が存在しています。また、農業が行われ、集落が形成されることもあります。
太古の昔海だった場所が干上がる
太古の昔海だった場所が干上がる
砂漠では塩水の湖や塩の大地もよく見られます。有名なのはイスラエルとヨルダンの国境にある死海です。塩分濃度が30%以上もあるため浮力が大きくなり、水の上に寝転ぶような体験ができます。また、アンデス山脈でとれる岩塩も有名です。
なぜ、乾燥地帯にはしょっぱい水や岩が存在するのでしょうか。
もともと海底にあった場所が隆起してできた陸地の地層には塩分が閉じ込められています。そこにめったに降らない雨が降ると、地層に含まれる塩分をとかしながら流れて、その水は低地にたまっていきます。できた水たまりは、出口がなければどんどん大きくなっていくはずですが、乾燥帯ではほとんど雨が降らないため、水が蒸発し、いくら水が流れ込んでもたまってはいきません。水に含まれていた塩分だけが残ってそこにたまっていくのです。これが、乾燥帯に塩水の湖や塩の大地ができやすくなる理由です。
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