ゼネコン大手の清水建設の男性社員(当時29)が2021年8月に自殺し、今年5月に労災認定されていたことが分かった。長時間の残業をしていたが、勤務時間に関する記録を操作し、過少に申告していた。時短目標の達成が評価の対象になると上司から伝えられたことが影響した可能性があり、会社は実際の労働時間を把握できていなかった。

【写真】カレンダー埋めた「夕×」夫は倒れた 休んでと言えなかった妻の無念

 男性は東京都内の独身寮で亡くなった。遺族から仕事が原因ではないかと指摘を受け、会社は21年11月に外部の弁護士3人による特別調査委員会を設置。22年3月に、長時間労働が原因だったとする報告書をまとめた。会社は翌月、遺族に謝罪して和解した。

 報告書や遺族によると、男性は東大工学部を卒業後、16年に同社に入社。20年に下水処理施設の工事を手がける東京都江東区の作業所に配属され、工程の管理や下請け会社との調整などを担った。

 同社では労働時間は自己申告制だった。それとは別に個人の業務用パソコンのログオン・ログオフ時刻も自動的に記録され、上司が両方に差異がないかを確認していた。

 しかし、自分のパソコンでログオンしたまま、共用パソコンなどにも自分のIDでログオンしたうえでログオフすると、その時刻が記録され、自分のパソコンで仕事を続けても記録が残らない仕組みになっていた。作業所の社員約10人のうち、男性を含む3人がこうした操作をしていた。

 調査委がパソコンの操作履歴などから男性の実際の残業時間を調べた結果、うつ状態になったとみられる21年8月1日ごろの直前3カ月は平均100時間を超えていた。

スポンサー コンテンツ

こちらもおすすめ

 株保有を報告した国会議員のうち、所得等報告書で「株による所得」を報告したのは3割未満──朝日新聞が7月4日付朝刊1面で報じた内容が話題だ。

【森山裕氏のお金年表】210万円の出資がおよそ1000倍の約20億円に増えた!「フューチャー」株で年間配当4000万円を得られるようになるまで

 記事では、自民党選対委員長の森山裕・衆院議員(78)が2022年は株の配当だけで「約4300万円」もの所得があったが、報告書にその記載がなかったと報じられている。

 どんな銘柄をどれだけ持てば、そんな金額になるのか。資産等報告書を確認したところ、森山氏が保有する株はITコンサルの「フューチャー」と化学工業メーカー「ヤスハラケミカル」の2社のみ。そのうち、約116万株もの大量保有をするのがフューチャーだ。

 同社株を保有した経緯を森山事務所に確認すると、森山氏自身が「同社の金丸恭文社長とは地元・鹿児島で同郷だった縁で、創業時(1989年)に応援する目的で210万円を出し42株を取得した」と説明した。同社は、2002年に東証一部上場を果たした後さらに成長。森山氏の現在の保有株数は同社の株式分割によって増えたもので、売買の結果ではないという。

 森山氏が保有する約116万株は時価換算で約20億円。取得時と比べると、実に1000倍近くまで成長したことになる。

 現行のルールではそうした保有株から得られる巨額の配当があっても報告書に記載する必要はないのだという。税理士の新名範久氏が言う。

「国会議員の所得等報告書は確定申告した所得を記載するルールのため、配当支払い時に源泉徴収されている場合は報告書への記載が必要ない、という話なのです。3%以上の大株主になると配当所得の確定申告が必要ですが、森山氏のフューチャー株の保有割合は1.3%程度なので源泉徴収で済みます。国会議員の資金を透明化するために、今後は配当なども記載するようなルールへの変更が必要と考えます」

 本件について森山氏は「報告書に記載がないのはルールに従っているだけ。ルールが変われば記載します」と回答した。

 ちなみにヤスハラケミカルは2000株保有し、約100万円の資産だ。

※週刊ポスト2023年7月21・28日号

スポンサー コンテンツ

こちらもおすすめ