社労士とキャリアコンサルタントの違いを解説!ダブルライセンス取得のメリットは?
- 2020.12.19
社労士とキャリアコンサルタントの違いはなんでしょうか。
両者とも国家資格であり、人材に関する専門家ですが、活躍する場や試験難易度が異なります。
このコラムでは社労士とキャリアコンサルタントの仕事の違い、試験の難易度などを説明したうえで、ダブルライセンスの可能性やメリットを探っていきます。
目次
社労士、キャリアコンサルタントの違い
社労士とキャリアコンサルタントの違いを表にすると、以下のようになります。
| 比較項目 | 社労士 | キャリアコンサルタント |
|---|---|---|
| どんな分野の専門家 | 人材を補助するエキスパート | 人材を活用するエキスパート |
| 主な仕事 | ・保険書類の作成、手続の代行 ・帳簿の作成 ・労働関係の相談や指導 | ・向いている仕事の紹介 ・希望する職業につくためのコンサルティング |
| 平均年収 | 484万円 | 400~600万円 |
以下で詳しく解説していきます。
社労士の仕事
社会保険労務士とは、人材を補助するエキスパートです。
そのため、社労士のお仕事は
①社会保険などの書類の作成・代行など
②就業規則などの帳簿の作成
③労働関係の相談や指導
といった労働や社会保険に関するお仕事を行います。
そして、①と②は社労士だけが業務をすることが許されている業務(独占業務)となっています。
そのため、社労士に対するニーズは高く、人気の職業となっています。
社労士は数多くの法律を知り、適切な労務管理や人事評価の知識を得ています。社労士が相談に乗ることで、企業の発展を手伝うことができます。
社労士は企業などで働く人材を助ける面が多く、企業を支える不可欠な存在といえます。
また、社労士の年収は令和元年厚生労働省『賃金構造基本統計調査』によると、社労士の平均年収は484万となっています。
サラリーマンの平均給与が441万円(国税庁『平成30年分民間給与実態統計調査』)なので、社労士の方が1割ほど多いことが分かります。
独占業務があることから社労士の需要は高く、また後述のように試験の難易度も難しいことから参入のハードルも高いため、社労士は高い年収が維持されていると考えられます。
キャリアコンサルタントの仕事
キャリアコンサルタントは人材を活用するエキスパートといえるでしょう。
主な仕事は、労働者一人ひとりの適正や能力に応じて向いている職業を紹介することや希望の職業に就くためにコンサルティングを行うというものです。
国家資格になったのは、つい最近の2016年です。
終身雇用制度の崩壊や高齢社会の進展により、労働力の流動化が生じ、労働者が自分に合う新たな職業を見つける必要が生じました。
そのため、キャリアコンサルタントによる職業の紹介などが必要となったため、国家資格となりました。
キャリアコンサルタントは仕事の内容から、今後のキャリアの形成をサポートします。
そのため、労働者の立場に立って、相談者をどのようにキャリアアップするかのお手伝いをすることになります。
また、中小企業で助成金が貰えるセルフ・キャリアドック制度ではキャリアコンサルタントが必要であり、労働力の流動化から能力にあった職業を相談したいという必要の高さから、キャリアコンサルタントの需要も高まっています。
キャリアコンサルタントの年収は、厚生労働省『平成23年度キャリア・コンサルティングに関する実態調査結果報告書』によると、400万円から500万円が中央値であることが分かります。
ほぼサラリーマンの年収と同じと考えてよいでしょう。
一方、年収1000万円以上も8%存在するため、キャリアコンサルタントは能力の高さにより得られる収入がまちまちとなりやすく、魅力的な職業といえます。
難易度について
社労士とキャリアコンサルタントの仕事の違いについては、分かっていただけたかと思いますが、試験の難易度はどうでしょうか?
