社労士と行政書士の違いとダブルライセンスのメリットを解説
- 2021.03.17
社労士と行政書士は仕事の内容や試験科目、難易度などが異なる資格です。
2つの資格の違いがわからない方やどちらの資格が自分に合っているか知りたい方は、このコラムを見て違いを理解しましょう。
また、社労士と行政書士のダブルライセンスを取得するメリットについても解説します。
目次
社労士と行政書士の違い
社労士と行政書士は同じ国家資格ですが、活躍する分野が異なります。
社労士 |
行政書士 |
|
どんな分野の専門家 | 労働問題のエキスパート | まちの法律家 |
主な仕事 | ・行政機関へ提出する書類の作成、申請の代行 ・労働の帳簿の作成 ・労働に関する相談、アドバイス |
・行政機関に提出する許認可等の書類の作成
・権利義務又は事実証明に関する書類の作成 ・書類の作成に関する相談 |
以下で詳しく見ていきましょう。
社労士の主な仕事
社労士は労務管理のエキスパートです。
社労士のお仕事は主に3つです。
①行政機関に提出する労働社会保険諸法令に基づく申請書、届出書、報告書などの作成や代行
②労働社会保険関係法令に基づく帳簿書類の作成
③労務管理や社会保険に関する相談、指導
です。
また、上記で挙げた社労士のお仕事のうち、①②の分野が独占業務となっています。
行政書士の主な仕事
行政書士の仕事は
①行政機関に提出する許認可等の書類の作成
②権利義務又は事実証明に関する書類の作成
③書類の作成に関する相談
の3つが主なものとなります。
行政書士にも独占業務が認められています。上記で挙げたお仕事のうち、①②です。
行政書士は「まちの法律家」と言われ、様々な法律に関する問題に取り組んでいます。
少し市街地を散策してみると、行政書士事務所は、街のいたるところにあることが分かります。
このように、行政書士は地域社会と密接にかかわっています。
※関連記事:行政書士とは?仕事内容・なり方・試験概要までまとめて解説!
社労士の受験資格を得るために行政書士を取得する方も
社労士には受験資格があり、高卒では基本的に受験することが出来ません。
しかし、行政書士などの一部国家資格を保有していれば、高卒であろうとも社労士試験を受験することが可能になります。
そのため、社労士の受験資格を得る目的で、行政書士を受験する人は一定数存在しています。
事前に法律系の知識があると、社労士の勉強の導入がスムーズにすすむというメリットも。
難易度が高いのは
社労士と行政書士の試験の難易度は科目等が違うので単純に比べられるものではありませんが、やや社労士の方が難易度が高いといえます。
いずれも難しい試験となっており、それぞれの試験について詳しく見ていきましょう。
社労士
受験資格
社労士試験には受験資格があります。
下記3つのうち1つを満たせば受験できます。
- 学歴…大卒、短大卒、4年生大学で62単位以上取得など
- 実務経験…社労士事務所に3年以上従事など
- 試験合格…行政書士試験に合格など、厚生労働大臣が認めた国家試験に合格
試験内容
択一式と選択式問題が出題され、全てマークシートでの解答となります。
各科目に合格基準点が設けられており、どれか1つでも基準点を下回った場合には全体の点数が合格点を上回っていても、不合格になります。
合格率
社労士試験の合格率は例年6~7%と大変低くなっています。
合格までに必要な勉強時間
社労士試験の合格までに必要な勉強時間は、1000時間が目安と言われています。
特に社会人でこれから社労士を目指す場合、働きながら勉強をする必要があります。
そのため、勉強範囲を絞って学習することができ、手早く合格できる講座の活用をお勧めします。
行政書士
受験資格
行政書士試験に受験資格はなく、誰でも受験することが可能な試験となっています。
試験内容
行政書士はマークシート式の択一式に加え、40字程度の記述式が採用されています。
試験範囲は以下のように様々な分野の知識が必要とされています。
- 憲法
- 行政法
- 民法
- 商法
- 基礎法学
- 一般知識(政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解)
社労士が「深く狭く」なら、行政書士は「浅く広く」という差があるといえるでしょう。
行政書士試験にも基準点が設けられており、全体として合格点を上回っていても基準点に満たない分野があれば不合格となります。
合格率
行政書士の合格率は、例年おおよそ10%前後で推移しています。
社労士試験よりは高い合格率ですが、行政書士試験も10%と10人に1人しか合格できない試験であり、難しい試験だといえるでしょう。
行政書士試験は絶対評価であり、300点満点中180点を取れば合格となります。
絶対評価のため、その年度の問題の難易度や受験生の質により合格率が異なります。
合格までに必要な勉強時間
一般的に、行政書士試験の合格には600時間が必要だといわれています。
働きながら勉強する以上、短い時間で合格したいですよね。
そのため、行政書士試験の勉強も講座の活用をおすすめします。
【参考】アガルートアカデミーの行政書士試験対策オンライン講座はこちら>>
【目的別】どちらの資格を取得したらいいのか?
