ツイッターで獣医師のハート先生が紹介発信していたレポート。
興味深いレポでしたので、ちょっと長くなりますが、個人的な覚え書きも兼ねて、この場で紹介させてください。
エキゾチック医療ジャーナル2022年10月掲載。
動物医療センターペコの先生、みわ動物病院の院長先生たちの研究レポートです。
Age at death and cause of death of pet rabbits (Oryctolagus cuniculus) seen at an exotic animal clinic in Tokyo, Japan: a retrospective study of 898 cases (2006–2020)
原文は→こちら
東京のエキゾチックアニマルクリニックで見たペットウサギの死亡年齢と死因。
898例の振り返り研究(2006–2020)
原文と関連レポも目を通してみました
ペットのウサギの死亡年齢に関する信頼できるデータが不足していることから、ペットウサギの死亡年齢と死因を明らかにするということを目的として研究をしたそうです。
(過去の英国の研究では、ウサギの年齢(死亡年齢ではない)に焦点をあてた人口統計学研究が実施されています。さらに病気の有病率を評価したものでは、歯科および皮膚疾患が最も一般的な障害であることを示していましたが、死亡年齢や正確な死因に関するデータは得られていなかったようです。)
内容ですが、簡単にご紹介しますね。
対象症例は898匹。
死亡年齢の中央値は7歳(四分位範囲:5〜9歳)であり、すべてのウサギの18%が9歳を超えて生存していました。
主な死因は・・・
腫瘍(n = 223;24.8%)
胃腸疾患(n = 135;15.0%)
細菌性膿瘍(n = 90;10.0%)
泌尿器疾患(n = 85;9.5%)
外傷(n = 44;4.9%)、
心疾患(n = 27;3.0%)
胃腸疾患は若年ウサギ(4歳以下)の最も一般的な死因であり、新生物(ガンなど)は中高年ウサギ(5歳以上)の最も一般的な死因。
性別や避妊去勢手術の状態によるウサギの死亡年齢の違いを解明するには、追加の研究が必要とのこと。
対象症例は、2006年11月から2020年11月の間に紹介されたエキゾチックアニマル病院に搬送され死亡した983匹のウサギ(紙ベースのカルテより)。
その中で・・・
ウサギの識別、年齢(生年月日と死亡日)、性別と避妊去勢手術の状態、避妊去勢手術の日付、品種、死因、および一次肉眼的所見、組織病理学的所見、または細胞病理学的所見を確認。
983匹のウサギのうち、85匹は年齢記録がないため除外されました。
したがって、死亡年齢がわかっている898匹のウサギが研究の対象症例となっています。
死亡年齢は、誕生月日が記録されない場合があるため、生年から死亡年までを算出。卵巣子宮摘出術または精巣摘出術時の年齢も同様に算出。
ウサギの品種については、英国ウサギ評議会またはアメリカウサギブリーダー協会によって承認された品種である場合、「純血種」として定義。それ以外はウサギの品種は「混合品種」として定義としています。「ミニウサギ」も混合品種に含みます。
病気の記録については、複数の病気を抱えていたウサギもおり、単一の主要な死因については、末期合併症ではなく、主要な基礎疾患に基づいて決定しています。死因を決定的に特定するための情報が不十分な場合は「特定されていない」として分類。
図1 898匹のウサギ全員の死亡年齢分布。
898匹のウサギの死亡年齢は7.0歳[四分位範囲(IQR):5.0〜9.0歳]であり、平均年齢は6.6歳[標準偏差(SD):3.1歳]でした。
これらのウサギのうち、18%は9歳を超えて生き、そのうち最年長のウサギは15歳でした。
うち、875匹のウサギ(雌444頭、雄431頭、雌雄比:1.03:1.00)で性別と避妊去勢手術の状態が記録されていました。卵巣子宮摘出術または精巣摘出術を行っていたウサギが302匹。
71匹(雌40例,雄31例)が2歳前に避妊去勢されています。
避妊去勢別
ウサギの死亡年齢と性別・避妊去勢手術状況。
無傷および去勢された雌ウサギの両方の死亡年齢の中央値は6歳(IQR:それぞれ5.00〜8.00歳および4.75〜8.25歳)でしたが、無傷および去勢された雄ウサギの両方の死亡年齢は7歳でした(IQRs:それぞれ4.0〜9.0歳および5.5〜10.0歳)。
表 1. 死亡時の年齢とウサギの性別および避妊去勢手術の状態。
— | Age at death (years) | Number | |
---|---|---|---|
— | Median | IQR | |
Female | 6.0 | 5.0-8.0 | 404 |
Female neutered | 6.0 | 4.75-8.25 | 40 |
Male | 7.0 | 4.0-9.0 | 400 |
Male neutered | 7.0 | 5.5-10.0 | 31 |
