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新電力で注意したい2社がある。まず楽天でんきは昨年11月(今年1月請求分)から、沖縄電力エリア以外で燃料費調整額を「市場価格調整単価」に変えた。いわゆる市場連動型。日本卸電力取引所(JEPX)の調達価格に応じて単価が変わる。
市場連動型は電力が逼迫すると上昇する。2020年12月から21年1月にかけてJEPXのスポット価格が急騰した際は、1kWhあたり1日平均10円程度だったのが154円(最大251円)に。これにより新電力の市場連動型プランを利用していた人の請求額が1カ月で数十万円になるケースもあった。
■ソフバンも市場連動
楽天でんきは4月1日から「市場価格調整単価の上限を1kWhあたり30円にする」と発表したが、仮に30円になった場合、400kWh使用なら1万2千円が電力量料金以外に取られる。電力が逼迫していない時期は安くなるはずだが、今春は政府の激変緩和措置の7円値引き分を除くと「0円」だ。
楽天でんきは基本料金がかからないが、使用量に応じて支払う電力量料金の単価はその分、割高だ。4月にさらなる値上げを実施し、29.45円から41.55円になった。その結果、楽天でんきの電気料金は3月末比で約1.5倍に跳ね上がっている。
楽天でんきに続き、ソフトバンクでんきまで電気代の一部で市場連動型を取り入れてきた。6月1日からの料金値上げに伴い、東京電力・関西電力・東北電力・九州電力エリアで燃料費調整額に「電力市場連動額」を上乗せする方式に変更。エネチェンジ曽我野さんは説明する。
「ソフトバンクでんきでは『燃料費調整額』に加え『電力市場連動額』がかかります。『電力市場連動単価』は電力市場価格と基準市場価格の差に対し、月ごとに30%または70%の市場調達比率を掛けて計算されます」
ポイント獲得や割引を目当てに、楽天経済圏やPayPay経済圏に各種サービスをまとめる人は多い。だが、ポイントなどで得した数百円が帳消しになる場合もありそうだ。
そもそも新電力は、寡占されていた旧電力業界に参入させることで価格競争を促す狙いもあったはず。しかし今や、旧電力の規制料金の安心感が勝る。新電力の値上げのお知らせに気づかなかった人は高いまま取られっぱなし。新電力側は値上げした今も薄利だろう。楽天でんきやソフトバンクでんきにとっては携帯電話やネット回線などとのセット販売による囲い込みの手段にはなるが……。今のところ、新電力はビジネスモデルとして崩壊しているのではないか。(金融ジャーナリスト・大西洋平)(編集部・中島晶子)
※AERA 2023年7月17日号
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