詳しくまとめてみました。
社労士
①受験資格
社労士試験には受験資格があります。下記3つのうち1つを満たすことで受験できます。
・学歴…大卒、短大卒など
・実務経験…社労士事務所に3年以上従事など
・試験合格…司法書士試験合格など、厚生労働大臣が認めた国家試験に合格
②試験内容
択一式と選択式問題が出題されます。
また、以下の各分野で基準点を下回った場合には不合格となります。
・労働基準法及び労働安全衛生法
・労働者災害補償法
・雇用保険法
・労務管理その他労働に関する一般知識
・社会保険に関する一般常識
・健康保険法
・厚生年金法
・国民年金法
これを見るとわかる通り、労働分野、保険分野、年金分野といった分野から出題されています。
幅広い分野の知識が必要ということが分かります。
③合格率
社労士の合格率は毎年6%程度で推移しており、国家試験のなかでも難しい部類に入るといえるでしょう。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和4年度 | 40,633 | 2,134 | 5.3% |
| 令和3年度 | 37,306 | 2,937 | 7.9% |
| 令和3年度 | 34,845 | 2,237 | 6.4% |
毎年3万人以上の受験生が不合格になっているので、しっかり勉強する必要がある試験といえます。
④合格までの勉強時間
一般に、社労士試験の合格に必要な勉強時間は資格スクールを利用した場合だと600時間、独学だと1000時間ほどといわれています。
かなりの勉強時間が必要だということが分かります。
特に社会人でこれから社労士を目指す場合には、自分で勉強時間を確保する必要がある一方、お金は多少かかっても時間をあまりかけたくない方が多いと思います。
そのため、勉強範囲のポイントを絞って学習することができ、手早く合格できる資格スクールの活用をおすすめします。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルティング試験は、キャリアコンサルティング協議会と日本キャリア開発協会の2つの機関が実施しており、どちらかの実施する試験に合格すれば、キャリアコンサルタント試験に合格となります。
①受験資格
キャリアコンサルタント試験も受験資格があります。以下の4つのうち、1つを満たす必要があります。
・厚生労働大臣の認定する講習の課程を修了
・労働者の職業の選択、職業生活又は職業能力開発及び向上に関する相談に3年以上従事(実務経験)
・技能検定キャリアコンサルティング職種の学科又は実技試験に合格
・平成28年度3月までに実施されていたキャリア・コンサルタント能力評価試験の養成講座を修了(平成28年4月から5年間)
②試験内容
キャリアコンサルタント試験は、学科試験と実技試験にて構成されています。
学科試験では以下の試験が試験科目となっています。
・キャリアコンサルティングの社会的意義
・キャリアコンサルティングを行うために必要な知識
・キャリアコンサルティングを行うために必要な技能
・キャリアコンサルタントの倫理と行動
実技試験では論述式試験に加え、面接試験が課されます。キャリアコンサルティングを行うために必要な技能が問われます。
面接試験では、ロールプレイが行われますが、2つの機関によって求められる合格基準に違いがあります。
日本キャリア開発協会では、「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」が、キャリア・コンサルティング協会では、「態度」、「展開」、「自己評価」が合格基準になります。そのため、どちらの試験が自分に有利かを見極める必要があるでしょう。
③合格率
キャリアコンサルティング試験の合格率は、国家試験としてはかなり高い水準にあるといえます。
両機関の試験を合計した表です。
| 回数 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 第22回/学科試験 | 3,155 | 2,592 | 82.2% |
| 第22回/実技試験 | 3,453 | 2,256 | 65.3% |
| 第21回/学科試験 | 2,613 | 1,645 | 63.0% |
| 第21回/実技試験 | 3,092 | 1,696 | 54.9% |
学科試験で60%、実技試験で60から70%となっており、多くの受験生が合格していることが分かります。
また、学科と実技を同時に受験した方も50%以上の合格率であり、半数以上の合格者が出ていることが分かります。
受験者層は異なりますが、自動車普通運転免許試験の合格率が60%から70%なので、ほぼ同じといえます。
キャリアコンサルタント試験は国家試験としては簡単な部類に入るといえるでしょう。
④合格までの勉強時間
一般に、キャリアコンサルタント試験合格のために必要な勉強時間は150から200時間程度です。
キャリアコンサルタント試験は筆記のみならず、面接も試験に含まれており、独学では対応できないこともあります。
そのため、資格スクールを利用して、面接対策にも備えたいですね。
以上を踏まえると、社労士試験の方が合格率が圧倒的に低く、試験合格のために必要な勉強時間も3倍以上多いことが分かります。
そのため、社労士試験の方がキャリアコンサルタント試験より難しいといえるでしょう。
ただし、「簡単だからキャリアコンサルタント試験を受けよう」と安易に目指すのは得策ではありません。
自分のやりたいこと・目指したい職業を受験することが何よりも重要です。
【目的別】どちらの資格を取得したらいいのか?
