【動画】マダニは「飛べる」と判明、翅はなく跳べもしないのに

静電気の力で宿主に付着する可能性、マダニ対策に応用できるか

2023.07.17
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マダニ「募集中」?

 米コロンビア大学の疾病生態学者マリア・デューク・ワッサー氏は変わった仕事をしている。マダニを探しているのだ。

「私たちはマダニコレクターとして、より多くのマダニを集められる素材を常に探しています。ほとんどの人が望んでいることとは正反対ですね」とデューク・ワッサー氏は語る。

 研究用のマダニを集めるため、デューク・ワッサー氏は同僚とともに、コーデュロイの布を引きずりながら草むらを歩いている。しかし、今回の研究を受けて、もっと静電気を帯びやすい別の素材を使えば、マダニを大量に引き付けることができるのではないかと同氏は考えている。

 マダニが静電気を使って移動するというのは「予想外」で「とてもクール」だとデューク・ワッサー氏は話す。

「マダニが静電気を戦略として使うように進化したのかどうかはわかりませんが、彼らにとって有利に働くものだと言えます」

 また、マダニは電荷を感知できるのか、それとも、単に運よく移動しているだけなのかはわからないとデューク・ワッサー氏は述べる。

「マダニがどのように宿主を感知しているのか、特に、どれくらいの範囲について感知しているのかは、ほとんど何もわかっていません」とデューク・ワッサー氏は言う。「ただ、間違いなく感知はしています。もっと詳しく調査する価値があると思います」

ギャラリー:驚き!電子顕微鏡で見た昆虫、寄生虫 写真18点(クリックでギャラリーページへ)
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ミールワームの顔。「目」のようなものと口器がついている。ミールワームはゴミムシダマシ科の甲虫の幼虫で、飼育動物用の餌として利用されている。(PHOTOGRAPH BY JANNICKE WIIK-NIELSEN)

文=JASON BITTEL/訳=米井香織

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