以上で社労士と行政書士の違いは分かっていただけたかと思います。
次に、性格や目的に合わせて向いている人をみていきましょう。
社労士に向いているのはこんな人
・労務管理のお仕事をしたい人
社労士のお仕事は主に企業を相手に労務管理をすることです。そのため、労務管理に興味がある、労務管理のお仕事を目指したい方におすすめします。
・勉強時間を確保できる人
社労士試験は1000時間の勉強時間を要する試験である一方、取得すれば生涯の職業にできる職業です。
勉強時間をしっかり確保できる方はおすすめです。
行政書士に向いている人
・行政に携わるお仕事をしたい人
社労士のお仕事は個人や企業を相手に、行政への文書を書くお仕事です。
そのため、行政に携わるお仕事といえ、この分野に興味がある人や行政に携わりたいと考える人におすすめします。
・幅広い法律の知識を持ちたい人
行政書士試験は憲法や民法といった基本的な法律を勉強します。また、依頼者の相談に乗る中で試験科目以外の様々な法律を学ぶこともあります。
そのため、幅広い法律知識を得ることができるので、幅広い法律知識を身に着けたい人におすすめです。
・この資格を第一歩としたい人
行政書士は司法書士などの他の国家試験と試験科目が重複し、浅く広く勉強します。
そのため、行政書士を勉強することで他の資格の勉強に生かすことができます。
この資格の他に他の資格を目指す人におすすめします。
ダブルライセンスを目指すメリット
以上のほか、社労士と行政書士の両方を取得し、ダブルライセンスを目指すことも考えられます。
社労士と行政書士のダブルライセンスのメリットは以下の通りです。
➀相互の資格で補完しあえる
2つの資格はお仕事の領域が異なるため、片方の資格をとっても、他方に生きることはないようにも思えます。
しかし、領域が違うからこそ使える資格なのです。
例えば、新規の建設会社を設立する際、行政書士として会社の設立に必要な許可の申請書と提出でき、その後従業員を雇い入れる際には社労士として保険書類の申請をする場合を考えてみましょう。
本来であれば社労士と行政書士の2人が必要な事務を1人ですることができ、収入につながります。また、会社からしても担当を変更せずに頼ることができるので、安心して幅広いお仕事を任せることができます。
②収入の安定につながる
社労士と行政書士のダブルライセンスの場合、セールスポイントが増え営業がしやすいといえます。また、お仕事のできる範囲が広く、1つの資格しか所持していない人より依頼が舞い込みやすいといえ、収入が安定するといえます。
③どのように働くかの選択肢が増える
行政書士の場合、選択肢はほぼ独立開業に限定されます。そうすると営業の効果が出るまでの収入が乏しく最初のうちは苦労が絶えないと思います。
一方ダブルライセンスを取得していると、社労士は企業や事務所で勤務する勤務社労士として活動する人もいます。
社労士としてノウハウを学びつつ、営業をすることで独立後すぐ仕事が入るという選択肢が増えます。このように働く選択肢を増やすことができます。
※関連コラム:社労士におすすめのダブルライセンス8選!取得するメリットを簡単に解説
まとめ
いかがでしたか?知っている部分もあれば、知らなかった部分もあると思います。
社労士と行政書士は1つの資格でも魅力的ですが、ダブルライセンスも更に魅力的な資格です。
両方を取得し、ダブルライセンスのメリットを享受することも含めて検討してみてはいかがでしょうか。