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小説家になろうと、web小説と、その保存性について ~インターネットの物って残すの大変~

作者:曇天紫苑

なんとなく思っただけのゴロゴロ文章ですが、お付き合いいただけると幸いです。



最近ですね、本とか、読むわけですよ。歴史とか、そういうのも含めて。

古い時代のことや、かつて流行した文化とか、そういった物を読み進めていました。

で、ふと思ったのです。


果たして、インターネットでの情報や作品は、どれくらい残るのだろう?


『現代という歴史を保存する』という点において、インターネットは非常に弱い。

『歴史的資料』として残る力が、めちゃくちゃに弱い。



かつて隆盛を誇った『小説雑誌』だって、二百年後にはすっかりどんな作品が書かれていたのかは忘れられています。


それでも、でもですね。

残ってはいるんですよ。コレクターの間で高値をつけられていても、割と残ってはいる。

だから、そこにどんな作品があったのかは「ある程度の影響力があった作品については」知られている。


けれど、インターネット上で発表した物は消えます。いずれ消えます。

百年どころか十年後にはサイト閉鎖で綺麗さっぱり無くなっている作品が、文化が、どれほどあったでしょうか?


ここの運営は営利企業です。栄枯盛衰、百年後にまで残る超老舗サイトになるのでしょうか。

流石に厳しいかと思います。



実際、私なんかは小説家になろうの歴史や、流行の変遷を追っていく中で

どうしても、『それ以前のweb小説』を知りたくなる時があります。


『異世界ものってネットで流行ったのはいつからだろう』

『この手法っていつから定着していたんだろう』


なんて考えたら、自然と、『なろう以前』に目が行きます。


当時といえば、小説検索サービス全盛期、『楽園』『カオスパラダイス』などのサイトが有名だったわけですが、どちらも、既にありません。

アーカイブにはあるので、追いかけられるといえば追いかけられますが、やはり探しにくい。


そんな時、凄くありがたいのが、今のところまだ生きており、2003年からの記録が残る『Arcadia』の捜索掲示板。

いつの時期に、どんな作品が探されていたのか、このジャンルはいつ読者が求めるようになったのか、検索でまだしっかり調べる余地がある

十数年くらい前のweb小説を今から探るなら、こういった探索が必要です。


たった十年ちょっと前ですよ?




例えば、これが三十年、いやさ百年後に、同じことをやろうと考えたとします。

ここ十年の異世界ブームもまた、ある種の娯楽小説史の一つとして三十年……あるいは百年後に振り返る人が居るかもしれません。


ええ、確かに書籍化した作品があります。

小説家になろう全盛期を追いかけるだけなら、書籍化作品で埋められます。

百年は厳しくても、三十年はファンが生き残る作品もあるでしょう。


ライトノベルで言えば、一巻から三十年ほど経つ『スレイヤーズ』には今でもファンがいますし、これがあと二十年後だとしても、当時を経験した人が生きている限りは『スレイヤーズ』の事を語る事はできる。

当時のラノベ作品を挙げて、あれとこれがヒットして、こんな事あってと歴史を作る事もできるでしょう。

書籍として残ってさえいれば、歴史がどう動いたのか証明もできるわけです。

書籍化して表部台に出て、ヒットした作品であれば同じ事が出来るでしょう。



けれども、書籍化していない・物理メディアとして残っていない作品は、たった十数年前のことですら、追いかけるのが難しい。


これは作品の質とは一切関係のない、資料として残るのか、という話です。


今の我々が、あるいは過去の誰かが知っていた事実が、認識されない過去になっていく。

未来の人達がいくらこの時代を詳しく知ろうとしたところで、失われた情報は出てこない。


Yahooのジオシティーズもなくなって、インターネットからかつての空気を記録したサイトが一斉に無くなりました。

当然、この中には小説を投稿していたサイトもあります。

一体いくつの、今を考える為に貴重となる資料が消えたことか。


これを些細な損失かもしれませんが、ここ二十年で急速に発達した「インターネットでの創作」の歴史においてはとんでもない損失です。

ずっと前になくなったInfoseekを含めれば、日本におけるインターネットの歴史の記録が丸々すっ飛んだわけです。

どんな思想があったのか、どんな人がいたのか、どんな発表がなされていたのか、とんな創作があったのか……どれを探ろうにも、もうそこにサイトはない!



ええ、娯楽というのは、リアルタイムの熱狂の時にはほとんど記録されない。

少し時が過ぎてから「こんな時代があり、こんな形で今と関係しているのだ」と誰かが言い出すのです。


そうなった時の為に参照できる過去が残っていなければ、まったく見当違いな論になってしまいかねない。


この調子でいくと、未来の人達がネットでの創作物を考えるのに必要な情報が、貴重な資料となりうる作品が、何年でどれほど失われる事だろう。

webサイトが消えれば、その部分の歴史にはぽっかり穴が開いてしまう。


小説家になろうが消える時がきたら、いったい、どれほどの数の資料が消えるのだろうか。


ああ、想像するだけでも、私には恐ろしくてなりません。

もっと危険なのは動画媒体。

流行小説はだいたい出版社がカバーしているので、一応物理的に残っていますが、動画は物理メディアの数に比べて流行作があまりにも多すぎる。動画は必要とされる容量も膨大で、維持していくだけでもかなりの金銭がかかってしまう。

こっちは消えれば本当にそれまでなのです。

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