IQR = 四分位範囲
性別および避妊去勢状態は875匹のウサギに記録されています。2歳未満でのみ避妊去勢です。
品種別
品種は758匹のウサギ(482の純血種と276の混合品種)で記録。
表2は、各ウサギ品種の死亡年齢を示します。
混合品種(n = 276;36.4%)が最も一般的な品種。
オランダドワーフ(n = 229;30.2%)とホランドロップ(n = 150;19.8%)がそれに続いています。
混合種は、起源不明のウサギ(n=117;42.4%)、ミニウサギ(n=101;36.6%)、
特に指定のないロップウサギ(n=58;21.0%)
オランダドワーフとホーランドロップウサギの死亡年齢の中央値は、それぞれ7歳(IQR:4.0〜9.0歳)と6歳(IQR:5.0〜8.0歳)。
フレンチロップの死亡年齢の中央値は5歳(IQR:3.0〜5.0歳)、フレミッシュジャイアントの死亡年齢の中央値は3歳(IQR:1.5〜4.5歳)。
表 2 各ウサギの品種の死亡時の年齢
Breed | Age at death (years) | Number | |
---|---|---|---|
Median | IQR | ||
Netherland Dwarf | 7.0 | 4.0-9.0 | 229 |
Holland Lop | 6.0 | 5.0-8.0 | 150 |
Mini Rex | 6.5 | 2.5-10.0 | 28 |
Lionhead/Lion-rabbit | 6.0 | 3.0-8.5 | 23 |
American Fuzzy Lop | 6.5 | 3.3-7.0 | 12 |
French Lop | 5.0 | 3.0-5.0 | 11 |
English Angora | 8.0 | 5.0-8.0 | 9 |
Dwarf Hotot | 1.0 | 1.0-8.0 | 7 |
Flemish Giant | 3.0 | 1.5-4.5 | 5 |
Jersey Wooly | 8.0 | 6.5-8.8 | 4 |
Dutch | 8.5 | 4.3-11.0 | 4 |
Mixed breeds | 7.0 | 5.0-9.0 | 276 |
IQR = 四分位範囲
Breeds are recorded in 758 rabbits.
品種は758匹のウサギに記録されています。
-
- 雑種には、起源不明のウサギ(n = 117;42.4%)、ミニウサギ(n = 101;36.6%)、および特に指定されていないロップウサギ(n = 58;21.0%)が含まれます。
図2は死亡群における各死亡年齢グループごとの死因を示しています。
死因は、898匹中の660匹(73.5%)のウサギで死因が判明しています。
主な死因は、新生物<ガンなどの悪性腫瘍>(n = 223;24.8%)、胃腸疾患(n = 135;15.0%)、細菌性膿瘍(n = 90;10.0%)、泌尿器疾患(n = 85;9.5%)、外傷(n = 44;4.9%)、心臓病(n = 27;3.0%)、および呼吸器疾患(n = 20;2.2%)であった。安楽死は14匹(1.6%)のウサギで行われた。
胃腸疾患(14.3〜32.2%)は、若いウサギ(出生から4歳未満)の最も一般的な死因でした。新生物(12.5〜100%)は、中高齢のウサギ(5歳以上または15歳以上または13歳以下)の最も一般的な死因でした。13歳のウサギでは、胃腸疾患(25.0%)が最も多く、次に新生物(16.7%)が続きました。
議論
死因については、殆どが屋内飼育環境でのウサギが対象であり、外因性の問題より内因性の老化プロセスを反映している可能性が高くなる。
病院で死亡した病気のウサギのみが含まれる可能性あり。(自宅で死亡しているウサギの数の過小評価)
誕生月が飼い主による推定もあり正確ではない。
死亡年齢の中央値は7歳。うち18%は9歳以上生存。最長は15歳。
ペットのウサギの寿命は9~12年。最長は14~15歳。
死因について
まとめ
個人的に思ったことですが・・・
犬もですが、大型の方が短命な印象。
あと、対象症例数は少ないけれど、ドワーフホトが極端に短命なのは、やはり遺伝子疾患あるからからなのかなぁ。そして、ジャージーウィリーとかアンゴラとかの長毛系が長生きなのも、ちょっと個人的にはへぇと意外でした
死因については、長生きするウサギさんが増えてきたこともあるかと思いますが、高齢ウサギの死因に新生物(癌など)が多いのは人間と一緒ですね。
若いウサギさんの一般的な死因として、胃腸疾患となっていることについては、ストレスない環境や食生活の見直し、早期発見早期受診などで、予防や阻止できることもありそうですし、飼い主として出来る取り組みはしていきたいですね
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