両者の違いは分かったけど、自分にはどちらが向いているか分からないという方もいると思います。
そこで、社労士とキャリアコンサルタントどちらが向いているか分類していきます。
社労士に向いている方
・書類作成が苦でない人
社労士は行政機関への書類や帳簿の作成が主なお仕事になります。そのため書類作成が苦でない方は、仕事に活かせるでしょう。
・労働、保険分野に興味がある人
社労士試験の範囲や仕事はこの分野になります。興味があればイメージが湧きやすいので、勉強や仕事の助けになるでしょう。
・企業を相手にお仕事がしたい人
社労士のお仕事は主に企業の存在が前提になります。そのため、企業がお仕事の相手先となることが多く、企業を相手にしたい方に向いているでしょう。
・独立開業を目指したい人
社労士は独立開業を目指せるお仕事です。自分の才能を生かして働きたいという方に向いています。
キャリアコンサルタントに向いている方
・人と話すのが好きな人
キャリアコンサルタントのお仕事は、人の話を聞いて、その人に向いている職業やお仕事を紹介する職業です。
・分析が得意な人
キャリア・コンサルタントは相談者に応じたお仕事を紹介する職業です。
そのため、相談者の属性や年齢、性格などを分析する必要があります。
この点から、分析が得意な人に向いていることが分かります。
・個人を相手にお仕事がしたい人
キャリアコンサルタントは個人を相手に相談を行います。そのためお仕事の相手は個人となります。
・企業に所属しつつ資格を生かしたい人
キャリアコンサルタントは独立開業する人が少なく、何らかの組織に属して働くことが多い職業です。
求人を見ると企業によってはキャリアコンサルタントの資格手当もあり、企業に所属しつつ資格を生かせる職業です。
ダブルライセンスを目指すメリット
ここまで、社労士とキャリアコンサルタントの違いを説明してきました。
ここまで読んだ方は、どちらかの資格だけを取ろうとお思いかもしれません。
しかし、社労士とキャリアコンサルタントの両方を取得し、ダブルライセンスを取得するとメリットも大きいです。
詳しく見ていきましょう。
文書作成能力、コミュニケーション能力双方が向上する
社労士は文書を作成する仕事、キャリアコンサルタントは会話をするお仕事です。
そのため、両者を備えることにより両方の能力をあげることができます。
相乗効果がある
社労士は主に企業、キャリアコンサルタントは個人を相手にします。
そのため、片方の資格しかもっていない方より多くの顧客を相手にすることで相乗効果が生まれます。
特に、会社と労働者の双方の立場から相談や助言ができるというメリットがあります。
例えば、社労士として経営者の人事評価の相談に乗っている時に、社労士だけでは評価方法など抽象的な相談にしか乗ることができません。
一方、キャリアコンサルタントの資格を持っている場合には、従業員と接し、具体的に従業員がどのような能力・性格を持っているかを知ることができ、適正な人事を図ることができます。
年収の増加・安定につながる
両方の資格を持っていることで、1つの資格しかもっていない人より専門的に仕事をすることができます。
そのため、「あの人に依頼しよう」という信頼が生じ、依頼や相談が多く舞い込むことで年収の増加や安定につながることになります。
※関連コラム:社労士はダブルライセンス不要?取得するメリットとおすすめの資格5選
まとめ
いかがでしたか?まとめると、
・試験は社労士の方が難しい
・文書作成が好きな人、労働、保険分野に興味がある人、企業を相手にお仕事がしたい人、独立開業を目指したい人は社労士に向いている
・人と話すのが好きな人、分析が得意な人、個人を相手にお仕事がしたい人、企業に所属しつつ資格を生かしたい人はキャリアコンサルタントに向いている
・能力の向上、相乗効果、年収の増加・安定といったダブルライセンスによるメリットも大きい
ということが分かりました。
どちらの資格も人気があり、ダブルライセンスも魅力です。ぜひ目指してみてはいかがでしょう。