[大阪 25日 ロイター] 任天堂7974.OSが25日発表した2012年4─6月期連結業績は、売上高が前年比9.7%減の848億円、営業損益が103億円の赤字(前年同期は377億円の赤字)、純損益が172億円の赤字(同255億円の赤字)となった。
為替相場が円高に推移したほか、昨年夏に大幅な値下げをした携帯ゲーム機「3DS」の逆ざや状態が続き、減収、営業赤字につながった。
12年4─6月期はゲーム業界の「閑散期」とされる中で、ハード、ソフトとも販売自体は順調に推移したという。前年同期比で約106億円減少した広告宣伝費が利益を押し上げた一方、ユーロ安などを主因に、為替変動によるマイナスの影響額は売上高で37億円、営業利益で20億円に上った。また、営業外費用として為替差損211億円を計上し、経常、純損益も赤字となった。
ただ同社によると、4─6月の営業赤字の要因となった3DSの逆ざやは、現時点で製造している分においては、完全に解消したという。13年3月期の連結業績予想は、売上高が前年比26.6%増の8200億円、営業損益が350億円の黒字(前年は373億円の赤字)、当期純損益が200億円の黒字(同432億円の赤字)と据え置いた。トムソン・ロイター・エスティメーツによると、会社予想の通期営業損益予想は、アナリスト17人が過去90日間に出した予測の平均値275億円を27.1%上回っている。
<有力ソフトで収益改善目指す>
任天堂は、大画面化した「3DS」の新型機を国内外で投入するほか、有力ソフトの発売、3DS対応ソフトウェアのダウンロード販売開始、年末における据置型ゲーム機「Wii」の後継機「WiiU」の日米欧市場での発売などを控えており、今期中の市場活性化を目指す方針。特に、ハードに比べ利益率の高いソフトの拡販は利益増に大きく貢献すると期待する。
証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は任天堂の第1・四半期決算発表を受け、「4─6月期の営業赤字が思ったほど膨らまなかった。ソフト販売などが国内を中心に予想よりは底堅く推移したのではないか」との見方を示した。また「販売のメーンは年末年始であり、現時点で13年3月期業績見通しを変更しなかったのには意外感はない」とする一方、「ユーロの想定レートが105円と現在の水準から大きくかい離しているのは懸念要因だ」と指摘した。
12年4─6月期のハード販売台数は「3DS」が186万台(前年同期は71万台)、「DS」が54万台(同144万台)、「Wii」が71万台(同156万台)。13年3月期の販売台数予想については、「3DS」は1850万台、「DS」は250万台、「Wii(WiiU含む)」は1050万台と従来計画をそれぞれ据え置いた。
またソフト販売本数は、12年4─6月期で「3DS」が739万本(前年同期は453万本)、「DS」が848万本(同1213万本)、「Wii」が847万本(同1344万本)。通期のソフト販売本数(ダウンロード販売を含む)予想は「3DS」が7300万本、「DS」が3700万本、「Wii(WiiU含む)」が7000万本と、変更なし。年度末の想定為替レートも従来予想と同様、ドル80円、ユーロ105円に設定した。
(ロイターニュース 長田善行 取材協力 伊賀大記;編集 内田慎一)
*内容を追加します。
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