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中国共産党員1億人の大台迫る…深刻な就職難、「出世」狙い若者の入党申請続々

読売新聞 / 2023年7月18日 7時17分

 【北京=川瀬大介】中国共産党の党員数が2022年末時点で9804万人に上り、1億人到達が間近に迫った。中国の人口減が本格的に始まったとされる中でも党員数は今後も増え続けるとみられる。膨張が続けば、一部のエリートが人民を先導する「前衛部隊」という党の理念が形骸化しかねない。

人口減の中

 党中央組織部の6月末の発表によると、22年末の党員数は前年比132万人増で過去最多を更新した。22年の新規入党者は244万人で、党創設100年の節目に合わせて438万人が入党した21年を除けば、 習近平 シージンピン政権が本格始動した13年以降で最多となった。

 入党申請者は前年比33万人増の2096万人だった。深刻な若者の就職難を受け、「党員になれば出世や、公務員や国有企業への就職が有利になる」(東北地方の共産党員)という事情が関係しているようだ。

 党員構成の変化も続き、新規入党者のうち技術者ら「専業技術人員」は増加傾向だ。習政権が米国との対立を念頭に掲げている「科学技術の自立自強」方針が党員採用にも反映されていることが見て取れる。

 中国の人口は22年末に14億1175万人となり、1961年以来61年ぶりに減少した。本来なら党員も減っていくのが自然だが、今年末にも1億人に達する可能性があり、総数は逆に増え続けている。

党離れのリスク

 習政権は1期目では「反腐敗」闘争の一環として、「(党員の)総量を抑え、質を高める」という方針に基づき学生の新規入党者を絞り込んだ。その結果、高齢化が加速し、19年末には61歳以上の割合が5年前から約3ポイント増の28・9%に上った。17年秋の政権2期目からは一転して高齢化対策として学生の入党者を増やし始め、在籍党員の長寿化が重なる。

 習政権は、昨年11月に全国の若者らが厳しい新型コロナウイルス対策への抗議に立ち上がった「白紙運動」の背後には米欧による「扇動」があったと疑っている。共産党一党支配体制の維持に向けては次世代を担う若者の支持が欠かせず、より多くの若者を取り込まざるを得ない事情がある。

 大東文化大東洋研究所の鈴木隆教授(中国政治)は、「党員総数を減らすには若者の入党を減らすしかないが、そうすれば若者は共産党を見放す。習政権は若者の反乱を恐れており、たとえ『前衛政党』という理念と現実が合わなくなっても、若者を入党させないリスクの方が大きいと判断しているのだろう」と分析する。

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