誰も聞きたくないニュースだろうが、マダニは短い距離ながら重力に逆らって空中を移動できることがわかった。6月30日付けで学術誌「Current Biology」に発表された論文によると、ひそかに静電気の後押しを得て、宿主にたどり着くマダニもいるようだ。(参考記事:「危険なマダニ感染症から身を守るための基礎知識、春夏秋は要注意」)
マダニはクモガタ類の寄生生物で、動物の血を吸わなければ生きていけない。「宿主を見つけることは、彼らの一生で最も重要な瞬間です」と語るのはドイツ、ベルリンにある自然史博物館の博士研究員であり、生物学者のサム・イングランド氏だ。
だが同時に、マダニはある問題を抱えている。跳躍できないのだ。しかも、マフィンに入っているケシの実くらい小さいものもいる。
マダニの多くの種は、草の葉によじ登り、フック状の脚を伸ばしてじっと宿主となる獲物を待つ。そして、シカやヒツジ、ネズミなどが通りかかったら瞬時に脚を掛けなければならない。(参考記事:「驚愕!マダニの皮膚への強力接着剤、医療に応用へ」)
しかし、イングランド氏らは、野生で採取したリシヌスマダニ(Ixodes ricinus)の大きさ1ミリほどの幼虫を鉗子(かんし)でつかみ、静電気にさらすと、数センチ先まで宙に舞うことを証明した。リシヌスマダニのメスは、ヨーロッパではライム病の媒介生物となっている。(参考記事:「マダニからうつるライム病が急拡大、ワクチン承認が視野に、米国」)
英ブリストル大学の博士課程でこの研究を行ったイングランド氏は「すぐに結果が出ました」と振り返る。「科学実験が1回目で成功するというのは、私にとってはおそらく最初で最後でしょう」
マダニがどのように宿主に付着するかについての理解が深まれば、新世代の防ダニスプレーや、防ダニの屋外素材の開発につながるかもしれないとイングランド氏は考えている。
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